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月の王の冒険  作者: ユマニテ
第二章  《惑星セレネミス編》
17/33

漂う危険を察知せよ

そろそろサブタイトルを考えなければと思いつつ、もはやネタなしの自分。

まあ、まだいいですよね、と延期、面倒くさいから←オイ

出来ればサブタイトル募集中!

「おはようさん、起きるのはやいなあ、メシはもう食ったんか?」


レイが食堂に下りていくと、リャスが一人で座ってオートミールのようなものを食べていた。

どことなく眠そうにし、目の下にクマを作っているかぎり、一睡もしていないようだ。


『朝食はもう先に部屋でいただきました。

それで、あの…昨日のことなんですが。』


リャスはスープを掬っていた手を止め、真面目な顔つきになり、前に座るように促した。


「分かっとる、国王なんてもん、すぐに決められんのも当然や。」


『はい、国王になってもいいです。』


リャスは頷く。


「そうか、でも諦めへんで、国王になっても良いって……って、は!?

いいんかいな!

そりゃまた…」


リャスは頷いたかと思えば、首を振り、勢いよく立ち上がってまたすぐに座りなおした。


『はい、よく考えてみれば別に国王になっても縛り付けられたりしないんですよね。

基本自由にしてくれるなら抑止力として国王になるのもいいかなって。

ラスもいますから一人じゃないです。

それに……もし何かあっても、今までラスと完膚なきまでにプチッと潰してきたので、同じようにしちゃえばいいことです。』


リャスは持ち前の高い危機察知能力に従って後半の発言を脳内消去した。


思わず立ち上がったリャスを尻目にレイはテーブルの上にイチゴに似た果物フレサの実を数個出現させ、ラスに言われたとおりに(美容のためとは気付いていない)食べる。

そのまま、二人が食べ終わるまで会話が始まることもなく、時は過ぎた。


「ところで、一人みたいやけど、ラスはどうしたんや、まだ寝とるんか?」


暗に一人でいることを咎めつつ、ようやく朝食を食べ終えたリャスがプレートを戻してきてからイスに座ったまま待っていたレイに尋ねた。


『ラスですか? お風呂に入ってますよ。』


「風呂? なんやあいつ朝風呂派やったんかい。」


ニヤニヤとリャスがからかうネタが出来たとばかりに含み笑いをした。


『いいえ、昨日お風呂に入るのを(杖で殴ったりして気絶させたから)忘れただけです。』


リャスはなんとなく今の会話の中に省略された物騒なものがあるような気もしたが下手につっこんではいけない気がしたので、そうか、と言うに留めた。まったくもってたいした危機察知能力である。

レイは満面の笑みで微笑んでいるが、そこだけ見えないブリザードが吹き荒れている。


実はラス、あの後も風呂に入ってこようとしたので杖で殴った後レイが《睡魔(サンドマン)》の呪文(スペル)を唱えて眠りに誘い、そのまま床に放置したのである。

ラスが起きたら朝で、身体に毛布が掛かっていたというなんとも情けない事情があったりする。

そのため、今の時間になってようやく風呂に入ることになったのだ。

ちなみにレイはぐっすりとベッドで寝ていた。


リャスはなんとなく悟り、ラスに少し同情した。



そうとは知らず、ラスがやっと食堂に下りてきた。

心持ち髪が湿っている。


「なんだ、レイ、もう話したのか。

つまらん、リャスのアホ面が見たかったのに。」


「アホ面とはなんや、アホ面とは!

このワイのクールでセクシーな顔のドコがアホ面やねん!

火ぃ吹くぞ、コラぁ!」


確かにリャスは黙っていれば学者であり、魔術師でもあるので全体的に線が細く、(とはいってもエルフはたいてい線が細いが)知的でミステリアスなエルフ美人である。

もっとも口を開いてしまえば、知的というよりは口が軽く、ミステリアスというよりは胡散臭くなってしまうが。


「クール? セクシー? はん、鏡を見て出直して来い、そういうのはレイにこそ相応しいんだ。」


「レイと一緒にするなボケェ! 次元がちがうんや!」


『ラスは格好いいぞ。』


二人のじゃれ合い(?)を楽しく見守っていたレイが思ったままを口にする。 


「ま、オレは格好良いな、レイは綺麗系、リャスはうさ……不思議系?」


ラスは直前で言い直す。


『うさ?』


「絶対胡散臭いとか言おうとしたやろ、オイ。」


ひくりと頬を引きつらせてリャスが食って掛かった。

ラスはあらぬ方を見て無視している。


「チッ……無駄に目ざといな(ボソッ)」


キャンキャンとその言葉も聞きつけたリャスが猛抗議しだした。


「黒っ、コワッ! 酷いで、コイツ酷いでレイ、あかんで!」


食ってかかるリャスに聞き流すラス。意外といいコンビになりそうだ。

もっとも、ラスがレイから離れるとは思えないが。



二人の言い争い(レイにとってはじゃれ合い)が一段楽した頃。


「それにしても、どうしてレイの時はあの結晶、虹晶(イリスシュタイン)だったか? 割れてしまったんだ?

危険があったじゃないか、危うくレイの柔肌に傷がついてしまうかもしれなかったんだぞ。」


どうしてくれる、と、どちらかと言うと虹晶(イリスシュタイン)が割れたことよりもその破片でレイが傷ついたかもしれないことに重点を置いて責めているところにラスの性格が現れている。


「ワイかてまさか割れるなんて思ってなかったわ。

知識としてなら虹晶(イリスシュタイン)がパリンする状況っていうか原因っちゅうか知っとったけど。」


『割れる理由(ワケ)があったんですか?』


「ある、あんま知られてないけど実はあったりするんよ。」



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