第八十話:転生者
登場人物紹介ですが、思いの他時間がかかりそうなので、先に最新話を投稿します。
前章の登場人物紹介は、完成次第投稿します。どうかご了承ください。
~?~
僕は…いや、僕のままで良いか。とても現実のものとは思えない大樹の麓で目を醒ました。そして目を醒まして早速、自分の体の状態を簡単に確かめてみる。
違和感は無い。眠る直前の恐ろしい記憶が未だに脳裏に焼き付いたままだが、それでも今の僕が五体満足である事に間違いはなさそうだった。
今の僕は、眠る前の記憶…即ちエルル少年としての記憶が、一部を除いてほぼ完璧に残っている。しかし銃撃を受けた際のショックからか、死にかけた際の記憶が一部欠落しているようだ。
それと同時に、今の僕には別人の記憶が混在している事も判る。この記憶はエルル少年とは関わり合いになる筈の無い別人の者で、どうやらエルル少年が生まれた世界とは全く別の世界の住民であるらしい。
「今の僕って一体…」
勿論今の自分がエルルである事に変わりは無いものの、こちらの記憶の持ち主の方が自分自身であるという自負があった。その別人が、姿形を変えてエルルと言う名前を名乗っている感覚が近しい。
しかし、それぞれの人格がエルル少年の身体に同居しているようには思えない。人格は間違いなく僕一人だけ、その人格がエルルでは無い別人…鬼召柊煉道であると訴えかけて来るのだ。
そしてこの鬼召柊煉道と言う人物は、嘗ては刀鬼と呼ばれた刀の達人だったらしい。僕の記憶違いで無ければ、彼は戦の最中で不覚を取り果てた筈だ。
しかし、その死んだ筈の男は今ここに居る。姿形をエルルに変え、エルルの中で生きている。
一体何が起こっているのか?考えてみたものの、自分の中でこれと言った納得のいく回答を導き出す事は出来なかった。
そもそも今の僕って、一体どう言う状況にあるのだろうか?虚空に問いかけてみるものの、勿論返答などある筈も無い。
「って、それどころではないかも…」
そして目覚めて早々、僕の脳内にけたたましい言葉の奔流が流れ込んで来る。これは『天啓』なる代物だそうで、僕は『天啓』曰く『神話』の主要人物…それも『栄傑候補』なるものに選ばれてしまったらしい。
この『天啓』が何なのかさえ解らない現状だが、少なくともこの先、僕の人生に平穏が無さそうな事だけは理解出来た。そして『栄傑候補』となった事で、僕がこれからすべき事が『任務』として知覚出来るようにもなっている。
この内容をざっと確認してみたのだが、もうここだけで面倒事の匂いがプンプンする。鬼召柊煉道だった時ですら悪運の強さには定評のあった僕だけど、それはエルルとなって尚健在であるようだ。
全く嬉しくないーと思った矢先、この空間内の空気の流れが一変する様を肌で感じ取った。
この感じ、微かに身に覚えがある。恐らくは、あの天使を名乗る謎の少女が現れたか。
あの少女のついても謎が多く、そもそも彼女が敵なのか味方なのかさえ不明な現状。そこについては、これからこの目で見定める必要があるだろう。
「刀ならば兎も角、舌戦であの少女に勝てるのかな?いや…刀も」
自身の開かない右拳を前に、打ちひしがれる事となる僕。この右手では、刀を握る事さえままならないだろう。
しかし、エルルの記憶を辿ると、この右手は何らかの条件を満たす事で開くのだそう。その時が来るのを待つしか無いかと、僕は僕なりに結論付けるに至った。
それはそうとしてだ。
初めて会った時を思い出す、あの少女が纏う不気味な雰囲気。僕も剣客の一人として人間観察の精度を相応に極めた筈なのだが、彼女の人となりを全くと言って良い程見抜く事が出来なかった。
ああ言う人物は元居た世界でも相対した事があるのだが、のらりくらりと立ち回る事が得意な掴み所のない面妖な者が多かった。正直、僕からしても苦手なタイプではある。
ただこの感じ、恐らく僕が逃げる事は難しいだろうし…そうこうしている内に足音が大きくなって来ている。何とか、無事にこの場をやり過ごせれば良いのだが。
~~~~~
久しぶりに戻って来た、精神世界。俺はあの少年…エルルの寝覚めを察知して、急ぎここに戻って来ていた。
かなり時間がかかってしまったが、これで漸く俺も動き出す事が出来る。彼が目覚めるまでの間、時間稼ぎのような事しか出来なかったのは大変心苦しかった。
しかし、それも今日で終わりだ。後はあの少年を軽く甚振りながら、上手く事を運べば良いだけの事。
ただ一つ懸念があるとすれば、俺が狙っている最終目標について。現時点で一度も成し遂げていないが為に、今回もまた同様に失敗してしまうかもしれない事だろうか?
時期的に、今回はどうあっても失敗する事が出来ない。一応過去の実験結果から獲得したノウハウを用いれば、大分方向性は絞れる気がしないでも無いのだが…
とそんな感じで一人考え事をしながら歩みを進めていると、少しして目標の姿を捕捉するに至った。どうやら既に目覚めていたらしく、向こうも同様に俺の姿を認識して真っすぐにこちらを見詰めて来ている。
その視線が何処か虚ろと言うか、思っていた程恨みや怒りの籠った視線では無い事を受け、ちょっとだけ困ってしまう俺。俺の目的を鑑みると、寧ろ俺の事を敵視してくれるくらいでちょうど良かったのだけど、相手方も『王の器』の持ち主である以上そうも言っていられないか。
そして開口一番、俺は想定していた事態と全く異なる様相を見せていた彼を前に、思ったままを吐露してしまう。
「あれ?何で欠損無い訳⁉」
「?」
おかしい。先程俺は、期待との裏取引によってエルルの両手両足を消し飛ばした筈である。期待曰く「何故か右腕だけは飛ばせなかった」との事だから右腕が残っている事については了承済みだったのだが、今のエルルは何処にも欠損した後が見受けられなかったのだ。
そもそも肉体の損傷って、精神面には反映されなかったっけか?現に俺も、現実世界では欠損していりうものの、ここではしっかりと五体満足だからなぁ。
ただ、人によっては精神世界でも反映される事もある。ここは人に寄りけりなのかもしれない。
「まぁ良いや。現実を刮目して震えればいいだけの事」
「待って、説明が欲しいんだけど」
「うん?何か別人みたいだねぇ。一体何があったのやら」
なんて含みがありそうな前置きをした後、彼女は現実世界で起きている事を、懇切丁寧に、まるで自分の功績かの如く饒舌に語り始めた。
「ーって感じでね。さっき俺の同…いや、友達にお願いして、君の両手両足を飛ばしてもらったんだわ。今の君は芋虫人間だよん、おめでとう」
「はい?」
「解らない?今の君は、両手と両足が無い状態なの。俺の差し金でね、良かったね」
ここまで言ったにも拘らず、エルルは自分の置かれた状況を理解出来ていないようだった。無理も無い、何せここ『精神世界』において、彼の身に欠損などこれっぽっちも見受けられないのだから。
「何を言っているの?妄言?」
「いや、事実。ああ、現実は兎も角こっちには反映されてないみたい。折角だしちょっとだけ見せてあげよう」
そう言って俺は羅神器で作り出したスクリーンを作り出し、エルルの目の前で現実世界で起こった事を懇切丁寧に映し出してあげた。表のエルルは全く異なる姿を執っているので、該当の人物を指差して「これがエルルだよ」と優しく教えてあげる。
「こうして、エルル少年の両手両足は無残に消し飛びましたとさ。めでたしめでたし」
「何がめでたしめでたし、なの?意味が解らないんだけど、怖い…」
俺のサイコパス全開な語り口を受けて、エルルが本気で怖がっている。しかし時が経つにつれて、次第に状況を的確に掴み始めてきたようで、段々と俺に向けられる殺意が強まって来ているのが判る。
「確認だけど、君は僕の敵なの?」
「そうだよ。そりゃそうに決まってる」
だからもっと煽っておいた。効果は覿面であるようだ。
そうそう、それでいい。エルル少年の両手両足を欠損させたのは俺なのだ、もっと俺を恨むがいい。
何なら俺が恨まれる為に、態々両手両足を消し飛ばさせるなんて面倒な真似をしたまであるのだから。
だがその後、エルルはシュンと言う効果音が似合う様子で、俺から若干下目に視線を外してしまう。その表情はどこか悲しそうだ。
え?もしかして落ち込んでる?落ち込まれた場合、既定路線に行き着いてしまう可能性が大幅に上昇する。
既定路線に行き着くのはまずい、それならもっと煽らないと!
「あの?状況理解出来てる?俺の目覚ましい活躍のお陰で、君はもう二度と自分の足で歩く事も、自分の手で何かを掴む事も出来なくなったんだよ?もっと感謝してくれても良いんじゃない?」
「刀…僕の生きる意味が」
さらに落ち込むエルル。あ、あれ?
「刀?何か喜悦みたいな事言うね。でも大丈夫、その刀?も、もう二度と握れなくなったから。俺のお陰でね、良かったじゃん」
クソッ!サイコパスを前面に押し出して煽っているのに、ロクに響いている感覚がしない。俺は一体、何処で間違えてしまったと言うのだろうか?
だが、ここでふと引っかかったのが、エルルの口から飛び出して来た「刀」と言うキーワード。エルル少年が生まれ育った環境で刀に触れる機会など無い筈。
しかもその刀を、自分の生きる意味とまで言い切る始末。俺は確実と言って良い違和感を感じ取っていた。
そうなると、もっと別路線で煽った方が良さそうかな?ぶっちゃけ俺、エルルには目の敵にしてもらいたいんだよね。
「って言うかさ。刀が生きる意味だか何だか知らないけど、現物がそもそも無いじゃん?どの口が言ってんの?って感じなんだけど」
「確かに、愛刀も恐らく鹵獲されてしまっただろうね…」
だから何で落ち込むんだよ⁉しかも鹵獲って何だよ⁉そんな大事なモノ、まんまと他者に明け渡すんじゃねーよ!
とここまで言って気付いた。その断定し切れていない言い方を鑑みるに、エルルは自分の愛刀の行方を知らない訳だ。
その上で愛刀とやらを手放さねばならない状況、まさか…
「念の為に聞くね?貴方は誰?何者?」
「判らない。僕はエルルであり、同時に鬼召柊煉道でもある」
「鬼召柊?」
彼の言い分を真に受けるなら、今現在彼の意識はエルルと鬼召柊煉道の両名が混在した状態にあると言う事だろうか?この感じ、内在性の解離性同一性障害では無さそうだし、個人的に「鬼召柊」と「刀」と言う二つのキーワードが結びつく事を鑑みると…
「もしかして、転生者か」
「転生?道教の経典にもある、輪廻転生に纏わる何か?」
「いや、多分違うと思うけど」
輪廻転生は仏教では…なんて野暮なツッコミはしない俺である。
それはそうとして、何の因果か知らないが、どうやらエルルと言う少年は、鬼召柊煉道と言う謎の人物が転生した先であるようだ。出会った当初は前世の記憶も何もかも喪失してしまっていたようだが、それが俺の計らい?によって取り戻されてしまったらしい。
「(こんなの聞いて無いって!いや、確かに生まれや育ちの割には、似つかない器の持ち主だと思ってたけども⁉)」
これを受けて俺は、再度頭を抱える羽目となった。転生者か…今回に限って、くじ引きで大凶を引き当ててしまった気分である。
転生者って、一度死んでしまっているのがタチが悪いんだ。一度死んでしまったからこそ、死についての経験があり、これが災って死を必要以上に怖がらなくなってしまう。
つまり常人と比べて生存意欲が薄い。生存意欲が薄く死を知ってしまっているからこそ、人が本来持ち合せる生存本能の影響を強く受け辛いのだ。
こういう人達って、良くも悪くも目の前の現状を素直に受け止める事が出来ると言うか、それで居てすんなりと受け入れるが故に、あまり反抗しようとしないんだよな。エルルに関しても、今回みたいな理不尽な目に遭ったとて、その元凶となった俺に敵意を向ける前に、自分の置かれた現状を実直に受け止めてしまったのだろう。
そしてこう言う理解が早い連中に限って、諦めも早いのが常。今回もまたこれに則った結果と言う事か、余計なお世話である。
「多分だけど、鬼召柊煉道って故人でしょ?その人がエルルに転生したのが、今の君なんだと思うよ」
「そんな眉唾、実在…するんだろうね」
「現に君の身に起きてる訳だしね。そして君の言及を聞く辺り、刀の扱いに長けた人だったのかな?そして何も知らない俺が気を利かせて、その長所をむざむざと奪ってあげた訳で。偶然とは言え、粋な事をするもんだねぇ、俺も」
「成程、漸く状況が掴めてきたよ」
そう言って、穏やかな笑みを浮かべながら俺の方を見遣るエルル。
何でこの期に及んで俺を敵視しないんだコイツは⁉さっきの殺意はどこ行った⁉
もう煽るのを止めて、別のやり方を選択した方が良いのだろうか?と思った矢先、エルルが唐突に斬り込んで来た。
「つまり…お前が余計な事を仕出かしてて、それを誇らしげに語りたい訳だよね。確かに僕は刀を振るう以外に能の無い人間だったけど、お前もお前で大した事無さそうだね」
いきなり口調が鋭くなり、エルルの纏う雰囲気が一変した事を感じ取った俺。
正直そう思ってもらえる分には問題は無い。だがここで澄ました顔で居ると勘繰られそうなので、ちょっとだけ動揺しておく事にする。
「確かに、俺はごく一般的なサイコパスでしか無いかもしれない。でも依然、君の置かれた状況が悪い事に違いは無いよねぇ?余裕ぶっこいてる暇あんの?」
「余裕は無いよ。でも戦場において、余裕を失う事即ち死に直結し兼ねないから」
余計な猿知恵を…
でも成程、豊富な戦闘経験から来る処世術のようなものか。この調子だとエルル君、何れ普通に『無属性天種』になっちゃいそうだなぁ。
それは何としても阻止せねば!
「じゃあ一旦、その余裕を奪っちゃおうかな。俺は十大天魔:第一席ことセフィロトちゃんだぜい。この界隈における正真正銘の最高位種族「地種」の一角にして、この界隈における有数の地種「十大天魔」に名を連ねる、自他共に認める絶対強者なんだぜい?」
「十大天魔?絶対強者…?」
「何だよ、疑ってんのか?」
でもエルルの懸念も無理は無い。何せ十大天魔における席次って、当人の戦闘能力では無く、持ち得る影響力の代償で加味されてるみたいだから、席次が上=強いって訳では無いからね。
そして悲しい事を言ってしまえば、俺は他の十大天魔についても幾らかの面識があるのだが、割と十大天魔最弱の汚名を着せられても仕方ないとさえ思っている。第一席さん、名前や称号の割にあんまり強く無いっす…
だがここで、エルルは盛大に誤解しようとしてしまっていた。
「十大天魔って名前は凄そうだけど、案外大した事無いのかな?」
「待って待って!その認識は危険だから!確かに俺は大した事無いかもしれないけど、他の十大天魔はマジでヤバいから!」
「それ、自分で言う?」
俺も全員を知ってる訳では無いのだが、俺の知ってる十大天魔が紛う事無き絶対強者である事は確かだ。間違えても舐めてかかっていい相手では無いのは確かだし、そもそも十大天魔と言う時点で有り得ないのだが…肝心のエルルも鬼召柊煉道も、十大天魔の事を知らないようだ。
これ、十大天魔の印象付けをもっと意識して、強者に相応しいムーヴをすべきだったかな?今となっては遅いけど。
「ま、舐めても良いけどね。そんで磨り潰されればいい…あ、やっぱダメ」
「さっきから何なんだ…」
「そんな事より、もっと別の事を気にした方が良いんじゃない?例えばそうだなぁ…『天啓』とか?」
「⁉何故それを」
それは勿論、俺が…いや、これは言うまい。後で良い。
因みに今回の『天啓』、俺は俺で第二次の通告を受けていたのだが、それとは別にエルルが第一次の通告を受ける様を聞き入れていた。その時点で、エルルが『栄傑候補』に選ばれた事ももちろん知っているし、真なる英傑として覚醒する為の条件についても聞き入れていた。
そしてその条件を達成するに当たって、十大天魔は避けて通れない存在である筈。一人の人間には荷が重過ぎる条件だとは思うが、これが直々に下されてしまった以上エルルに逃れる術など無い。
ワンチャン自殺すれば…ってとこだが、それは俺が許さないからね。
「そうだ!折角だし、当事者となったエルル君にも『天啓』について教えておいた方が良いよね」
「その言い方、何か知っていると?」
「勿論、俺これでも十大天魔だしね」
「自分でそれを言うのか」
俺はその真っ当なツッコミにガン無視を決めた後、俺は『天啓』及び『神話』に纏わる情報を惜しみなく開示した。但し、『星職者』に纏わる内容まで話してしまうと混乱してしまう懸念があった為、ここだけは軽く触れるに留めておいた。
しかし俺の懇切丁寧な説明が功を奏してか、彼の中で『天啓』や『神話』に纏わる理解が十分に深まったようだ。最も、俺の言う事を素直に聞き入れてはくれていないようだが…
「言いたい事は判ったよ」
「いや、言いたい事とかどうとか、そんな話では無くてだね」
「要するに僕は、『十大天魔:第一席』を斬り殺して『真なる栄傑』となれば良い訳だ」
そう、エルルに課された『任務一覧』は、『十大天魔:第一席』を倒す事らしい。何と言うか、災難だったな…
「簡単に言うけど俺、強いぜ?」
「…」
「ちょっ、何で訝しむんだよ⁉」
エルルと言う『栄傑候補』に下された任務は『十大天魔:第一席を倒す事』、方法や手段は問わない。倒すの定義が明確でない以上確かな事は言えないのだが、要はエルルは俺に対し一矢報いねばならない訳だ。
だが俺は旅団内で「管制防御最強」の異名を賜った通り、防御についてはかなり得意であると言う自負がある。目先の標的が俺である以上、この条件が履行される可能性は相当低くなっていると思って良いだろう。
ただこの条件、実は裏道が残された条件となっているのも事実。俺は出来るだけ、エルルの逃げ道を塞ぐような動きをせねばならないだろう。
ま、覚醒されただけではこれと言った問題にもならないんだけど、それでも懸念事項はあるし…原則妨害するで良いと思う。寧ろ、俺の目的を鑑みても妨害は積極的にすべきかな。
ただ一つ危ういのが、エルルが俺を舐め腐りつつある事なんだよな…言いたくなかったけど、どうしようもない事実を告げてしまうべきなのかな?
「兎に角、俺を倒す為には、何としてもここを脱出しないといけないのでは?」
「そうだ、そもそもここは何処なんだ?」
「言う訳無いじゃん。俺利無いし」
「え?何だよそれ」
本来のプランに拠れば、俺が散々エルルを煽った後、逆上した彼に力を与えるだけ与えて飼殺すつもりだった。しかしこうなった以上、一度残酷な現実を知らしめる必要があると判断した次第だ。
計画のフェーズが少し遅れそうなのは残念な所だが、こういう場面ではじっくり焦らず事を進めるべきだろう。特にエルルの精神性が俺の想定を上回っていた事からも、遠回りになってでもこれを徹底的に潰す必要があると判断した。
気が変わった。今回は、俺の脅威度を疑っている所を逆手に取る手法を選ぶ。こうなれば、徹底的に舐めさせてみよう。
「だってここが何処か言っちゃったら、俺倒されちゃうじゃん。そんな物騒な任務を背負わされていると分かってる以上、余計な情報は開示しないもんね!」
「絶対強者では無かったのか?」
「絶対強者でも無敵では無いんですー!あ、でも流石にここが、現実世界とは隔絶された場所って事だけは割れてるか。だったら最低限、ヒント位はあげちゃう」
なんて言いながらも、直結するようなヒントを授けない辺り俺って意地悪。しかし何かの助けにはなるだろうと判断した上で、俺は三つのモノを彼に贈呈する事とした。
どっちみち、この三つのモノは最初から与える想定だったものだ。ちょっと強引にねじ込んだ感は否めないが、そこはあまり問題では無い。
それじゃ、俺が知ってるテンプレを思いっきりなぞってみようかな。
「それじゃヒントその一、君に力を授けちゃおう。勿論無償で」
「?」
「刀、欲しいでしょ?」
「…」
ここで黙り込んでしまうエルル。いや、思案に耽っている様だ。
もうヒントもクソも無いのだが、俺はエルルの前に六振りの刀剣を提示した。その内の一振りが太刀、もう一振りが小太刀の形状をしているのだが、他四振りに関しては西洋のロングソード二振りと、サーベル二振りとなっており、どう見てもこの四振りが刀で無い事だけは明らかだった。
エルルもまた、微妙な表情で六振りの刀剣を交互に見定めている。
「正気か?もしこれを手にすれば、僕は空かさずお前を斬り殺すよ」
「やってみな、でも俺強いぜ?」
「やってやるさ。でもこれ、実質二択だよね?」
そう言って太刀と小太刀を指差すエルル。残念ながら、それはただの刀剣では無いんだ。
「ああ。初期の形状は違うけど、自分の意思で形状位幾らでも変えられる。どれを選んでも刀としての運用は出来るけど、性能には差異があるからよくよく吟味して選びな」
「本当に何だそれ…」
「それは羅神器の眷属器って代物でね、天使徒って言う付喪神的な何かを宿した最高位の刀剣なのさ。一応俺は親切丁寧をモットーに活動してるから、性能も特別に見えるようにしておく」
そう、これは正真正銘羅神器。それの眷属器であり、これならばエルルであっても使いこなす事が出来る。勿論今のエルルではその性能の全てを引き出す事は出来ないだろうけど、それも今後の成長次第ではその限りで無い。
何より大切なのは、ここで自分に合った眷属器、自分と相性のいい眷属器を選ぶ事だ。形状など本当に些細な事であり、ここでは性能に対して一切妥協しない事こそが何よりも重要。
利害は度外視の上で、実直に自分に合った性能の羅神器を選ぶべき場面なのだ。
しかしエルル視点、俺がこれらを「あげる」と言って差し出した所を、未だに勘繰っている様だ。
「これは罠か?」
「いや、本気の本気で無償提供するって。転生者は女神様からチート能力を貰うのがテンプレって、何処かで聞いた覚えもあるし。俺、女神さまでも何でも無いけどな!」
「判らん。何が目的でそんな真似を…」
「良いから良いから。君が気にした所で欠片も理解出来ないから」
「む…」
そうは言いながらも、エルルは早速六振りの刀剣を吟味し始める。受け取る気満々なのなら文句を言うなと言いたい。
だが今の俺の言葉を聞いても、本当に判らないと言った反応だったな。もしやとは思っていたが、エルルはあの世界からの転生者なのか。あの苗字からしても、得心はいくけどね。
「本来であれば、迷う事無く太刀か小太刀のどちらかを選ぶのだが…」
「あ、補足しておくけど、これらの武器は二振りで一セットなんだよ。何れか一振りを選べば、自動で対となってるもう一振りが着いてくるから。一石二鳥の大サービス」
「何それ⁉都合良過ぎて、猶更怪しくなるんだけど」
「つべこべ言わず選べば?あんまり煩いと、あげないよ?」
「…いや、選ばせて頂く」
流石に、これ以上の口答えは無粋と判断したらしい。黙って六振りの吟味に戻るエルル。
「性能だけを見るなら、選ぶべきは西洋の両刃の剣になるか…」
因みにこの六振り。それぞれが二振りづつのセット武器となっており、この二振りを合わせる事で並みの羅神器を大きく凌駕する性能を発揮する事が出来る。
そしてそれぞれのセットが、攻撃、防御、攻防一体と特定の方面に特化した性能を有して居るのが特徴的だ。良くも悪くも、性能が尖っているのである。
「ロングソードのセットは「3/12:ジャンナ」と「3/26:チンワト」だね。見て判る通りの攻撃特化、君が刀の使い手って事は刀一振りだけで攻撃も防御も完結する訳だし、相性は良さそうかも」
「僕達武士について、殊の外詳しいね…」
「それは勿論、俺は十大天魔:第一席だからね。知ってて当然かな!」
「相関性あるのか?そこ」
無いと思うが、それはそうとして。
「3/12:ジャンナ」と「3/26:チンワト」のセットは、俺も普段愛用しているセット装備で、有無を言わせない完全攻撃特化。高い火力でごり押すと言うよりかは、ありとあらゆる防御手段を看破しつつ、対象に応じた致死性のダメージを与える事に特化した性能を有して居る。
現状、俺が知っている羅神器の中でも、屈指の攻撃性能を誇っている二振りと言っても過言では無いかもしれない。「反動操作」の権能を始め、攻撃に特化した権能が勢揃いしているのが特徴だ。
しかし「反動操作」以外の能力については、制御や扱いが非常に難しいものが多く揃っている印象だ。その上制御の重要性が非常に高く、これに一度も失敗出来ないと言う点が扱い辛さを齎していた。
俺も制御に注力した結果、この羅神器をおいそれと運用しきれずに居た。仮に制御に失敗した際、適用したい対象だけに留まらず、その周囲に二次被害を巻き散らす側面もあるのが厄介過ぎる。
でもまあ、強力な羅神器である事に変わりは無い。
「でも刀の方…「5/8:ニルヴァーナ」と「4/8:サンサーラ」のセットも、相性最悪って事は無さそうだけどね」
「こちらは逆に防御特化か」
「そ、刀の見た目しておいてカッチカチだよーん」
対して太刀の形状をした「5/8:ニルヴァーナ」と、小太刀の形状をした「4/8:サンサーラ」。こちらは殺意満々のビジュアルの癖して、完全防御特化と言って良い性能を有して居た。
勿論被ダメージを減らす、無くす事を得意としているのは勿論、それ以上に回復に特化した権能を多く内包しているのが特徴的だ。また「攻撃は最大の防御」と言う諺があるように、攻撃と言う手段を用いて防衛を行う手段も豊富に取り揃えてある。
その代わりと言って良いのか、決定打に欠ける所は否めなかった。出来る事は多くて対応範囲も広いんだけど、やっぱり意図的に火力を出す方法が皆無なのが辛い。
その癖して、敵方の防御手段を貫ける権能も殆ど無いし…厄介だけど脅威では無いって評価に落ち着くかな?燃費も使用感も良いんだけど、わざわざ羅神器でやる事か?って聞かれれば微妙な感じもする。
でもまあ、強力な羅神器である事に変わりは無い。
「サーベルのセットは「12/25:エデン」と「10/10:カナン」だね。柄の部分を繋げれば、薙刀みたいな使い方も出来ちゃう優れもの」
「一見、性能だけならこれが一番強力に思えるんだけど」
そう、一見強力そうに見える二振りのサーベル、「12/25:エデン」と「10/10:カナン」のセット。これは端的に言えば攻防一体型の羅神器で、攻撃面は圧倒的な高火力でごり押ししつつ、防御面は鉄壁の障壁や結界を張る事で付け入るスキを与えない、最強の王道を極めたような分りやすい性能をしている。
火力の高さと言う点ではロングソードのセットを大いに凌駕し、障壁や結界の強度と言う点では太刀のセットを優に超える。性能面だけで言えば、目に見えた弱点は存在しないようにも思えるだろう。
しかしこの羅神器の最大の弱点。それは性能面からも伺えるのだが、燃費が桁違いに悪い事だろう。
この羅神器、何をするにも途轍もないエネルギーを食ってしまう。この性能なら長期戦に持って行きたい所なのだが、燃費の悪さが祟って、寧ろ短期決戦に持ち込まざるを得ないのが辛い。
また攻防共に隙は無いものの、その手段自体は然程多くない。基本的に圧倒的な性能のごり押しで戦う…と言うかそれしかしない羅神器なので、搦手や小細工を得意としていないのだ。
でもまあ、強力な羅神器である事に変わりは無い。
「カタログスペック自体は優れてるんだけど、どれにしても癖が強いのがねぇ。ま、どれを選ばれても大差ないし、どうでも良いか」
「確かにどれを選んでも外れは無さそうだけど…でもやっぱり、攻撃特化のこれかな」
そう言ってエルルは、「3/12:ジャンナ」と「3/26:チンワト」のセットを選択した。それを羅神器が了承したのか、「3/12:ジャンナ」はすぐさま本差の形状に、「3/26:チンワト」はすぐさま脇差の形状に変化を遂げた。
今更だけど、実はエルルに言っていなかった話。羅神器には適性と言う概念があって、これが無いとそもそも選ばれる事も無い…ってうおっ⁉いきなり斬りかかって来るな!
「危ないじゃん!俺死ぬって!」
「それこそが僕の本望。折角武器も手に入れたんだし、早速試してみようかなっ!」
「この展開知ってたー!だったら俺も、応戦させて貰うぜい」
そう言って俺は、エルルのと同じく「3/12:ジャンナ」と「3/26:チンワト」のセットを、二丁拳銃の形状に変化させ、この猛攻に応じる事とした。
苦手な間合いでの戦闘を強制されてしまっている訳だが、曲りなりにも「管制防御最強」。この称号自体にこれと言った意味や意義は見いだせて無いけど、この異名に恥じない捌きは見せていきたい所。
「それじゃ、このまま二つ目。ウチの同士の一人が作った便利アプリを使えるようにしてあげるよ。でもこんなに派手に動きながらじゃ、端末の操作が難しいなぁ」
「嘘⁉この自称天使、思ったより動ける⁉」
「良いね。舌先が回るようになって来たじゃん」
「余計なお世話!」
しかし何とか隙を見計らって、エルルに例のアプリを送り付ける事に成功した。初期設定を済ませた特別版を送っておいたので、これをエルル側がインストールさえしてくれればすぐさま使えるようになる。
これはきっと、巡り巡ってエルルの助けになってくれる筈だ。上手い事有効活用して貰いたい。
「だから、何故当たらないんだよ⁉」
「にしても鋭くて力強い剣撃だこと、俺じゃなきゃ殺られてたね」
俺はそう言いながらも、華麗な体裁き?銃捌き?を駆使して、エルルが繰り出す変幻自在の剣撃を捌き切って見せる。
その様はまるで、氷上を舞う白鳥が如く優雅で可憐。俺の元の容姿が美少女に似て…あ、やっぱこれ無し。俺の威厳と尊厳に関わるから、どうか何も聞かなかった事にして欲しい。
そんなこんなで縺れる両者の間では、衝突する火花を具現化するかの如く、時たまけたたましい銃声が響き渡っていた。勿論これは俺の二丁拳銃から生じた、俺を勝利へと導く福音である事は言うまでも無い。
「ちょっ、刀の腹を狙って銃弾を当てないでくれない?剣筋がズレる!」
「いーやーでーすー!俺だって死にたく無いんだもーん」
「てか何で、こんな高速で動きながら、そんな的確に銃弾を当てられるの?至近距離とは言え!」
「至近距離だからかも。遠距離戦闘にシフトしてみる?」
「いや、距離を詰めてこそ僕に勝機が生まれる!そんな甘い誘惑には乗らないから!」
「別に誘惑なんてしてないと思うけど…どうやらエルル少年の脳内は、アドレナリンで満ち溢れてるみたいだ」
「それ、妙に鼻につくから止めて!」
因みに今、俺とエルルの接近戦は熾烈を極めている。刀鬼と言う異名が似合う程のほれぼれとする刀捌きで俺を追撃してくるエルルを、二丁拳銃を握った俺があの手この手で捌き切っているのが現状だ。
正直、エルルの刀の腕前には御見それした。俺が知っている限り一番の刀の名人である喜悦とも互角に渡り合えそうに思える程、美しく無駄のない刀捌きであった。
しかし拳銃を握りさえすれば、その喜悦と近接戦で渡り合えるのがこの俺だ。
基本的には躱す事を前提に、避けられない剣撃については刀の腹を上手く用いて対処している。刀の腹に銃弾を当てたり、銃本体を使って押したり流したりしながら、ほぼほぼ完璧に捌き切る事が出来ていた。
その様はまるで、水上を舞う黒鳥が如く優美で清廉。今の俺は誰にも仕留められない…あ、これは流石に言い過ぎか。
「三つ目は…アプリの中に仕込んでおいたから、それを見て貰うしかないかな。って事でプレゼントは一旦終了、後は頑張ってちょー」
「くっ、本当に当たらない!」
「君が幾ら刀の扱いが上手いとは言え、その扱いってのは人体の構造や性能に依存する。俺はそれを熟知しているし、君は身体のスペックが足りてないからこそこうなる、正しく自然の摂理だね」
「それ、誤用してるって!」
お、少し加速した。でもこの位なら、俺にも捉えられない事も無い。
でも打ち合って見て判った。確かにエルルの腕は中々のものだけど、喜悦には数歩劣るかな、まぁアイツの剣撃はこんなもんじゃ無いからな。
「少し速くなったけど、その分動きが単調になってるよーん!その程度じゃ全然届かないなー」
「単調になったって言っても、誤差でしょ!」
「馬鹿め!その微かな誤差が勝敗を決定付けーる」
「いきなり正論止めれ!」
そして俺は戦闘中、隙を見てはエルルを煽り散らかしている。これが功を奏してか、若干エルルの表情に苛立ちが垣間見えるようになって来ていた。
勿論、エルルはエルルで常に冷静であろうと努力しているようだ。しかし高速戦闘をしている最中と言う事もあり、そちらにリソースを割き切れていない印象を受けた。
並みの豪傑に比べれば大したものだが、それでも心が揺れ動いてしまう辺り、まだまだっすな。良く言い換えれば、伸びしろですわ。
「あれ?今度は動きが鈍くなって来たね?もしかして疲れてる?」
「有り得ない、まさか一撃も当てられないとは」
「ああ、俺が受け止めないから余計に疲れてるのか。そうだよね、軽いとは言え刀の引き戻しや振り抜きでスタミナ消耗するもんね。遠心力を利用した攻撃なんて当たる訳も無いし、つまり詰んでる訳だ」
「べ、別に詰んでる訳じゃ無いから!まだまだー」
「ーそしてツンデレ要素もあり、とー」
「ーコラ!僕の言葉を遮ってまで、変なダジャレ持ってくるな!」
まぁツンデレ要素なんて、俺達視点どうでも良いのは言うまでも無いが、どのみちエルルは俺に攻撃を当てる事すらままならないのは事実。
そして当てたら当てたで、絶望させちゃう事になるのだろうが…それについてはまた後程と言う事で。
結局暫くして、一度も攻撃を当てられなかったエルルが折れる事で戦いは終焉を迎える事となった。エルルも工夫してあの手この手で攻撃を当てようと頑張っていたが、それで居て一撃も当てられなかった時点で結果はお察し。
エルルもまた、現時点では、俺に勝てない事を察してしまったらしい。ここは素直に負けを認めていた。
「おかしい。明らかに強そうには見えなかったのに!」
…別に負け、認めては無さそうだね。すっごい悔しそうな表情で俺を睨みつけて来ている。
確かに俺は、近接格闘戦だけなら何とかなっても、刀なんてこれっぽっちも扱えないからな。エルルの思っている強者特有の佇まいとか雰囲気とか、俺は身に纏ってすら居なさそうだし。
しかし一度死んでも尚、この負けず嫌いを維持できるとなると、かなり期待が持てるな。この調子だと、上手く事を運べればもしくは…
「それじゃ、格付けも完了した所で、俺達の意識を統合させようか」
「意識の統合?何だよそれ、そもそもそれに何の意味があるって言うの?」
「簡単な事だ。現実世界を一緒に体験しようぜ、俺視点で」
「は?いきなり訳のー」
ー何やら喚こうとしていたので、俺が強引にエルルと俺の自我を統合する事にした。俺は案外自我が弱いので、これを行う事によって自我がエルルに引っ張られる筈。
そしてこの自我の統合を行う事で、僕はよりエルルの深層心理に深く関与する事が出来る。そうする事で、エルルの本質やバックグラウンド等をより鮮明に追体験出来るようになる訳で。
成程、早速大方の事情を理解した。
「これで大丈夫だよ。これからは俺…改め僕がエルルとして表で活動させて貰うね」
「意味が解らないんだけど、何でお前が僕として活動するの?何でそんな事が出来るの?」
「それは僕が十大天魔:第一席だからだよ。それ以上それ以下でも無いね」
早くも自我がエルルに拠ってしまっているが、これも暫くすれば慣れて来る筈。一旦、このままで行こう。
ただ唯一懸念点を挙げるとするなら、僕とエルルで得意分野が全く異なる事位かな。ここのミスマッチは、今後やって行く中でも違和感を感じざるを得ないかもしれないね。
後エルルには一つだけ、僕にも予測不可能な不確定要素がある。これの動向は引き続き見守って行くつもりだけど、見守ったとて絶対にどうにか出来るとも思えない。
今の内から、取れる対策は取っておきたいけど…
「兎に角、僕は現実世界に戻るから。君は脱出方法を探る傍ら、僕の動向を見守っておくと良いよ」
「え?それってどう言う?もしかして僕このまま?」
「そうだよ。僕は僕なりに無償で力を与えたんだから。後は頑張ってね、じゃ」
「待って!嘘でしょ⁉」
そうして僕は、何やら騒がしいエルルを置き去りにして、この精神世界を後にしたのであった。非情?ロクデナシ?何とでも言うと良いよ。




