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第7章 朔夜の記憶

ファンタジー小説と言っておきながら、まだ思いっきり普通の学園モノです。

もう少しで異世界転移するので、それまでごゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

 「夢來、学校から連絡があったけど大丈夫だった?」

 

 家に入るなりお母さんが飛びついてくる。

 

 「うん。もう大丈夫だよ。え?誰から電話かかってきたの?」

 

 お母さんが少しニマァっと表情を緩ませる。

 

 「……浅田先生から。夢來さんが倒れたって。後、朔夜さんと夢來さんいい感じですねって」

 

 浅田先生?それは言う必要なかったんじゃないですか⁉ 

 

 「あのさ、お父さんにちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

 「お父さん?お父さんなら寺にいるわよ。っていうか、ちょっと休んだ方がいいんじゃない?夢來‼」

 

お母さんをちょっと無視しながら私は寺へ向かった。

お経の声が少しずつ近づく。お経読んでるときに寺に入りにくいんだよなぁ。

私はそおっと寺の障子を開けお父さんの真後ろに来る。

突然ちょんちょんってしたら、前に邪気霊だと思われてひっぱたかれたことあるんだよ。

私はお父さんの両肩にポンっと手を乗せた。

お父さんよ、殴らないでくれ……?

お父さんはお経を読むのを辞めたものの振り向くことはない。

 

 「お前誰だ?神力が強い。でも御仏の神力とはまだほど遠いが」

 

 私神力強いの?やっぱり?

 

 「お父さん、私夢來だよ?」

 

 お父さんが驚いたような顔でゆっくりと振り向く。

 

「夢來⁉どうした、神力増えたぞ⁉具合は⁉」

「だから、そのことを聞きに来たの。今日学校で気持ち悪くなって倒れて、帰りに朔ちゃんが神力が爆増する時の病気なんだって教えてもらったんだけど。」

 

 お父さんはついにか、と言って顔をしかめる。

 

 「日本には神力が多い寺が9個ある。そのうちの1つがここ、稲荷神社だ。」

 

 うんそうだね。

 

 「小さいころから神力が並外れに多い寺で育った子、まあお前みたいなものだが、は神力を体に身に着けるような体質になる。神力は少しずつ多くなっていくがある程度の年になると神力が多く増えすぎてしまう時期が来る。身体に抑えきれないほどの神力を何とか吸収しようと作用し普通は1か月ほど寝込んでしまうのだが、お前はもしかしたらもう全ての神力を吸収してしまったかもしれないな。でも、お前はこれから1か月、体調が急変する可能性もある。だから1か月は保健室登校にしなさい」

「えぇっ、困るよ‼」

 

そんな虚弱で紬を立ち直らせようと奮闘なんかできない。

私は保健室登校、紬は不登校じゃあ共倒れじゃん。

 

 「ごちゃごちゃ言わずに早く寝なさい。病気はなり始めが肝心だ。」

 「うぅ、はぁい」

 

 いや、でも普通に学校に登校できないのは想定外だった。朔ちゃんはどうしてたんだろう。

 ベッドに入り、LINEを開く。紬から5件の着信履歴があった。

 『最近どうしてる?』

 『夢來からもらったきのてんのぬいぐるみいつも飾ってるよ』

 『夢來大好き』

 『これからもずっと大親友でいようね!』

 『お返事まってるよ』

 わーお。なんで私着信気づいてなかったんだろう。

 『紬!ごめんね。私は』

 本当はあんまり元気じゃない。でも心配をかけちゃだめ 

 『紬ごめんね。私は元気だよ!きのてん、気に入ってくれてよかった。私も紬大好きだよ。

 すぐにでも紬のことムギュってやりたい!』

 私は携帯の側面についている電源ボタンを押した。画面が暗くなる。最近寝不足なんだよな。

 夜寝る前にブルーライト見過ぎて目が冴えちゃう。

 

 「わっ⁉」

 

私は慌てて頭を抱えた。

これは、たぶん誰かの記憶を見る時と同じ感覚。

誰の?お父さんもお母さんも紬も菜穂花も、私が知ってる人で記憶を見たことない人なんかいたっけ。

誰か忘れてる。

ええっと、朔ちゃん⁉

でも、朔ちゃんの神力の方が上だから私は見られないはずなんだけど。

朔ちゃんがお父さんに撫でられている。

あれ?朔ちゃんのお父さんって高僧で1度お目にかかったことあるけど、こんな感じだったっけ。

若いころのお父さん?いや、でもそれにしても違いすぎるような……

そこで朔ちゃんの記憶は途絶えてしまった。

あそこまで見せられると続きが気になる。

やっぱり私の神力は朔ちゃんよりしたなんだ。トホホ……。

でも、さっきの人本当に誰だったんだろう。

もしかして、これ夢?もういいや。考えること自体がめんどくさい。寝よう

 ………………………………………………………………………………………………………………………………

 お母さんのいびきで目が覚める。

お母さんもお父さんも夜型だから夜にパートをしていて、朝おきるのは私だけ。

お父さんには保健室登校にしろって言われたけど、私がすんなり受け入れるはずもない。

本当に具合が悪くくならない限り、絶対に学校に行ってやるんだから。

私は壊れかけのドアを出来る限り音を立てないようにしながら外へ出た。

ギィッ。やっぱりなるよね。

 

 「夢來」

 「ウヒョッ」

 

 私は防御姿勢をとりつつ振り向く。

 

 「朔ちゃん⁉なんで家にまで来るわけ⁉気持ち悪いよ」

 「お前のお父さんから頼まれたんだ。絶対に保健室に送り届けろってな。」

 

 まったく。厄介者のせいで学校にいけないじゃないか。プンプン

 

 「あと、お前さ、昨日俺の記憶、のぞき見しただろ」

 「のぞき見とは失礼な!私だって見ようとして見てるわけじゃないよ。見えちゃうんだもん、勝手に」

 「どこまで見たんだ?」

 

 朔ちゃんよっぽど見られたくないのかな。わんぱく坊主だったとか?

 

 「えっと、朔ちゃんが知らない人にナデナデされてるところまで、かな」

 「俺がお前に記憶を見られてるのに気づいて俺がそれに抵抗したんだ。お前の神力はきっと俺より多くなる。俺の記憶を見るのももうそろそろだろう。せめて勝手にみられるよりかは、ちゃんと話しておきたいんだ。」

 

 それでわんぱく坊主の話だけ飛ばして武勇伝だけ語るのかな。朔ちゃんが左の袖をまくる。

 

 「なに……これ」

 

 3本のひっかき傷は新しいものではなさそうだが、傷口は緑色に膿んでいる。

 

 「これは俺が6歳の時に付けられた傷。お前は俺が神力が強いと思っているだろ?それはほとんど魔力なんだ。」

 

 神力じゃなくて魔力。神力は人でも持つことが出来るけど、魔力は人が持つことはできない。

 だとすると、朔ちゃんが妖怪だということになる。でも、それはあり得ない。

 

 「俺が6歳の時俺のお父さんとお母さんは妖怪に殺されたんだ。それも、俺が誕生日の日に。お母さんとお父さんはその場で死に、俺も死にかけていた。その時近くの高僧が通りかかって助かる確率の高かった俺を助けてくれたんだ。妖怪につけられた傷は妖怪の血でしか治せない。高僧は昔捕らえた妖怪の血を俺に輸血したんだよ。俺の血は妖魔のものだ。俺の体は妖魔の血でできている。だから、俺は……半分人間で半分は妖怪だ。だから俺は心の底から妖怪を憎んでいるんだ。」

 

朔ちゃんが妖怪?ありえない。

確かに瞬間移動でいたり神力を自分で操っていたりと神童伝説っぽいのはあったけどそれにしても私はそんなこと一度も感じたことはなかった。

じゃあ、私が朔ちゃんのお父さんだと思っていた高僧は本当のお父さんじゃなかったんだ。

しんみりとした空気が居心地悪かったのか、朔ちゃんは話題を振った。

 

 「夢來を保健室につれていくなんてホント苦労する仕事だよ。」

 「世話の焼ける幼馴染で申し訳ございませんでした」

 

 朔ちゃんに真顔で送り届けられ私は保健室に着く。浅田先生が驚いた顔で話しかけてきた。

 

 「夢來さん、また具合悪くなったの?そうだ、病院行った?」

 

 ええと、病名なんて言えばいいのかな。本当の事言っても変人扱いされるだけだし。

 

 「ちょっとストレスで体調不良になってたみたいです。お医者さんから1か月程度は保健室登校が良いと……」

 「1か月⁉そうとう悪いのね。ゆっくり休みなさいね」

 「はい。これからもお世話になります」

 

 私は学生カバンをソファの上に置くとソファに腰かけた。

 

 「夢來ちゃん、これ」

 

 浅田先生がポケットからココアシガレットを取り出す。

 

 「え、校内でこんなもの……」

 「ひみつよ、ひみつ」

 

 そういうと、浅田先生は自分の分を取り出し、豪快に袋を破く。

 

 「こんな感じの先生だったんだ」

 「こんな感じって……どういう意味よ」

 「なんか、もうちょっとキリっとした感じでメガネカチャカチャってやってるイメージだったんです」

 「私がそんなタイプだと思ったら大間違いね」

 

 浅田先生は2袋目のココアシガレットを開けた。

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