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突撃

掲載日:2025/11/07

突撃の前だというのに

あの人は笑顔で話してきた

なぜ笑顔でいられるのだと

不思議に思いながらも

わたしはそれに応じた


話の前か最中か

何かを手渡されたような気がする

覚えていない

その何かが手元にないので

錯覚だったのかもしれない


何を話したのだろう

覚えていない

他愛ないことだったと思う

女の話だったか

やっぱり覚えていないとしたい


そろそろ突撃かというとき

わたしがあの人の腕に手を置くと

それは行かせまいとしてのことではなかったのだけど

あの人はそう解釈したのだろう

わたしの手をゆっくりはがした

それが生々しくわたしの右の手のひらの感覚として残っている


どこかでそんな経験しただろうか

経験があってとして

けれど覚えていない


あの人の去り際

―ほんとうに大丈夫なんですか?

聞くとあの人は薄く笑いを浮かべながら

―あとちょっとは生きるよ

心配してくれと言わんばかりのことを返してきた

そんなことを言うくらいだから

大丈夫なんだろうと思うようにして

あの人を見送った


結局あの人は突撃には参加しなくって

けれどあれだけのことをしたのだ

捕まってしまったのだろう

逮捕を免れたとして

けれど逃げおおせるとでも思っているのだろうか


あの人はどうしているだろう

この町はどうなってしまうだろう

わたしはどうなってしまうのだろう





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