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プロローグ

「これでさようならね」

「ああ、この旅が俺等の別れだ。」


一ヶ月前、私達に草書で書かれた不思議な招待状が届けられた。

半信半疑でここに来てみたが、こんなホテルの一室に何があるというのだろう。

ここの場所は北の外れにあるひなびた温泉街だ。

ここはスキー場も併設された温泉施設で、冬がかき入れ時なのか宿泊客も多くいた。

その中に、これから別れてしまう二人が来て、何になると言うのだろう。

でもこれでスッキリするわ。長年この人と付き合ってきたが、もう辞めたい。自分の将来の為に、この人とはお仕舞いにしなければ。

彼は、妻帯者だ。所謂不倫関係の私達に未来はない。

余りにも長く関係が続いてしまって、お互い言い出せなかった。これで、踏ん切りがつくだろう。

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