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11 終章

あれはやはり冬馬だわ。

あの雪山で見たときには、気付かなかったけれど。あの時彼は確かにスカーフをしていた。

変なオオカミだと思ったのだ。彼はきっと魔法のスカーフをなくして仕舞ったのだ。

人間に戻れなくなってしまった。

今彼は魔物と戦って傷を負い死にかかっている。

私のポケットで直してあげる。早くしないと死んでしまう。

魔法の力で人間に戻してあげよう。そして元の世界に返してあげよう。

彼には若い自分を捧げたけれどもう彼を彼の家族に返してあげよう。

彼は奥さんを、愛している。私は分っていたのにいい女のふりをして彼にくっ付いて離れなかったのだ。

私が自分のエゴで、彼を引き留めていたのだ。

もう、私は、そんな苦しい生き方はしない。

此処に私の幸せを見付けたのだから。

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