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学園での嫌がらせ


 学園に復学して数日後。

 オデットは虐めに遭っていた。


 彼女は、半裸に近い凌辱寸前の姿で魔法樹脂に封じられていたことが知られている。

 その事実を揶揄され、また嫌悪されて、学園ではクラスの1年D組でもそれ以外でも生徒たちに遠巻きにされ、近くに寄れば避けられた。


 それだけならまだ良かったのだが、派手な行動に出る愚かな生徒たちがいた。


 近くを通り過ぎるとき、わざと身体にぶつかってこられたり。

 私物や教科書を盗まれ、破損されたり。

 校舎から特別授業の別棟へ移動する途中、外を通ったときに汚水をぶちまけられたり。これはさすがに避けたが。


 周囲の反応はさまざまだった。

 虐めという行為自体に眉を顰める者。

 恐ろしいものを見たと怖がりながらも、どこか興味津々で眺めている者。

 楽しいことが起こっていると、嬉しそうに見物している者など。




 しかしそれらすべてに、オデットは騒ぎ立てることをしなかった。


 なぜなら、オデットは魔法剣士の家、リースト伯爵家の直系の娘。

 彼女自身が魔法剣士であり、幼い頃から研鑽を積んできた戦士。


 見たところ、オデットに嫌がらせを仕掛けてくる生徒たちは、貴族や平民問わずではあっても、魔法使いや魔術使いといった、魔力使いではなさそうだった。


 リースト伯爵家は魔法の大家で、魔法剣士の家。

 百年後の現在もその地位は厳然と保たれていると現在の当主ヨシュアから聞いていた。

 それを知っていながらオデットを虐げているのかどうか。

 オデットが虐げられている現状は、そのまま彼らが魔力使いとしても、貴族社会における情報収集能力においても劣った者たちであることの証明となっている。




 オデットは今回復学するにあたり、百年前は最優秀クラスのA組にいたのだが、ブランクを考慮され指導の緩い下位クラスのD組に復学していた。


 どうもそれが良くなかったらしい。


 A組なら高位貴族が多く、リースト伯爵家のことを詳しく知る者たちが大半だったろう。

 しかし、下位クラスのD組は、上はせいぜい伯爵家数名と子爵家、男爵家出身の下位貴族と平民が大半だった。


 復学の前にクラス全員の名前と出自の載った名簿に目を通していたが、リースト伯爵家と付き合いのある家の者はひとりもいなかった。




 彼らの息の根を止めることなど容易だったが、それではつまらない。

 身のほど知らずどもは最初から破滅への道を歩いているのだ。

 どうせなら、もっともっと自分が楽しめるよう、踊ってほしいものだ。


 まだだ。まだ、早い。

 そう自分に言い聞かせながらオデットは毎日を過ごした。




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