第六話:潜入
~関心視点~
あれから数日が経ち、俺達三人の一行は無事「ロックス」の街に辿り着いていた。
数日間山中を歩き続けたお陰で足腰は鍛えられ、いい汗を流す事が出来た。いやぁ、実に有意義ないい運動になったものである。
因みに、毎晩風呂に入っているお陰で衛生面も完璧だ。運動の後のお風呂って最高だよな、少なくとも俺は大好きだ。
「関心、爺臭いです…」
「そうか?年齢問わず運動は大事だろ」
「あの、しれっと話の焦点ずらさないでくれます?」
「まあまあ、関心ってそういう人でしょ?もう言うだけ無駄だと思うよ」
そんな俺だったが、無駄に真面目なイヴからお叱りを受けてしまう。そしてフォローすると思わせて堂々とディスってくる青年が妙にうざい。
因みにこの二人、長らく行動を共にするに連れて俺をさん付けすることが無くなってきた。どうやら俺の扱い方を心得てきたようである。重畳…なのかなこれ?
でもイヴはまだ敬語が抜けず、青年は…ずっとこんな感じか。でも客観的に見ても多少打ち解けてきたとは思う、やっぱり派閥を組んだのが大きいかもしれない。
そしてこれを無視するのが俺なんだよなぁ。いやあ、策士。
…策士?これはちょっと違うか。
しかしこんな下らない事に思いを馳せている暇は無い。と言うのも、ここで困った問題が発生したのだ。
何とここに居る三人全員が身分証明証を保有していないのである。このせいで、街の門番が実施する検問をクリアする事が出来なくなっているのだ。
厳密には青年以外は保有している。しかしイヴは七聖教関連のもので、その足跡を嗅ぎ付けられたくない彼女にとっては使いたいものでは無かった。俺も持っているには持っているが、これも別の理由で使いにくいものであった。
だが、最悪はこれを使って街に入るしかないだろうな、その余波が面倒だけど、その時は腹を括る他無いか?
しかしこれは飽くまでも最終手段としておきたい。何とか不法入国する手立ては無いか、探してみよう。
…これは流石に言い過ぎた。一度考え直してみよう。
「ごめんな、名前失っちゃったせいで戸籍も無くなっちゃった」
「僕、本当に自分の在処を示す物品持ってないよね…どんな生活してたんだろうね?」
「私は使ってもいいですけど、どっちみち二人は引っ掛かっちゃいますもんね…」
現状、正攻法では街に入れ無さそうだし、入ったとて思わぬ厄介事を招きかねない危うい状況に居る事は間違いないと思われる。
こうなったらもう、賄賂で懐柔するしかないか?なけなしのお金だが、少額で済むなら最終手段に走るよりかはマシな気が…
そんな事を考えていた時、俺達三人に近づいてくる物陰があった。ハッとして振り返ってみるも、どうやら彼らは敵対勢力の者では無かったようだ。見た目は兎も角。
「おいそこのクソガキ共、こんなところで何やってんだ?」
「いや、ちょっとこまったことになっちゃって…」
「何だ?困ってるなら聞かせろや、オイ」
近づいてきた大柄な男性…名を「グラッド」と言うらしいが、彼は厳つい見た目をしており、そんな彼が鬼面のような笑みを浮かべて話しかけてきた。俺達にはこの問いかけが親切心からくるものなのか、それとも恫喝のつもりなのか、判断が着かなかった。
前者だったら申し訳ないけど、こんな事されちゃあ、子供泣いちゃうぜ。
…いや、待てよ?よくよく考えれば、泣いてみるのは意外とありかもしれないぞ。
そうと決まれば、試してみるとしよう。俺は頑張って偽物の涙を絞り出した。あまりワザとらしくならないように気を付けながら、目を潤ませる。
「あのね、かぞくと「ぎょうしょう」のためにたびしてたんだけどね。とちゅうでこわいおおかみさんにおそわれて、それで、ぼくたちだけ…」
そう言って俺は腕で額を覆い、何とか絞り出した涙を流して見せる。
これが必殺、泣き落としである。
…ちょっとワザとらしいかも知れないが、それでも俺は全力を出す。勿論これは演技で、話したシナリオも完全なでっち上げなのだが…
うん、案の定二人は俺をウジ虫を見るような視線で睨みつけてくる。
まだ軽蔑されるだけならいい、名も無き俺の尊厳など等に知れているのだから。ただ一つだけ…お願いだから、ここはどうか空気を読んで便乗してくれ。
俺がそうアイコンタクトで伝えると、二人もこれを察してか俯いて見せる。いいけどそれ、一体何の意思表示なんだろうか?
そんな俺達を見やってか、グラッドがギャングのような形相で語りかけてくる。怖い。
「ああん?それで街に逃げて来たってか、よくある話だな」
「ううっ、おとうさんもおかあさんもたべられちゃった…ぶじなのはおにいちゃんとおねえちゃんだけ」
「(あれ、私達ってそう言う設定なんですか?)」
「(勿論、僕が一番上…長男って事なんだよね?)」
「(二人共五月蠅え!アドリブだ、黙って合わせてくれ)」
横に居るイヴと青年が茶々を入れてくるが一蹴する。泣き落としに不用意なマジレスは混ぜるな厳禁案件です、テストに出ます。
そして男を見ると、グラッドは想定に反して大粒の涙を流していた。
…あれ、この得体の知れない違和感は何だ?
すると少しして、グラッドの仲間と思わしき活発そうな青年とサバサバした女性、それと不思議系に見える少女が近付いてきた。少女に関してはイヴと同じくらいか?
因みに、名前は前から「アロン」「ソール」「ルーナ」であるらしい。ソールとルーナの二人は実の姉妹であるようだ。全く似てないけどね。
「何だ、似合わないことしてると思ったら、また泣かれてんじゃねーか」
「違えよぉ…このガキがよぉ、俺に話しかけてくれたんだよぉ」
「あー、そう言えばグラッドったら。子煩悩の癖に、見た目のせいで子供には泣いて逃げられるのが常だもんねぇ」
「この子、胆力ある。きっと大物になる」
アロン、グラッド、ソール、ルーナの四人の会話を聞いて俺達は絶句する事になる。
違った。このおっさん、俺と会話が成立したことに感涙してただけだった。
心配して損した気分だが、この状況自体は悪くない。もう少し擦り寄ってみるか。
「それでね、おおかみさんにぜんぶたべられちゃってね…おうちにもかえれなくなっちゃってね」
「あー、よくあるわね、そゆこと」
「この子、大物になれないかも。命の危機」
「護衛の冒険者雇わなかったのか?それなら自業自得だぜ」
アロンと言う男の口から興味深いワードが繰り出された。
うん?冒険者?俺の知らないワードだな?後で調べてみないと。
でも余談だが、でっち上げのシナリオの割に、思いの外疑われてはいないようだ。やっぱり町の外は危険な動植物が生息してるし、この近辺ではあまり見かけなかったけど魔物も出没するらしいし、何だかんだでよくあるシチュエーションなんだな。
…取り敢えず、泣いておこう。
「どうしよう、うえぇぇぇん」
「おお、泣くなクソガキ…どうする?俺らが身分保障するっていう形で街に入れてやっか?」
「入れてどうすんのさ?身寄り無いんでしょ?この子ら」
「しゃーねー、孤児院にでも連れていくか?」
「この子はいい、他二人がダメ、年齢制限オーバー」
以外にも親切な四人で、グラッド、ソール、アロン、ルーナの四名はちゃんと俺の泣き落としに反応してくれていた。若干だが、良心が痛む。
一応ここだけの話。街の中に入れさえすれば、後はとある商会に身を寄せれば事無きを得ると思う。要は中に入れさえすれば良い訳で…
俺は必死に頭をフル回転させながら、嘘でも何でもいいからと言葉の数々を絞り出す。
「あのね、このまちにね、おとうさんのいとこ?さんがいるらしくてね」
「何だ、身寄りが居ねーわけじゃねーんだ。だったら街に入れてやればお役御免だな」
ごめんなさい。身寄りはあるけど、おとうさんもそのいとこも存在しないのだ。
後で戸籍を用意すれば、何とでも言い張れるんだけどね。現状では嘘としか言えないな。でも今になって解るよね。人間生きていくのに必要なものが欠如していると、嘘を付かないと生きていけないんだよね。果たして、これを無暗矢鱈に攻め立てて良い物か…何か凄い余計な事を考えている気がする。
何はともあれ、結局は悪意しかない俺とは裏腹に、本気で思いやってくれているのが例の四人である。本当、人は見た目で測れないよな。
「いいの?そんな余裕、無いかもよ?」
「でもまー、そんくらいならいいんじゃね。大した労力にもならんだろ、多分」
「(また変な設定付け加えて…どうするんですか⁉)」
「(任せろ、俺を誰だと思ってる?)」
「(関心ってさ、偶にアホだよね)」
五月蠅え!黙ってろ、青年!
まぁ、言われるまでも無く何者でも無いんだけどね。
それはそうと、街の中に身寄りがいるってのは半分嘘じゃない。そしてここなら、あれが使えるから…
とりま、お礼は言っておくか。これで忽ち、俺の栄誉を回復だ。それとは別に、イヴと青年からの視線が痛い。
「おじさん、おねえさん、おにいさん、ありがとう」
「このクソガキ、可愛いじゃねーか!」
「おめでとさん、長年の夢が叶ったねぇ」
「ここまで来るのに二十年以上かかるってだけで異常だけどな」
「長年の夢が、これ?下らない」
あれ、何でお礼を言っただけで感動的な場面になってるんだ?良く判らん…
尚、言葉遣いを選んだ事もあってか、例の四人からの見え方は悪くなさそうである。こんな俺だけど、本当ごめんな。
そしてチームメンバーの二人は例外だ。絶対この一件で俺の評価が駄々下がりである。一部解せない部分はあるが、ここは自業自得と思って割り切ろう。
ただ正直、ただの無言のジト目がここまで精神的に来るとは思ってもみなかった、新たな発見だな。
結局、有難い事に俺達三人は彼らに連れられて街の中に入れてもらう事が出来た。
機嫌が良さそうなグラッドがノリノリで俺達の保護者を主張してくれた事で、難なく検問を抜ける事が出来たのである。
そしてその際の話を聞く限り、この四人はかなり有名な「冒険者パーティ」と呼ばれる何からしい。
…さっき出て来た未確認用語だな、意味は良く判らないが、取り敢えず凄そうな人たちと言う認識で通しておく。
結局、二人は終始だんまりだった。第一印象では最年少に見える俺だけが矢面に立っていたが、怪しまれたりはしてないよな?…彼らの反応を見る限り、多分大丈夫だと信じたい。
そんな俺達を、未だに思いやってくれているのが四人である。
「さて、ここから先は大丈夫かい?」
「うん、ばしょはきいてるから」
「そうか、じゃあまたな!またどこかで会おうぜ」
「また会おうぜ、クソガキ共おぉぉ!」
「いい加減、暑苦しい。近寄らないで」
そしてそのまま、愉快な四人の親切な人達と別れる事になった。
ありがとう、親切な人達よ。今度会った時は何かお礼をさせてくれ…
なんてことを思いつつも、俺達三人は一直線にあの商会へと足を運ぼう…かと思ったのだが、一つ思い付いた事があるので別の場所に向かう事にした。
しかしイヴと青年に関しては、一見先行きが不透明な為不安で仕方が無いようだ。まぁ二人にはまだ話してないし、無理もないか。
「ねえ関心、これから先どうするのさ?結局」
「そうだな、先ずは買い物をするかな」
「まず買い物なんですね。呑気ですよね、全く」
「黄昏てるとこ悪いけど、俺はこの上なく真面目だぞ」
そんな自称真面目な俺が辿り着いたのは、「ザルーダ商会ロックス支部」が店を構える大きな建物であった。
道中よくよく考えたのだけど、真っ先にあの商会に身を寄せるよりも、一度こちらで買い物をしておいた方が後々面倒事を避けやすいかな、と言う俺の咄嗟の判断でこちらの商会に足を運んでいる。
実はこの商会、世界各地に店を構える全世界屈指の規模を誇る商会の一つで、二人もその名前だけは知っていたらしい。目の前の大きな建物を前に唯々呆然と立ち尽くしている。
しかしぼーっとしている暇は無い、と言うよりさっさと要件を済ませてしまいたい。
そこで俺は二人に先んじてその扉を叩き、そそくさと中に入ったのであった。
~ザルーダ商会ロックス支部、内部~
店内に入るや否や、三人はその光景に圧倒されていた。
扉の先はエントランスとなっており、広々とした空間が広がっているのだが、その空間が押し寄せた客によって埋め尽くされていた。相変わらず繁盛しているようで何よりある。
その熱気に思わずやられそうになるも、ぐっと堪えてエントランス正面の受付カウンターに足を運ぶ。
この商会は「会員制」の商会で、会員証を持つ者しか商品の購入が出来ない仕組みになっている。一応新規会員登録も然程時間は掛からず出来るのだが、俺は敢えて事前に用意されていた自分の会員証を提示した。
そしてこの会員証を見た受付嬢は、一度マニュアルのようなものを取り出して必死に確認していた。名札を見れば「研修中」とあるし、恐らく文言を暗記していなかったのだろう。厄介な客ですまんな。
「本日はザルーダ商会ロックス支部にお越しいただきありがとう御座います。本日のご用件は?」
「ああ、この商会に世にも奇妙な宝石が入ったと聞いてね」
「世にも奇妙な宝石、でしょうか?」
「ああ、黄色の光を放つ緑色の宝石だと聞いている」
「残念ながらその宝石は我が紹介で取り扱いを行っておりません、お引き取り下さい」
このやり取りを聞いて、二人は若干焦ったような表情を見せる。大丈夫だから、落ち着いて。
「ふむ、それは実に興味深い。却って関心が湧いた」
「しかしその宝石はここには置いていないのです」
「それでは仕方ない、代わりに黒色の宝石を見せてもらおうか」
「黒色の宝石、でしょうか?」
「ああ、正三角錐の形でヒビ一つない、重厚感漂う素朴な宝石だと聞いている」
「我が商会が取り扱う品物は多岐に渡ります、お眼鏡に適う商品があるかどうか…」
「聞きしに勝る一品ならば、一目見ただけで惚れ込むに違いない」
「…畏まりました。お部屋に案内いたします」
ね?言った通りでしょう?
俺達三人は受付嬢の案内に従って、商会の奥の方の部屋に案内された。
俺の知る限り、今回の合言葉なら機密性の高い部屋を用意されるに決まっているが…と言うかこの合言葉、まだ通用したんだな。
一人半ば呆れに近い感情を抱く俺とは裏腹に、疑問が尽きないのが連れの二人だろう。早速。青年が尋ねて来た。
「(関心、あれってどういう意味?)」
「(とある商品を購入するために必要な合言葉だよ、他言無用だぞ?仮に悪用しようものなら冗談抜きで消されるからな)」
「(そんなものがあるんだ…え、そうなの?)」
実はこの合言葉…サラッと使った割に、俺でも使い方を間違えると危険な代物なのだ。何も知らない人達が無邪気に使っていいものでは無い。故に教えられない。
二人が納得してくれるかどうかは現状怪しい所だが、嫌でもこの後思い知らされる事だろう。二人には悪い事をするが、俺達の安全保障の為だ。ここは心を鬼にして臨む事とする。
…
暫くして、建物の最奥と思わしきこじんまりとした個室に案内される。その扉には「特殊応接室」とある。特殊と着く当たり普通の部屋では無いようで、イヴと青年の緊張感が一気に高まっていく。
そうして案内された先で待っていたのは、何と商会の支部長…つまる事この商会の代表取締役であった。部屋の中央部に置かれた長方形の豪勢なテーブルを挟んだ向こう側で腰かけている。
そしてその脇を固める人影が二人。見るからに反社会の人間と言うべきか、間違いなく表の住人では無さそうな二人の男がライフルを所持して待ち構えていた。
さて、手始めに挨拶と来るよね?
「動くな、手を挙げろ!」
やはり…俺達が部屋に入るや否や、元凶たる俺にその銃口を向けて大声で怒鳴りつけて来た二人の男。
俺だけに留まらず、イヴと青年の二人も同様に咄嗟に両手を挙げてその指示に従う。因みにその怖さは、さっきの親切なおっさんに引けず劣らずと言った所である。子供はまず間違いなく泣くだろう。
しかし当の俺はこの流れが事前に設定されたものである事を知っている。ネタ晴らしをすると、ちゃんと適した行動を取る事が出来れば何事も無くこの場は収まる。
「おいそこのガキ、商会の会員証をテーブルの上に置け。置いたら再度手を挙げて暫くの間動くな」
俺は手筈通り、先程提示したあの会員証をテーブルの上に置き、再び両手を挙げた状態で制止した。
その間、支部長がその会員証を確認し、照合作業も入念に行っていた。その間一瞬だけ大きく目を見開くも、直ぐに険しい表情に戻るのであった。
しかし直ぐに険しい表情を作り、俺に訊ねてくる。その際の威圧感と言ったら、慣れていない人からすれば猛毒としか言いようのない強烈な物であった。
…勿論、俺は気にしないが。
「この会員証を誰から受け取った?」
「親愛なる驚嘆の君だ」
「良し、自由にしたまえ」
無事通過できたようだな。こうして漸く、許しが得られたので両手を下す事が出来たのである。
まぁ、この厳重な対応も已む無しだろう。なんせ今回使用した合言葉は…
そして直後、支部長から目の前の長椅子に腰かけるよう勧められたので、その言葉に甘えて三人並んで長椅子に身を委ねる。そして銃を持った男達も、用は済んだと言わんがばかりに速やかに部屋を出ていった。
長かったが、漸く対談が始められる。
余談だが、今回は敢えて分かりにくい隙を見せながら対談を進めるつもりである。
相手の出方を知っておきたいし、それによって今後の立ち回りを決めていこうと言う魂胆である。勿論、それを出来るに相応しい前提条件が整っているからこそ出来る芸当だけどな。
今回は何だかんだ運が良い、他の二人にとっては兎も角ね。
「この度は失礼いたしました。無礼を働いた事、心よりお詫び申し上げます」
先とは打って変わって恭しい態度。明らかに作り物地味ているが、俺はこれを真に受けるでは無く、敢えて尊大な口調で対応する。
「気にしなくていい、それがマニュアルなのだろう?」
「そう言って頂けると幸いです。ところで要件は?」
支部長がそう言った瞬間、途端に眼光が鋭くなる。慣れていないのであろうイヴと青年はあまりの迫力に怯んでしまっている。流石に一流の商人、貫禄が板に着いている。裏社会に精通しているのも関係あるのかな?
しかしここで注意すべき点が幾つかあるのだが、大前提として俺と支部長は決して味方同士の関係では無い。故に先の前提ありきとは言え、やはり余計な隙は見せるべきでは無い、下手を打つとバラされて裏道にでも捨てられてしまうだろう。
なのでくれぐれも十分な警戒と、立ち回りの妙が求められるのは言うまでもない。一先ず、簡潔に用件を告げる。余計な腹の探り合いは要求しない…そう言う意図を込めて。
「端的に言おう、我々は戸籍を買いに来た」
「戸籍、ですか…それならば態々家を訪ねる必要もありますまい、それも「カルテルオーダー」の合言葉を使ってまで」
支部長の意見は最もである。
「カルテルオーダー」とはその名が示す通り、この町の裏側を取り仕切る「ギャング」の領分を犯す可能性のある案件で尋ねた際に用いる合言葉のジャンルである。基本的に汚れ仕事や犯罪臭の強い案件が持ち込まれるケースが多いのだが、俺の案件は若干だが別口に該当するからな。勿論、カルテルオーダーでも対応可能な事案ではあるが…
「聞いた話によると、当方は戸籍の収集を行っているそうじゃないか。それも曰く付きの…」
「ああ、得心が行きました。良いでしょう」
おっと、続きを言おうとしたら遮られた。その際支部長が意味深な表情を見せるので、俺は一瞬だけ視線を上方に逸らした。
しかし此方の要望は通りそうで何よりである。支部長は部屋の棚に閉まってあった複数のファイルを取り出して、テーブルの上に持って来た。
「(関心、一体何を…)」
「(後で話す、今は静かに)」
イヴが口を開いたので、小声とは言え少し驚いてしまった。この状況で口を開けるなんて、何て命知らずな事か。しかし決して都合自体は悪くないな。
そんな俺達を意にも介さず、支部長はファイルを開き話を振ってくる。
「具体的にどのような戸籍をご所望でしょう」
「複数人の戸籍がセットで欲しい。行商人の一団でも、護衛を伴った貴族の係累でも何でもいい。最低でも三人以上はリストアップしてくれ」
「それだと高くつく可能性もありますが…」
「前金でこれだけ用意している、必要なら追加で出す用意もある」
そう言って俺は硬貨が入った子袋を支部長に手渡す。この時のために事前に用意しておいたなけなしの金貨である。
少なくない金額が入っていると思うのだが、どう出るか。
「…前金であれば十分でしょう、ではご紹介します」
結局、支部長は顔色一つ変えることなくこちらの要求を呑んでくれるようだ。むぅ、向こうも考える事は同じと言う事か。
そうして支部長はファイルの中身を見せるのだが、その内容は流石ギャングが関わっているだけあると言うか、見るに堪えない程に凄惨たる物であった。
ファイルに載っていたのは「既に亡くなった人物の戸籍」、それも「死に際にギャングが関与した人物」に限られたリストであった。ハッキリ言ってしまうなら、「ギャングに粛清された人物の戸籍」と言う事になる。リストには死亡した人物の個人情報に加え、その現場の写真と死体の顔写真、原形が分からない場合はそれに加えてCGで肉付けした画像が並べられていた。
これを見た他二人は思わず顔を青ざめさせ、共に吐き気を催しているようだった。気持ちは分かるが、吐いちゃダメだぞ。
「こちらなんてどうでしょう?商人の一家でして、両親に三人の子供がいる家庭でしてね。多額の借金を背負ったものの返済が滞り、夜逃げしようとしていた所を粛清されたんですな…あとこちらも条件に合致するかと。我が商会を懇意にしている敵対勢力のギャングのメンバーでしてね、勢力抗争の末に敗北したそうですな」
「ふむ…大半が借金や敵対勢力絡みのようだな」
「生業上どうしてもそのような物が多くなってしまいますが、いかがでしょう?」
そう言って満面の笑みを浮かべる支部長、俺はそれを見て顔をしかめさせながらリストを確認する。
個人的に、敵対勢力の戸籍は絶対に買わないと決めていた。これを買った時点で、この商会とバックに居るギャングを敵に回す事になるからだ。
対して借金絡みはかなり安パイな選択だと思われるが、まず間違いなくぼったくられるだろう。その金額を払えれば信用と言う一面では安心材料を得られるが、反対に払えなければ即座に始末されるな。後単純に反社に余計なお金を流したくない…と言うのもあるが、それ以上に「金の切れ目が縁の切れ目」とばかりに、思いがけないタイミングで無碍にされる可能性も危惧していた。いちゃもんなんて後から幾らでも付けられるし…相手を鑑みるならば、信用と言う意味ではイマイチ信用に値しない選択と言えよう。
そしてリストを見た感じ、これらに加えて「みかじめ料を払えなかった市民」や「ギャングを裏切った者」、あと「星になった元構成員」等の戸籍が大半を占めているように感じた。
一応貯金が少なくない金額があるとはいえ、精々たかが知れている。なので切り詰められるところは切り詰めつつ、同時に足元を見られないようにしよう、と考えておく。
因みに何故こちらの商会に寄ったかと言うと、俺がギャングからしょっちゅう命を狙われるからである。俺の同士の一人が裏社会で派手に動いているせいで、その波紋やとばっちりがこちらに及んでしまうのだ。
なのでここで最低限筋を通しておいて、敵対意志が無い事を明確にしておきたい。その上で、ギャングの襲撃を回避するためのカードを手に入れておきたい、と言うのが俺の思惑である。
これで全てのギャングに対処出来る訳では無いが、この商会の本部の会頭…別名総会頭とは運悪く面識がある為、この商会と結びついているギャング…正確にはそのギャングが運営している商会がザルーダ商会なのだが、故に上手くやればこれらに関しては敵対を避けられる可能性が高かった。
またそのギャングはこの一帯で…何なら世界規模で見ても最大勢力を誇ると言う、故に付き合い方は重要になると踏んだ訳だ。
正直、俺は残念ながらザルーダ商会の内部事情を結構詳しく知ってしまっている為、今の時点で危うい立場に居る事は間違いない。正直、ここに来ても来なくても商会やギャングからすれば要警戒人物である事に変わりは無いのだ。どっちみち避けては通れない。
ところが俺一人ならまだしも、今は同行者がいる。もう目の前の支部長がギャングの構成員なので手遅れ感は否めないけど、それでも不用意に巻き込まれないよう努力はすべきだよね。そんな俺と関わってしまった二人には…ただただ同情する他無いな、強く生きろ。
そんな中、俺は気になる戸籍を見つけるに至る。
「うん?これは?」
「ああ、それは「抗争の犠牲者」の戸籍です。ギャングはしょっちゅう抗争と称して諍いを起こすものですが、どうしても流れ弾に当たってしまう不運な輩が出るもので」
勿論、そういう者の大半は身寄りや親類が居る事が多いので、戸籍の確保等出来る筈も無い。しかし偶に居るのだ、身寄りがなく無縁仏となってしまった犠牲者が。
そしてそう言った者に関しては、どうやら戸籍を保管してあるらしい。確かにそう言う戸籍って、
裏で動く人間からすれば思いの外使い勝手も良いからな…
しかしよくよく考えてみると、これらの戸籍が一番の有力候補になるかもしれない。ギャングと直接的な関りが無く、後ろめたい過去や余計な柵が無いのもプラスポイントだ。一か所に長らく留まる事も無く、追跡を避けながら逃亡を図りたい俺達にとっては打って付けと言える。
そして同時に、支部長はこの戸籍を直々に紹介する事は無かった。つまり、商会としては積極的に売り出したいものでは無い…と言うより態とだろうな。向こうも何かしら此方の推察はして居そうである。
しかしこうして見せて言う以上売らない、と言い張るつもりでもない。このような戸籍は幾つか種類があるのだが、他の戸籍も少々特殊な裏事情の在る戸籍ばかり。
向こうが幾らか選別している事を前提とするなら…と言うよりしているので、要するに俺に罠だと勘付かれる前提で堂々と張っていると見て良いだろう。寧ろ気付かないようなら、最早交渉の余地なしと言った所か?
つまり、ここも含めて試されていると言う訳だ。向こうも俺と同様、此方の出方を伺っているのだ。
ここで考えるべきは、俺が選んだ戸籍によって、意図せずとも此方の思惑の幾らかが示されてしまうと言う事。これは俺が絶対避けられないように、向こうの意思によって的確に誘導されている。
そしてこの戸籍を選ぶ事で、相手は俺から何のメッセージを受け取るのか…
良いだろう。
ここでふうっと一息。良し、決めた。
「ではこのリストの中から、人数分を買いたい。条件に見合う者は…この三人だな」
そう言って選んだ三人は、俺達一行それぞれの性別が一致しており、且つ外見年齢に合致しそうな年齢(生きていた場合の現在の年齢に換算)の者となっている。身分は不明、没年例は死亡年月や日時に応じてばらばらだが、戸籍だけはずっと残っている為ボロは出ない筈だ。
因みに三人とも顔写真では原形が判別出来ず、3Dの肉付け画像が添付されていた。それだけ凄惨な最期を遂げた三人の情報を、俺は買い取る事に決意したのである。
それを受けて、向こうもこちらの意図を汲んでくれた…と思う。ここで齟齬が発生しない事を願うばかりだ。
そんな両者とは裏腹に、イヴと青年からは嘗て無い程に鋭い眼光を向けられていた。殺意に似た眼光は、見る者全て…俺だけだが、を密かに委縮させていたのであった。
しかし俺は屈しない。平静を装いつつ、何事も無いように話を続ける。
「値段は?」
「そうですね…前金の二倍でならお売りしましょう」
支部長はあっさりと言い放つが、これは少々驚いた。思いの外良心的である。
もっとあからさまに吹っ掛けてくると思ったのに。
「前金の二倍、でいいんだな?」
「はい、前金の段階で誠意を見せて頂きましたので」
「然したる額でも無いと思うが、ここはお言葉に甘えよう」
支部長の言い分は建前だろうけど…言質は確保した、と解釈しておこうか。
ここで一度、強気に羽目を外しておく。
俺は支部長の提案に反し、前金の三倍の額をテーブルの上に置いた。
「おや、提示した金額は二倍でしたが」
「おっと失礼。二倍で良かったものな」
そう言って俺は余計に出してしまった一倍分を再び懐に閉まった。
勿論ワザとである。先の選択と合わせて、もう一つメッセージを追加したのだ。
「これは失礼した、だがこれで宜しいかな?」
「構いませんとも、ちゃんと適正な金額はお支払い頂きましたので」
「商談成立だな。では手筈通りに戸籍に纏わるデータ一式、それと全身の3D画像も添付して頂きたい」
「全身ですか、畏まりました」
そう言って一瞬目を見開くも、支部長は速やかにこれらデータを記録媒体にインストールし、丁重に手渡してくれた。記録媒体を見るが…爆弾や盗聴器などは仕掛けられていないようである。
但し、この会談の一部始終は確実に録画されているだろう。いや、言うまでも無かったか。
「ありがとう、いい買い物が出来た」
そう言い残し、俺達三人はそそくさと商会を後にする。こうなれば後は長居する理由も無い、さっさとこの場から引き下がるに越した事は無い。
終始だんまりな二人だったが、見るからに言いたい事が溜まりに溜まっている様子である。
商会の建物を出るや否や、我慢ならないとばかりに青年が文句を投げかけてくる。これにイヴも続く。
「まさかギャングとグルだったなんてね。商会も、関心も」
「正直引きました…」
「一緒にしないでくれ、寧ろ俺は奴らから目の敵にされてるんだぞ?」
何とか誤解は解きたいものである、俺は二人の事を思って危ない橋を渡り切って見せたと言うのに。
それとは別に、今思えば懐かしいものだ。嘗て連中を含むギャングから何度襲撃をかけられて、何度これを撃退した事か。因みに今のところ自衛の成功率は100%である、これは俺のちょっとした鼻高ポイントだ。
おっと、思考が逸れた。それどころでは無いよな。
「その割には親しそうだったよね、あーあ僕、早速派閥脱退しようかな。イヴもそう思わない?」
「ただ今更脱退したところで収まりが着くんでしょうか?私達、顔しっかりと見られてますよ?」
「うわぁ、これは関心に嵌められたね」
「こりゃ何を言っても無駄かなぁ。全てはあの気違いのせいだ…」
二人が開き直ったが如く好き勝手言い合っている。
俺だって本当はこんな面倒な事したくないのだ。でもこうでもしないと、最終的に奴らから逃げきれなくなってしまう。
生憎と俺は、既に裏社会に一度関わってしまった人間である。故に常に警戒しておかなければいけないし、常に連中からの襲撃に対処し続ける必要がある。
そして知らず知らずの内とは言え、そんな俺と関わってしまった二人もまた道連れになるのが常だ。基本的には俺が真っ先に狙われ続ける事になるだろうが、だからと言って二人だけを逃がしてハッピーエンド、とはならないのが現実なのだから。
これももしや、青年の逆運の賜物か?ただそれじゃ、俺は疫病神だな。
「そう言えばさ、これから先はその戸籍を使っていく訳なのかい?」
「いや、使わない。実際に使う戸籍は別に用意する」
「じゃあ何で買ったんですか?結構高かったんでしょう?」
二人の疑問は最もだ、しかしちゃんと答えは用意してある。
実は端から、この戸籍を使うつもりは無かった。ギャングの持っていた戸籍なんて心情的にも使いたくないし、なるだけマシな物を選んだとは言え、ギャングと関りがある戸籍である事は否定のしようがない。
実は今回欲しかったのは「ギャングからあの金額で戸籍を買った」と言う事実、そしてこの戸籍と言う道具そのものである。これをなるだけ解り易いように説明するよう心がける俺である。
「一言で言えば用心棒だな。戸籍を買った代価とは言え、身元不明の戸籍に対して小金貨三十枚と来れば、流石の連中も無視出来まい」
小金貨は、共通貨幣の中で三番目の単価を誇る貨幣である。日本円にして、一枚当たり百万円相当だと言えばその額が想像し易いだろう。三十枚だと三千万円相当になるか。
ハッキリ言おう。今回買った商品に対する代価としては明らかに過剰な物で、言うまでもぼったくりの値段に該当する。それでも、俺が想定していた額に比べればかなり安く済んではいたのだが。
勿論、聞いてい居た二人も変な汗を流しながら目を泳がせている。ただこの出費、保険目的とは言え非常に痛かった。貯金をかなり崩してしまったなぁ…
何であれ、この金額はあの条件の戸籍の値段としては法外な金額である事は間違いない。そこまで分かっていながらお金を積み上げたのは、他でも無い「保険」目的によるものである。筋をきちんと通しており、且つ過剰な金額を貢いだ事で、あのギャングの関連勢力は俺達をぞんざいに扱う事が難しくなった。少なくとも此方から仕掛けない限り、表立った敵対は防げるはずである。
同時に、俺は若干隙は見せつつも、明確な意図を込めておいた。
「なるだけお前達とは関わる事を避けたい。事を構えるつもりも無い。しかし無用な手出しをするなら容赦しない」とね。
全く…ギャングとグルだとか、仲良くしてたとか。言いがかりは本当に止して頂きたいものだ。俺はちゃんと自分の状況を鑑みた上で、その対策を入念に行っているだけなのだから。
無論、対人関係がある以上上手く行くかどうかは知らないけどね。でも出来る事はやったつもりである。
「って事で、これから実際に使うための戸籍を用意しよう」
「あれ、買うって言い方では無いんですね?」
「お、鋭いな。これから手に入れる戸籍は入手方法が全く異なるんだ。まぁ着いてきたまえ」
そう言って俺は、同行者二人と共に最初言っていたあの商会へと歩みを進めるのであった。
あれ?同行者二人の足取りが…大丈夫だから、ゴメンけどもうちょっとだけ付き合って!
~?~
関心が店を後にした後の話。支部長はとある人物と秘密裏の連絡を行っていた。その人物はザルーダ商会を運営するギャング「カルテル:プレッシーヴォ」の総首領である。
今回の商談は異例の物であり、同時に「カルテルオーダー」の合言葉が使われた際には、総首領にその委細を報告すると言うマニュアルが存在していたのだ。
故にこうして通話を行い、支部長はその一部始終を淀みなく簡潔に話す。
『ほんで、客は「関心」の名を使うたんやな』
「はい、恐らく総首領が先日仰っていた『最重要警戒人物リスト』の中の一人だと思われますが」
支部長は何処か疑わしいと言わんがばかりの態度。しかしそれを総首領が一蹴する。
『思う、違うて本人や。あの合言葉は本人以外に照合取れへんねん。そんで取引の内容を見るに「筋を通して余計ないざこざを回避したい、同時に敵対するなら覚悟しておけ」っちゅう思惑があるってこっちゃな』
「それは我々も承知しております。あの小僧、身の程を知っているのか知らないのか、強気ですね…」
『こら、小僧呼ばわりは危険や。止めとけ、あれは見た目に反してバケモンやからな。奴に敵対意志が無いんは、ワシらとしても僥倖やと思うで』
「左様でございますか…?」
総首領はどうやら、今回の商談内容を聞いて胸をなでおろしているようだった。しかし支部長にはイマイチ理解が出来なかった。
確かに見た目のわりに頭の回る子供だとは思ったが、隙が無い訳では無いし、詰めの甘さも目立つし…正直、総首領が言うような最重要警戒人物に該当するイメージが湧かなかったのである。
「しかしあの子供が本当にリスト通りの人物なのでしょうか?」
『まだ疑っとるんかいな?間違いあらへんで、なんせ奴は…』
その後に総首領が続けた言葉は、支部長の息を詰まらせるだけの衝撃があった。
しかしこれを聞くと話が変わってくる。垣間見えた隙も、詰めの甘さも、同時に別の意味を持つ可能性を示唆してくるのである。
そしてこれらが最悪の想定通りであった場合…成程、これは確かに最重要警戒に相応しい。支部長の理解が追い付いて所で、総首領も念押しとばかりに言葉を続ける。
『下の連中に言い含めとき、奴に手出しは禁物や』
「畏まりました。ただその前に一つ、あ奴はもしかして」
支部長は自分の考えていた可能性を総首領に確認する。
ただ総首領は『いい線は行っちょる』と言いつつも、その後に更に衝撃的な言葉を重ねるのであった。
支部長は改めて戦慄する。そこまで危ういか、これでも自分の想定は甘いのか。
総首領の言う通り、無理に事を構えなくて正解だったと真に理解したのである。
「確かにそれなら…畏まりました、確かに言い含めておきます」
『ほな、後は任せよか』
そう言って通話が切れた瞬間、支部長は腰が抜けてしまったようで、そのまま地面にへたり込んでしまった。
ただ同時に、自分は幸運だとも思った。あの場面で失敗しなかったのは本当に命取りになったものだと。
それと同時に不穏な空気が漂う。これから先、厄介事に巻き込まれなければいいが。そう一人危惧する支部長であった。
作中における貨幣価値の設定を乗せておきます。作者の記憶の混迷によってミスが発生するかも…
〇金の価値(日本円で換算)
・白金貨→一億円
・大金貨→一千万円
・小金貨→百万円
・大銀貨→十万円
・中銀貨→一万円
・小銀貨→千円
・大銅貨→百円
・中銅貨→十円
・小銅貨→一円
・大鉄貨→百銭
・中鉄貨→十銭
・小鉄貨→一銭
※千銭→一円で換算します。
※作中ではお金の単位は存在せず、「〇〇貨△枚」と表示します。
※余談ですが、作中の貨幣価値は日本の感覚とは少し異なります。
もっと言えば、市場の平均相場は日本の十分の一と認識しておいてください。