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引き継ぎはしっかりと

 季節は既に夏に入っている。

 オデットは進学して学園の2年生だ。

 親友グリンダから引き継いで生徒会長として学園に君臨している。


「ヨシュアはまだカズン様に辿り着けてないみたいね。とんだ金食い虫だこと」


 諜報部からの報告書を眺めてオデットは嘆息する。

 まだ当主の彼に、リースト侯爵家は万全のバックアップを行っていた。

 金銭的にも物資的にも。

 だが、それでもまだ本人は目当ての人物に追いつけていない。


「カズン様自体が常に移動して敵を追っているからな……」

「待ち合わせしても、ターゲットがいたらそちらを優先してる、か。難しいわね」


 ヨシュアとリースト侯爵家は主に情報収集のために金銭をばら撒いている。

 円環大陸全土にネットワークを持つのは、冒険者ギルドと教会だ。

 この場合は先王弟カズンが冒険者登録をして、旅先の冒険者ギルドを利用していることから、冒険者ギルドへの支援を主に行なっていた。


「ヨシュアは、カズン様に会えたらどうするのかしら。一緒に戻ってくると思う?」

「本来の目的を果たした後なら」


 つまり、先王弟の父である先々王ヴァシレウスの仇を討ち取った後ならば。


「何年後になることやら」


 案外、放牧したつもりが、そのまま野生に還ってしまうかもしれない。




 現状では、出奔した当主ヨシュアの代理を務めているのは叔父のルシウスだ。

 だがその彼も、ヨシュア不在の残務整理にある程度の目処がつき次第、旅に出ることを決めたそうだ。


「ヨシュアを追うの?」

「いいや、可愛い子には旅をさせろだ。私はカーナ王国へ行く」


 先王弟カズンが新国王が即位するまで滞在していた土地だ。

 国に所属する聖女の待遇に問題があり、今の円環大陸中を騒がせている国でもある。


「魔力使いの師匠からも現地で聖女の指導にあたるよう要請を受けた。……正直、お前一人をこの家に残していくのは不安だが……」

「あら、構わなくてよ。ついでにあなたの当主代理も引き継ぐわ」


 ということは、不在の当主ヨシュアの侯爵代理でもある。


「私の伯爵位を譲っても良いぞ? オデット」

「あなたは爵位を持ったままのほうが良いと思うわよ? アケロニア王国の伯爵の地位は、どこに行ったって役に立つと思うもの」


 アケロニア王国は魔法魔術大国として、円環大陸の全土で知られている。

 円環大陸の反対側に行ったとしても、その影響力には侮れないものがあった。


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