<コント>伝説の勇者が30人もいるッ!
ゲラゲラコンテスト応募作品です
ツッコミ「ようこそ、最果ての町ジャハンパへ。ここは伝説の剣、エクスカリバーが刺さった岩があることでも有名です」
ボケ「こんにちは。早速ですが宿屋はどこでしょうか?ここへ来るまでの長き戦いで、メンバーの体力はかなり削られてしまいました」
ツッコミ「おお、それは大変です。急いで宿の予約を取りましょう。因みに旅のお方、ご一行は何人ですか?」
ボケ「全部で31人になります」
ツッコミ「はい?」
ボケ「引率の私を含め、31人が私たちのパーティーです」
ツッコミ「ちょっと、多すぎませんか?」
ボケ「はい。よく言われます。おい、吉田!許可なく藪の中を調べるんじゃない!菊池、来て早々に壺を割るな!(苦笑いしながら)どうも、すいません…」
ツッコミ「ははは、冒険には大事な事ですからね…。あ、それと宿の予約の際に職業を伝える必要があるんですが…」
ボケ「私は単なる村人ですが、他は全員、伝説の勇者です」
ツッコミ「はい?」
ボケ「だから村人1の、伝説の勇者30です」
ツッコミ「え?伝説の勇者なのに30人もいらっしゃるんですか?!」
ボケ「はい。古き言い伝えの条件を満たした者が奇跡的に30人も見つかってしまったんです。これだけ多いと引率の私は気苦労ばかりですよ」
ツッコミ「でしょうねえ…。え?!(遠くに向かって)ちょっと、ちょっとお待ち下さい、勇者様!その剣は選ばれし者以外、岩から引き抜けませんよ……。抜けたあ!あのエクスカリバーが、…ぬ、抜けたあ!」
ボケ「彼は伝説の勇者ですから」
ツッコミ「あれ?え?引き抜いた剣をまた岩に刺し込んでますけど…。それで次の人に代わって…、また抜けたあ!スポッと抜けたあ!」
ボケ「彼も伝説の勇者ですから」
ツッコミ「ひえ〜…。刺して抜く、刺して抜く、刺して抜く」
ボケ「30人が伝説の勇者ですから」
ツッコミ「ちょっと待って下さい。…今度は30人で、誰がエクスカリバーを装備するか揉めてますよ」
ボケ「またかよ!面目ないです。あと29本、町のどこに伝説の剣は刺さってるんですか?!」
ツッコミ「ある訳ないでしょ。普通この手のものは1本だけですよ」
ボケ「それは困ったなあ。皆んな伝説の勇者なんで不公平に扱ったら拗ねるんですよ」
ツッコミ「拗ねる?!勇者なのに拗ねる?!」
ボケ「はい。勇者も人の子、人一倍拗ねます」
ツッコミ「30人の勇者は厄介だなあ。もうこの際、エクスカリバーを持ち回りで使ったらどうですか?」
ボケ「持ち回りですか。う〜ん。魔王の城で、不安だなあ」
ツッコミ「全然問題ないでしょ。こんだけの勇者で魔王一人と戦うんだから」
ボケ「聞くところによると、魔王は通常攻撃が2回攻撃らしいんですよ」
ツッコミ「ああ、そうらしいですね。こちらが1回攻撃する度に、向こうは2ターン分の猶予があるみたいですね」
ボケ「ウチは1ターンで30回攻撃ですから。しかもエクスカリバーを持ち回りで扱うから、こうぐるっと魔王を30人の勇者の円で囲って攻撃してくでしょ…」
ツッコミ「魔王、タコ殴りのリンチじゃねえか!」
ボケ「そうなんですよ。そこが倫理的に問題あるなと不安なんですよ」
ツッコミ「そっちの心配ね。まあ、それはこの際しょうがないんじゃないですか?」
ボケ「あと囚われのお姫様が一人しかいないのも不安だなあ…。あのぉ、付かぬ事をお聞きしますが、お知り合いに若い娘っ子はおりませんか?沢山いると随分と助かるんですが」
ツッコミ「完全に見繕うとしてる!」
ボケ「今なら皆さんお姫様になれますよ?」
ツッコミ「おかしいでしょ。善良な市民の我々が囚われのお姫様を増やそうとするのは!お姫様が戻って来て、王様腰抜かすだろ。え?姫が30人に増えてるって」
ボケ「じゃあどうするんですか?!このままだと勇者30人で一人の姫を巡る、バチェラードラマの幕が上がりますよ!」
ツッコミ「それ、ちょっとだけ面白そう…」
サイレンが鳴る。
ボケ「なんですか、これ?」
ツッコミ「隠れて下さい!魔王の城からモンスターが攻めて来ました」
ツッコミが竜の被り物をする。
戦闘時の音楽が響く。
ツッコミ「ははは!我こそが竜の魔王だ。聖なる臭いがするから来てみたが、勇者よ、どこにいる?名を名乗れ!」
ボケ「しゃきん!僕の名前は勇者安達。しゃきん!僕の名前は勇者菊池。しゃきん!僕の名前は鈴木健。しゃきん!僕の名前は鈴木孝。しゃきん!私の名前は鈴木さとみ。しゃきん!…」
ツッコミ「待て待て待て!勇者が沢山い過ぎて名前が覚えられん!ええい、喰らえ竜の炎!竜の爪!」
ボケ「ぐえええ!」
ツッコミ「あれ?勇者なのにメチャクチャ弱い。誰も攻撃して来ないし…」
ボケ「30人もいるから、きっと誰かがやってくれると思ってました」
ツッコミ「勇者のクセに皆んな他人をアテにするとは!」