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Re: 平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ! 第三章  作者: 冠 三湯切
R e:第三章 パート1、この異世界より平和への旅路を行く
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坂上 桜蘭、新たなる旅は、新たな自分を探す路

桜蘭編、アトランティスを後にした桜蘭は零羅と共に四精霊を仲間にするべく旅に出る。桜蘭が手にした動物と会話する能力を使い、彼らとの戦いに身を投じる。

 『R e:第三章 パート1 この異世界より、平和への路を行く』


 ・


 ・


 ・


 「俺たちはこれから新たな闘いに身を投じる!!敵は強大!生半可な覚悟じゃやられるッス!!みんな、生きてまた全員で会おうよ!!そしてみんなで心の底から笑いあおう!!!」






 『全ては平和の為に!!!!』






 俺の新たなる旅が今始まった。


 俺の名前は坂上 レイノルド 桜蘭。一ヶ月前、突如として異世界へと飛ばされた哀れな大学生だ。


 けど、この一ヶ月で色々変わった、俺でも驚くくらいだよ。ほんと、色々あった・・・俺は三上 礼って言うこの世界を支配していた奴を倒して、この世界の真実を聞かされた。この世界を真に支配していたのは三上じゃなかった。


 『彼ら』と俺たちは呼んでるその連中、そいつらが俺たちをこの世界に呼び出して、人体実験をしていたんだ。


 この世界で俺たちは、魔法が使えるようになったり身体能力やら反射神経なんかもかなり上昇した。けど、それは一時的。覚醒って状態にならないと一ヶ月でバケモノってのになっちゃうんだ。


 彼らはそのバケモノの研究やら魔法の研究をする為に、何も知らない俺たちをこの世界に呼んだ。三上は、そいつらから俺たちを守る為に芝居を打って、自らを悪にする事で俺たちを覚醒へ導いた、そして三上は俺たちに託したんだ。


 覚醒の更にその先、いくら覚醒したとしてもそのままその力を使えるのは二十年。その先はどう足掻こうがバケモノへと変貌する。その方法を知るのは彼らのみだ。三上は俺たちにその方法を導きそして・・・その彼らと戦う遺志を俺たちに託した。


 俺はその遺志を受け取った。俺はこれから彼らと戦う準備をする。新たな仲間を見つける事、それが俺の新たな旅の目的だ。





 そして場所は今、アダムス連合のどっか。


 「桜蘭さーん!近くに川があったので水汲んで来ました!」


 「あ、どもッス!」


 俺に水を差し入れてくれたこの二つ結びの似合う高級感あるワンピースを着た少女は、神和住 零羅。俺たちは今この二人で旅をしている、他の仲間たちはそれぞれ別の目的の為に別れたんだ。


 俺たちの旅の目的はさっきも言ったな、仲間を見つける事だって。ただ、彼らと対抗するには普通に仲間を集めるんじゃダメなんだ。俺は三上との戦いの中である能力に目覚めた。


 それは動物たちと会話出来る能力。なんでそんな力が使えるようになったのかはイマイチよく分かんないけど、俺はその力を使ってこの世界の何処かに眠ってるとされる四精霊を目覚めさせなきゃいけないらしい。


 「桜蘭さん?どうしました?」


 零羅は少し俯いていた俺の顔を覗き込んだ。


 「いや、ちょっと四精霊の事考えててさ、ワダツミの予言ってふわふわしててよく分かんないじゃん?だからどこから探して行こうかな〜って。んで今ちょっと周囲の動物たちに聞いてもみたんだけど・・・」


 「成る程、良い手ではあると思いますけど、近くには何もいなさそうですねぇ・・・後は街の図書館などに行ければ、何かしら記述があるかもしれませんね。ほら、エルメスさん言ってたじゃないですか。四精霊は昔はこの世界に普通に居たとかなんとか」


 確かに、図書館を調べるのはありだな・・・


 「そうしたいのは山々だけどさ・・・ここ、どこなんだろうね?」

 「わたくしも分かりません・・・」


 俺と零羅は同時に横を向いた。その視線の先にあるのは、ただひたすらに何もない荒野が広がっている。人間はもちろんのこと、動物も虫の声ひとつ聞こえない。風の音と転がる草の音だけだ。


 正直に言って良い?俺たち今・・・めっちゃ迷子になっちゃった。


 「ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!!!どーしよーっ!!あんなみんなにドヤ顔でアトランティス飛び出したのに、これじゃ全然締まらないじゃないッスかぁ!!とりあえずこっちだって思うんだけどさぁ・・・この世界広すぎ!!もうちょっと狭くしろーっ!!」


 俺は視界の何も無さに絶望して大人気なくジタバタと地団駄を踏んだ。


 「あわわ!!さ、桜蘭さん落ち着いてください!!そもそも何でこっちだなんて思ったんです?」


 零羅は冷静に俺を宥めた、ごめんね、恥晒して・・・


 「いやね?確かランサーのいた街ってこっちだったはずだからさ、ランサーなら何か知ってるかもって・・・あと、あの街にも図書館あったじゃないッスか」


 「あ、成る程。あの街目指してたからこっち方向に向かってるんですね!確かに方向は合ってると思いますけど・・・ここからだと砂漠横断しませんでした?」


 あれ、そうだっけ・・・


 「砂漠って抜けるの後一日で行けるかな?」


 「多分無理かと・・・あの砂漠の大きさが分かりませんけど、前の旅の感じだと・・・徒歩は数週間はかかるんじゃないですか?」


 あれ〜・・・車だと数日で過ぎてたのに、そんなにかかるもんなの?てっきり数日歩きゃどっかに出ると思ってたんだけど・・・俺もしかして相当やらかした?砂漠に水も食料も無し。これ、いくら俺たちが覚醒した影響でタフになったとは言え、下手すりゃ餓死したりしない?


 「や〜ら〜か〜し〜た〜!!どーしよー!!」


 俺は地面に適当に転がった、零羅が苦い笑顔を俺に向ける。


 けどそんな時だった、奇跡が起きた。


 『なぁに馬鹿なことしてんだ、この荒野の暑さで幻覚を見てた訳じゃねぇだろうが・・・よっ!!』


 どげしっ!!!


 「はぎゃっ!?」


 俺は誰かに思いっきり蹴飛ばされて宙を舞った。そして顔面着地・・・


 「いってててててて・・・・あれ?今の声、あの頭に話しかけるあの感じ・・・」


 俺はよっこいしょと顔を上げた。そこには黒く艶やかなたて髪、光沢のある体毛。そして浮き出た足の血管とこの筋肉の付き・・・


 「ら、ランサーッ!?」


 俺が以前の旅で出会った暴れ馬、ランサー デッドホークが目の前にいた。


 『なにハトが豆鉄砲喰らったみたいな顔してんだ?』


 『そりゃそうだろ、どうやってここに・・・あ、幻覚?』


 俺は能力を使ってランサーと会話した。


 『な訳あるかボケ。近くでレースがあったから俺も駆り出されてたんだよ。で、俺の下手くそ騎手が乗ろうとしてたんだが、そん時いきなり空が光ってな、それと同時に鍵やら何やらが全部開いたもんだからチャーンスと思って飛び出してきた。で、ここで楽しく走り回ってたらお前のなっさけねー声が聞こえたから来ただけだ」


 成る程逃げたんかい、全く自由気ままと言うかなんと言うか・・・


 『ま、とりあえずサンキューッス』


 俺はランサーのたて髪を撫でた、心なしか少し嬉しそうだ。


 『へ、褒めてもなんもねーよ。にしても、ちったぁ強くなったか?大分良い面構えになったじゃねぇか。ま、情けなさは相変わらずだがな』


 『あれからまだ一週間ちょっとくらいだけど、色々あったからな。あ、そうだ。ランサーに聞きたい事があるんス。四精霊って奴なんだけど、何か知ってたりしないッスか?』


 俺が質問したらランサーは目を丸くして少し固まった。


 『お前、何であいつの事を・・・なっつかしい名前だなおい。四精霊、昔よく競走したっけな。特に風のシルフとはよ』


 「知ってんの!?」


 俺は思いがけないヒントを貰って大声で叫んでしまった。


 「はい?」


 そして隣でじっとしていた零羅が何のことか分からず聞き返した。


 「いや、ランサーに四精霊の事を聞いたんスよ。そしたら知ってるってさ!!」


 「おぉ!!成る程です!!読みは当たりましたね!!それより、ずっとランサーさんと会話してたんですね。頭の中で会話、テレパシー?なんかかっこいいです!!」


 「お、おう」


 零羅がなんか急に目をキラキラさせてる。


 『それより、俺たちは四精霊を仲間にする為に動いてるんス。何かもっと知らないッスかね?』


 『うーん、最近会ってねーからなぁ。ちょいと昔に会うには会ったんだが、ここ最近荒野で目を光らせてる変な連中がいるせいで満足に走れねぇってよ』


 彼らの事か・・・こんな荒野すらも監視していたのか、そりゃ電磁パルス攻撃が最適なのかもな。


 『仕方ねぇ、とりあえず街行くんだろ?俺の背中乗れ。連れてってやるよ。そこならもう少し分かることがあるかもしれねーしな』


 「あ、そりゃどもッス。零羅〜、ランサーが街まで連れてってくれるってさ!」


 「えっ!?よ、宜しいのですか!?確かランサーさんは認めた方でないとダメと・・・」


 『こいつの仲間なら問題ねーよ、ほら桜蘭さっさと乗れ』


 俺は手綱を握り颯爽とランサーに跨った・・・と思ったら、


 「あ、あららら!?」


 『いたたただ!!!何すんだ!!ぎゃっ!!そこ引っ張るな!!』


 勢い余って飛び越えて落っこちそうになってしまった。


 どげっし!!!


 「ぎゃーっ!!」


 そしてランサーに蹴っ飛ばされた。馬の一撃・・・申し分無し・・・


 『普通に乗れねーのかっ!!ったく!!とりあえず嬢ちゃんから乗れ』


 「れ、零羅から乗れってさぁ〜・・・」


 「だ、大丈夫でしょうか・・・」


 今の心配の声は俺に向けてだな・・・零羅は俺と違ってなんかすごい軽々しく鞍に跨った。


 『おぉ、こいつめちゃくちゃ上手いな乗るのが、どっかの誰かと違ってよ』


 すいませんでした・・・その後はランサーがかがんでくれて、零羅が俺を引っ張ってくれたお陰でかろうじて乗ることが出来た。


 「桜蘭さん、大丈夫ですか?」


 零羅は俺を心配してくれたけど、なんか年下の子に慰められるのって・・・精神的ダメージが結構来るなぁ。だって零羅上手いもの、俺酷いを通り越してたもん。


 俺、動物と話せるようになったんだよ?ランサーは俺を認めてくれたんだよ?なのにこれって・・・


 『どっかで特訓しとけよ?また耳引っ張ったら、今度は回し蹴りするからな?』


 「はーい・・・」


 とりあえずランサーは出発してくれた。


 にしても特訓ねぇ・・・あ、特訓と言えば俺の戦い方、今の俺には武器が無いから戦闘力は皆無に近い。だから零羅に一緒に付いて来てもらってるんだ、零羅はめっちゃ強いからな。こんな華奢な見た目に反して一発がめちゃエグい威力の攻撃を繰り出す。


 「そうだ零羅、ちょっと良い?」


 「なんでしょう?」


 「零羅のあの格闘、あの軽く小突いただけで骨がバッキバキに砕けるあの格闘術。結局あれどうやってるんスか?」


 零羅のあの戦い方、アレ程は無理でも多少出来れば俺の戦闘力も大幅に変わるかも。


 「アレですか・・・正直言いますと結構無意識なんですよね。やってるのはまず落ち着いて呼吸整えて、ここってタイミングを見つけて攻撃。それだけです、もう少しわたくしもこの技を磨けたらアドバイスできるかもしれないですが・・・」

 

 流石に無理だよなぁ、あんなん簡単に出来たら俺でも世界タイトル取れそうだもん。


 零羅には零羅なりの戦い方、俺には俺の戦い方。下手に真似したところで意味はないな。


 「うーむ、武器の無いこの状況だから、何か護身術的なのが少しでも使えたら良いのになって思ったんだけど・・・」


 「そうですねぇ、わたくし自身もこのままではいけませんし、何処かで修行を・・・あ、良い案があります!!これで行きましょう!!」


 「どんな?」


 「わたくしと付き合って下さい!!!」


 ・・・・・なんと?言いました?


 俺は理解できずに少し固まった、付き合う?え?何言ってるの?何処に・・・ってグレイシアさんなら言うだろうけど、そう言うんじゃ無いよな?


 「俺と?」


 「はい!!相性は良いと思うんですわたくしたち!!」


 キラキラした笑顔で何言うの・・・零羅って確か9歳かそんくらいだったよね・・・


 「あの、そう言うのはもうちょっと大人になってからの方が・・・」


 「な、何言ってるんですかぁ!?時間は待ってはくれないんですよっ!?ヤルなら今すぐの方が良いです!!」


 零羅は俺の手をグッと握った、すごい熱意だな・・・


 「え、ええっ!?まじ!?今すぐっスかぁっ!?」


 「はいっ!!付き合ってくれますか!?修行に!!」


 「・・・・・あ」


 あ〜・・・それか、そっちか・・・


 「わたくし一つ閃いたのです。わたくしの格闘術と、このガントレット型の武器。炎神を組み合わせた新たなる流派です。桜蘭さんと一緒ならそれが完成させられそうなんです!!」


 この子ほんと純粋無垢だったわ、その点なに変な方向にシフトチェンジしてんだ俺の馬鹿。ロリコンじゃ無いんだからさ・・・


 「成る程ね、流派か・・・あ、俺も一つ閃いたかも。零羅のあの戦い方って、見た目に反して威力は激ヤバじゃないッスか」


 「そうですね・・・昔執事に世紀末覇者だなんて呼ばれました・・・」


 へ、へ〜・・・確かにあのモード入ってた時は破壊の化身だったもんな。


 「そ、それはさておいて、俺って銃以外で戦えるとしたらこの世界で発達した視力ッス。つまり、見切りに関しては自分で自慢できるレベルだって自負してる。三上に勝てたのもこいつが大きな要因だったッス。


 で、俺のやれる事は零羅の技を見切る事。そしてそこから返し技を作る。零羅の攻撃を受け流すことが出来たら、そこから急所にキッツイ一撃を入れられる。どう?」


 俺にしてはなかなかナイスなアイデアだと思う。零羅との手合わせだぞ?自ずと俺も強くなれる。そして零羅とはまた別の戦い方が身につく、んでもって俺自身が武器なしで戦う方法が手に入るんだ。一石三鳥ってとこだな。


 「それは良い案ですね!!行けますよそれなら!!」


 零羅はウキウキしてる。俺はちょっぴり心配、だって零羅の一撃を捌くんだろ?どうやってやるべきか・・・


 『ほぉ、なんか面白そうな話してんな。俺が審判してやるよ、俺自身サクラ、お前が何処まで強くなったのか見てぇんだ』


 話を聞いていたランサーが審判を買って出た。


 「なら頑張らないとな・・・零羅、ランサーが審判してくれるってさ」


 「やりました!!」


 「で、因みに零羅の戦い方、流派にするんならなんたら流とかって名前付けるんスか?」


 俺は雑談のつもりで聞いた。そう言うのは後からじっくり考えれば良いって。けど、零羅は違った。


 「ふっふっふっ・・・よくぞ聞いて下さいました。実はもう決めてあるのです。わたくしのこの格闘術、魔を纏い、全てを打ち破り闘い抜く剛の拳。名を『魔破闘剛拳流(まはとごうけんりゅう)』!!!」


 零羅はキッラキラな笑顔で力強く言い放った。


 「魔破斗・・・」

 『剛拳流・・・』


 そう言えばそうでした。零羅は・・・めっちゃ少年漫画が好きな子でした。


 『なぁ、サクラ・・・この嬢ちゃん。ちとアレなのか?』


 『いや、零羅は無類の少年漫画好きなんスよ。一応は・・・ネーミングが少し拗らせ過ぎな気がするけど、ちゃんとカッコいいんじゃない?知らんけど・・・』


 『あぁ、まぁ、カッコイイっちゃ良いのか?分からなくなって来た・・・』


 俺とランサーは零羅のネーミングセンスについて議論していく中、零羅はそこからヒートアップ。


 「技名も考えていきましょう!!えっと、邪王炎殺!!は、流石にパクリすぎですね・・・なら、奥義!!煉獄!!ズバババァァンっ!!こんな感じでしょうかっ!?」


 お好きにどうぞー・・・


 「桜蘭さんも考えて下さぁい!!」

 

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