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#2.乱入者!彼女の名は。

#2.乱入者!彼女の名は。




「真面目にやらんか、真面目に」


「うーん・・・やっぱり誰もいませーん」


何もない空間に意味ありげに弱キックをかましつつも、見えない誰かと話してるナーロウ。

女神はもう一度目をこらして凝視するが、そこにあるのはただの空間しかなかった。


「あーはいはい、こいつはお主らには見えんからのう」


女神にようやく気付いたかのように振り向くと、ナーロウは手を転倒したテーブルの方へと向ける。

彼女が向けた手についている指輪がエメラルドの如き緑の輝きを放つと、倒れたテーブルがガタガタと動き出した。

テーブルだけでなく、散らかったティーポット、ティーカップ、こぼれた紅茶、ぶちまけられたパイ、全てがまるで時間が戻ったかの様に巻き戻っていく。


「ふーい、片付け完了っと」


帽子を取りうちわの様にして仰ぐナーロウ、うーんおっさんくさい。

じろっとまた虚空を睨みつけるナーロウ。

すいませーん、反省してまーす。

チっ・・・と舌打ちをするナーロウ。呆れたと言った感じでまた女神の方へ向きを変える。


 「よっこいしょういちっと・・・」


おっさんくさ・・・独特な掛け声で椅子に座るナーロウ。

けだるそうに足を組むとテーブルの上の角砂糖を一つ口へと放った。

あ、ちなみにナーロウ様の下半身は長いズボンです。

肌色0、色気の欠片も見えませじょぼぼぼぼー


「あ、あのー何をやっていらっしゃるのですか?」

「ははっ、きにするなきにするな」


引きつった笑顔で机にティーポットの紅茶をぶちまけているナーロウ。女神視点では真っすぐ落ちている様に見えるが、

ナーロウの目には机の上の何かに掛けている様に紅茶が空中で何かに衝突していた。

実は中腰になって机に顔を乗っけている私の頭になみなみと注いでるんですよねー。あ、あのそろそろやめてもらえます?


 「さてと、そろそろ本題に入ろうかのう」


気が済んだのかポッドの中の紅茶を注ぎ終えると再び指輪を向け、紅茶のまみれのテーブルと床上の惨状を元に戻す。


「・・・えーと、どちらさまですか?」


「ああ、そういえば自己紹介しとらんかったのう、こっちでは」


私の声も聞こえませんからね。見えるのは読者様とナーロウ様達だけ。

こほん、そーいう訳でっと

ようやく自己紹介に入る謎の軍服少女、彼女は先程のひょうきんさとは真逆の重々しい威厳のある声でこう言った。


「ワシの名は。―」


「あなたの名は?」




デデデン♪(SE)


異世界監察官ナーロウ~チート転移者は許さない~(クソデカロゴ)




「はあ・・・異世界・・・監察官様、ですか?」


まるで初めて聞いた言葉の様にきょとんとしている女神。

一方ナーロウは予想通りの反応なのか余裕の笑みを崩さない。


「まぁ下界に降りたら記憶も痕跡も消すからのう、現地神とて例外ではない」


「現地神?あなたも神なのですか?」


「ま、そんなところかのう、広義の意味では」


 ナーロウの自分も神発言に戸惑う女神。頭の上には5つ位?マークを浮かべている。


「ん?、信じられないという様な顔をしておるのう」


それもそのはず、神は全次元において一人しかおらず唯一無二の存在だ。

力を持った精霊や魔族、超常的存在が自称する事はあっても、

全次元を束ねて統括する本当の神は彼女一人だけ・・・な筈だ。


「うーむ、どうやれば信じるかのう・・・」


 うむむと頭を悩ませるナーロウ、と何かを閃いたかの様に目を見開いた。


「これをこーしてっと」


指輪を光らせながら宙で指先をぐるぐると回すナーロウ。

回すのをやめると、何もない空間から一冊の本が出て来た。

本のタイトルには「女神さまの地球観察日記」と書かれている。


「あ!そ、それは・・・!」


女神の驚愕の表情をチラ見すると冷ややかな口調で本を読み上げ始めた。

「次元暦NXX年。地球の様子を見に行ったら虫が沢山飛んでて気持ち悪かった。ふとお魚さんに足が生えたら面白いなぁと思い、地上に酸素を増やして何匹かに足を付けたした。なんかトカゲさんみたいのが増えた。可愛い!」


「待って待って待って!」


女神の静止も効かずに朗読を続けるナーロウ

「次元暦X年。筋骨隆々のイケメンマッチョマンのトール、悪戯っ子なロキ君、堅物なシブメンオーディンさん、今日は北欧神話時代の接待合コン!

明日はオリュンポス!イケメンがいっぱいで涎が・・・うへへへ」

なんだこれはと言いたげに女神を見つめるナーロウ


「職権濫用も甚だしいのう・・・」


「い、一応記憶は消してますし!それに地球も恐竜さんが生まれましたし」


汗ダラであたふたとハンドジェスチャーをする女神。


「てっ!何でこれを見れるんですか!これは神である私にしか開けない神聖な神の書―」


 どうみてもその様な尊大な書物には見えないのだが、

まあいいやという感じで本を閉じたナーロウが返答した。


「まあ、ワシ神、ていうか上層の存在じゃからなー。キャラの裏話とかデータベース見ればゴロゴロ出てくるし」


「じょ、上層?一番上は私のはずじゃ・・・」


これまでの常識が打ち砕かれたかの様に動揺する女神。

自分が見ている側だった筈なのに逆になったのだ、無理もない。


「まあ分かりやすく言うとじゃな、お主の様な下層次元の神を監視する監察官て奴かの」


「・・・で、その監察官様がなんのご用で?」


「そりゃお主・・・」




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