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リースト伯爵家と魔王


「いやあ、見事にやりましたなあ!」


 麗しの男前、オデットと同じ青銀の髪に湖面の水色の瞳のルシウス・リーストが荒れまくった校庭を感心して見回している。


「ルシウス君? あなたね、あの子の養父になったっていうなら、もうちょっとちゃんと躾しないと駄目よ!?」


 学園内でオデットが虐めを受けたことは、学園長としてエルフィンにも責任はある。そこは今後きっちり対処していく予定だ。

 オデット本人はかなり乱暴な報復を行ったが、実際には問題の原因が自分以外にあることの確実な証拠を集めてきている。

 これだと、仮に相手が裁判に持ち込んだとしても、国の司法は彼女に味方せざるを得ない。


 やり方は上手くないが、自分に不利な状況から有利な方向へと一気にどんでん返しをする。

 何とも“リースト伯爵家”らしい人物だった。


「うちのオデットに制限は課したくないですね。年頃の娘が百年を失い、愛する家族も想い人も何もかも失くしてるのに。リースト伯爵家は彼女の残りの人生は好きにさせてやると決めております」

「……そっかあ」


 一族の総意となると、他人が口を挟むわけにもいかない。


 ちなみに、このルシウスなる男前の学園生時代は、オデットとは違った意味で酷かった。

 彼もリースト伯爵家の男で魔法剣士なのだが、オデットと違って魔法剣は一本しか創れない。

 しかし、そのたった一本が聖剣で、在学中は売られた喧嘩を真正面から全部買って完膚なきまでに叩きのめすことを繰り返した。

 結果、本人には“魔王”のあだ名が付き、聖剣のはずの魔法剣は“魔剣”と呼ばれるようになってしまった。


「君のお兄さんや甥っ子君は大人しかったのに。リースト伯爵家って数代ごとに暴れん坊が出るわね?」

「まあ、魔王の子孫ですから」

「……は?」


 それはこの男のニックネームではなかったのか、と思わずその惚れ惚れするような麗しの顔をネオングリーンの瞳で見つめてしまった学園長エルフィンだ。


「……あのさ、君のこと、鑑定してもいいかしら?」

「どうぞ?」


 学園長のエルフィンは今は数少なくなったエルフ族の末裔で、本人は半分エルフの血を継いでいる。

 優れた能力をいくつも持つが、特筆すべきは特級ランクの人物鑑定スキルだ。

 鑑定対象の出自を、その気になれば何十代でも遡って見ることができる。


「うっわ。本当だわ、“魔王の子孫”ってあるぅ……」

「ちなみに意味は、『魔力がすごく強い支配者』というぐらいのものです。悪の帝王とかそういう感じの悪役じゃないですからね、お間違えなきよう」

「……とりあえず、お宅らリースト伯爵家が何で一族皆強いのかはよくわかったわ……」


 この世界は鑑定スキルの持ち主が少ないことと、人物鑑定スキルは鑑定対象本人の鑑定許可がなければ発動できないセーフティ機能があるため、エルフィンも生徒たち全員を鑑定しているわけではなかった。


「にしても、ということはこの国は勇者の末裔の王族と、魔王の末裔がいる国かあ。結構とんでもない国だったわ」



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