8 一人暮らし始めました
私は、セスの近くにセスと同じような家を買った。
ここから、セスの様子が見える。あれから、勝手に出て行った自分が、恩知らずのように感じたのだ。
もし、まだセスが寂しがっていたら、力になってあげようと思ったのだ。代わりの猫も、つれて来ている。この猫を気に入ってくれると良いのだけれど。
あら、帰ってきた。この間の女と一緒だわ。犬を連れ来たのね。次は犬を飼うのかしら。
もうペットを見付けたのね。この子猫は、私が飼いましょう。
でも、随分薄汚れて痩せた犬。
☆
「どうするんだこのオオカミ。俺は飼わないぞ。カルのテイムしたオオカミだ、君が責任持って飼えよ。」
「分ったわよ。丁度良いわ。今度の討伐に連れて行く。もうソロはきつくなってきたのよ。」
「以前のテイムした奴は死んでしまったものな。じゃあこれで、臨時のパーティーは解散でいいか?」
「ええ、ありがとうね。今まで助かったわ。じゃ帰る。」
☆
あら、犬を連れていっちゃった。
彼女の犬だったのか。じゃあ、この子猫、貰ってくれるかしら。
でも、どう言って渡しに行けば良いの。困った。
私はまず、セスと知り合いになれば、素直に自然に子猫を渡せるのではないかと考えた。
セスの家の前をうろうろして、そろそろセスが出てくる頃を待ち伏せた。
でもなかなか出てこない。困った。
「あの、どうかしましたか?」
びっくりしたー。後ろから来た。てっきり家にいると思っていたけど出かけていたのね。道理で出てこないはずだ。
「あ、あの。私、昨日此方に引っ越してきたものですが、この猫が迷い込んできてので、この家の猫じゃないかと思って、その、えーと、連れて?来たと言うかなんというか。」
「若しかしてきみは、・・ティモ?」
「え?」
なんで?バレたの。どうして?
「兎に角中に入ってくれ。」