7 また捕まって仕舞った
俺は一人で狩りをする。
群れの長に耳をかじられて、片耳になって仕舞ったが、聞こえ方には問題ないはずだ。
だが、なかなか上手くいかない。獲物が素早くて俺にはつかまえられない。群れにいた時は曲がりなりにも食い物にはありつけていたが、今は小さな虫やカエルしか食べる事が出来ない。
身体は痩せ細っているだろう。ガリガリになって毛皮もボサボサでつやがなくなってきた。
匂いを辿って人間の近くまで行って見ようと思った。
人間ならば何かしら蓄えているに違いない。山羊や羊を飼っているかも知れない。囲いの中にいるから、簡単に捕まえることができそうだ。
人間の近くの森に潜んで、じっと人間が通るのを待ち伏せた。来た来た、男と女の二人組だ。
彼奴らなら、食い物を、持っているはずだ。
☆
「セス、そんなに落ち込まなくても、また何か動物に巡り会えるわよ。私の力で、今度は逃げないようにしてあげる。」
「あのティモじゃなければ,もういらない。ティモは特別の猫なんだ。何処に行って仕舞ったんだ。今頃お腹を空かせているかも知れない。」
「ほんとに困った猫ちゃんね。出て行っちゃうなんて。」
「出て行ったんじゃないさカル。絶対違う。俺とティモは運命の出会いだ。自分で出てくはずはない。どこかで迷子になったんだ。可哀想に」
「ふーん。猫が愛人?それとも私はただの、**フレンドなのかしら」
「それは・・」
「じょうだんよ!分ってるわ。貴男とはそんな真面目な関係ではないもの。からかっただけよ。」
☆
近くまで来た。食い物の匂いがする。頼めばくれるだろうか?男は思ったより大きい。怖そうな剣も持っている。下手に威嚇したら、こっちがやられてしまうかも知れない。大人しく引き下がるしかないか。
ゆっくり後ずさりして、「パキッ」「!」
☆
「なんかいるぞ!」
「オオカミよ!」
「下がっていろ!カル。手負いだ!耳がちぎれている。危ないから俺に任せろ」
「何言ってるの!。チャンスよ!私に任せて。絶対仕留めてみせる。」
☆
俺はまた捕まって仕舞った。今度は人間の雌だ。
何故かこの女には逆らってはいけないとすり込まれている。催眠術の類いなのだろうか。
後でわかった。俺はテイマーに捕まったのだ。
これは死ぬまで使われる。彼女は、冒険者だ。危ない魔物に向かっていかせるために俺を使うだろう。
一番、自由がない、奴隷に成り下がってしまった。
神様、俺は何処で間違ってしまったのだろうか。誰か教えて欲しい。