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1 冬の雪山

「スキーなんて何年ぶりだ。」

彼女に別れを切り出され、矢張仕方ない事だと了承した。長年彼女を待たせていたが、もう無理なんだな。

俺も、諦めよう。彼女を愛している。妻とは別れることが出来ない。そんな都合の良い事は、通用しないのだ。妻とは別れることは無理なのだ。仕事に直結した関係だからだ。

別れても良いわよ。と妻は言うけれど、別れた夫婦がいる職場で、どの面下げて働けというのか。

離婚した後の仕事を探す勇気も無い不甲斐ない俺では、彼女を引き留める力が無い。

いっそここで別れた方が彼女の為なのだ。


「そうね。」

彼は私の事を愛していると言うけれど、其れは違う感情だとこの頃気づいた。

彼は私の事は、好きではあるけれど自分の事の方が大事だ。自分の仕事自分のステータス。自分のライフスタイル。若かった私は、憧れていただけなのだ。素敵な見た目、金払いの良い気っぷの良さ。

馬鹿な私。あたら若い時代を無駄にしてしまった。

これから、別れた後、私はスキルアップのために外国に行く。知り合いに誘われているのだ。彼女の仕事を手伝いながら、語学を勉強しよう。この、なかなか切れなかった関係がスッキリしたら私は、幸せかしら。


「彼方に行って見よう。何かの施設らしい。」

「そうね。少し疲れたわ、休みましょう。」

其処は、四阿だった。白い石造りの至ってシンプルな休憩所。私達は、スキー板を脇に寄せ、ベンチに腰掛けて周りを見まわした。

「何だここだけ妙にハイテクだ。プロジェクトマッピングになっている。」

「凄いわ。綺麗な森に砂丘、草原まである。私達の入ってきたところは冬がテーマになっているのね。しゃれてる。とてもこの田舎の設備とは思えないクオリティーね。」

「機械の設備かどこに有るのか分らない。巧妙に隠されているな。」

「そうね何処も手を触れる事が出来ないわ。もう、帰りましょう。冬の場所なら通り抜けられるはず。ここから入ってきたのだから。」


その場所から出た途端、私達は、転げ落ちてしまった。

起き上がってみてみると、目の前に恐ろしい牙をむきだしたオオカミが此方をじっと見ていた。



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