第39話 沢山
ただいま
こうしてやって来た血反堂組の事務所。
まず思ったこと、デカイ
ヤバイほどデカイ、入り口の時点で厳かな雰囲気をかもし出し、奥行きに関しては気が遠くなるほど長い。
「ヤクザの事務所だから結構威厳満載な所だろうとは予想していたが・・・・・。出鼻挫かれた気分だ。」
また門をくぐることすら勇気がいる。戸を叩いたり、声を出すことなんて今までの人生で一番勇気を振り絞ってやってやった。
「す、すみませ~ん・・・・・・」
完全に声が震えてビビっていることがバレバレである。
すると戸が開き、一人の強面な男が出迎えた。
「どん兵衛さん、でしょうか。」
「は、はいい!」
全くもって気が抜けたような声をだしてしまった。
「よくおいでくださいました。組長達がお待ちです。こちらへ、」
と言われ俺はカッチカチなりながら男の後をついていった。
廊下では組員達が全員お辞儀をして並んでいる。
一体俺はどんな罰ゲームを受けているんだろうか?テレビなんかの罰ゲームやバンジージャンプが可愛く見えるほどにこの空間は耐え難い何かがある。
「こちらの先でお待ちです。どうぞ。」
と言い、扉を開けてもらうとそこには今日見た顔一つと般若・・・・・怖い顔の人達大勢が座って待っていた。
「お!待っていましたよどん兵衛さん!」
「あの~今回は何のご用で・・・・」
「その前に!どん兵衛さん私以外誰も知らないでしょう?紹介します。こちらが我が血反堂組の組長、『血反堂 龍児』です。」
鋼さんの手の向けている方には明らかにカリスマや首領の風格を思わせ、名前の通りの龍を感じさせるような風貌の男が座っていた。
「そして、組長の横におりますのが若頭『風祭 大輔』です。で、右から参謀『調所 濃遠』、一番隊隊長 八拳組組長『八拳 納来』、二番隊隊長 血反堂組若頭補佐『杉本 左近』、三番隊隊長 賭場"駒城院"支配人『双六 象郎』、五番隊隊長 堺製鉄所所長『鉄筋 紺繰』です。」
「どん兵衛さんについては私から事前に話をしておきました。それでは本題の方に入らせていただきます。」
「はい・・・・・」
「今回、どん兵衛さんにはうちの抗争の手伝いをしてほしいんです。」
「?」
「こうそうの?てつだい?」
「別に死体処理しろ、とかではないですよ。」
「じゃあどういった手伝いを?」
「主に作戦です。」
「さ、さくせん・・・・ですか・・・・」
「引き受けていただけますか?」
「え、でもあなた達のところ参謀いましたよね?
なんで俺なんかに?」
「質問される前にこっちが質問、ええか?」
と、言ってきたのは確か・・・・・八拳さんだっ気が。
「あんた、本当に信用しても良い奴なんか?」




