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月の王の冒険  作者: ユマニテ
第一章  《惑星地球編》
10/33

始まりの鐘を鳴らせ

やっと、第一幕が終了しました。

感想待ってます。

新しいキャラも出てきました!

ライカと同じように暴走してしまいそうですが…

温かい目で見守ってください、よろしくお願いします。

光に飲み込まれてからいったいどのくらいが経っただろうか。とある森の中でラスは目覚めた。


「…チッ、どこだよ、ここは。

そんなことより、レイ! レイ、無事か?

どっか痛いとことかないか?」


周りを見渡すとすぐにレイに駆け寄る。

このような事態に陥っても相変わらず繊細な物に触るかのように抱き起こす。


ピクッ


瞼が震え、美しいアメジストの双眸を現す。


『…うっ、ラス? ここは?』


「分からない、気が付いたらここに倒れていた。」


ラスに手を持たれつつ、ゆっくりと立ち上がったレイはひとまず森を抜けることを提案した。

何故かマップ画面が真っ白でここがどこか分からない以上、迂濶なことは出来ないので地道に歩いて行くことを。ラスはレイを気遣い飛行を希望したが、レイは何があるか分からないので却下した。


『ここから二時間ほど歩いた所に人が住んでいる村があると木々が言っている。そこをめざすぞ。』


レイは頭上を振り仰ぎ木々からの助言を受け入れた。

木々の声を聞くことのできないラスは《捜索サーチ》を使って範囲内に人がいることを知る。

そのことをレイに伝えると、とりあえず接触することになった。


「対象は一人、プレイヤー情報が出ていないからNPCの住民だと思う。」

『なら、情報を持っている可能性は低いな。情報が得られなかった場合は村へ向う、いい?』

「了解!」


ラスに先導され、木々に誘導してもらい歩きながらぐんぐんと目標に近づいてゆく。


ガササッ!


「うおわっ!? またか、巨大熊グロースベアや! だれかおらへんか!」


レイとラスは顔を見合わせ、即座に声のした方向に走り出した。

走りながらラスは抜刀し、レイは下級魔法ロウアーマジックを唱え始める。


巨大熊グロースベアといえば物理攻撃力と物理防御力に秀でている反面、魔法が使えず、魔法防御力が弱いという新人プレイヤー用のいわば、登竜門のようなモンスターである。

討伐推奨レベルは150前後と、巨大熊グロースベアを倒したらひとまず一人前と認められる。


ザンッ


後ろ足で立ち上がった巨大熊グロースベアと先ほどの叫び声の主である学者風の青年の間に、先にラスがたどり着き、巨大熊グロースベアを一刀両断した。


シュッ

『……《雷光之矢ライトニングアロー》!』 

「どわっ!」


ドスッ!


一足遅れたレイが、詠唱が完了したが不要になってしまった《雷光之矢ライトニングアロー》を巨大熊グロースベアがいた所(現ラスがいる所)に向けて放つ。

過たず矢はラスが直前までいたところを射抜き、後ろの木を貫通して消滅した。


『…チッ、すまないラス。巨大熊グロースベアを狙ったんだが、ラスが先に仕留めてしまったからそのまま飛んでいってしまったようだ。危なかったな。』


ラスと青年は矢の威力に圧倒され、顔を青ざめさせていたが、矢が貫通して風穴が開いたところを見たまま固まっている青年と違い、悲しいかな、長年のことで慣れてしまっているラスはすぐに現実に戻ってきた。


「嘘だろ! 

あれは、明らかにオレが斬ったから苛ついてオレをねらって射っただろ! 

しかもチッて言った!」


ラスの大声に驚いて我に返った青年は助けてくれたことに礼を言おうとするが、ラスの必死な抗議を無視して青年を覗きこんでいたレイの至近距離での美貌にまた固まる。


『ラス、この人、また固まったぞ。』


レイに無視されてしょぼくれつつも律儀に巨大熊グロースベアから爪を採集してきたラスがそんな二人を見て頭に?を浮かべる。


「何やってんだ?

それよりお前、ボロボロだが、怪我とか無かったか?」


青年は話しかけられたことでやっと現実に戻った。


「…あ、あぁ、大丈夫や少し切ったぐらいで大事無い。」


『痛そうなので一応治しておきますね、彼の者に癒しを与えよ、《応急手当ファーストエイド》』


スゥ…


巨大熊グロースベアから逃げている最中に枝か何かで傷つけたであろう腕や足の傷が光の粒子と共に消えてゆく。

青年は知らず知らずのうちにしかめていた顔を安らげる。腕を曲げたりして調子を見つつ、青年は尋ねる。


「ありがとな、キレーな別嬪さん。ワイはリャス、リャスティナードや。あんさんらは?

こん辺りの奴っちゃーないみたいやけど?」

別嬪さんみたいなのが近くに住んでおったら噂になっとるやろし。


青年の言葉はどこかの方言だろうか、どことなくとある地方の言葉に発音が似ている。

レイとラスは一瞬目を見交わした後、レイが一歩、足をリャスに進める。


『私はレイ、彼はラス。

実は、異変のあった森を探索中光に飲まれて、気がついたらここにいたんです。

もしかしたら隠れ移動地点ワープゾーンだったのかもしれません。』


レイの話を聞くに連れて、リャスの目がキラキラとし始める。


移動地点ワープゾーンやて!? 本当マジか、本当マジであったんか!? 

そんな神話に出てきそうなもんが!

ってことはあんさんらどっからきたんや?

過去か? 未来か? それとも異世界か?」

どこや、どこなんや!


異常なまでにリャスのテンションが上がってゆく、レイとラスはすでについていけていない。

リャスの勢いに二人は気圧され、若干、いやかなり引く、心なしか身体も引けている。


『えっ? えぇ? どうなさったんですか? 

落ち着いてください!』


「これが落ち着いてなんかいられるかちゅーの!

ワイ、もしかしたら世紀の大発見したかもしれへんのやで!?」


ウオォー! ワイやったでー! オカーン!(多分やけど)


興奮を抑え切れなかったリャスの叫び声が辺りの森に響き渡る。


どうやら村人第一号は変人のようだ。

それにしても、リャス、普段は普通の好青年なんですよ?

……(多分)

方言ってむつかしいなーと思った今日この頃です。

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