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目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第四章 教えるのも試すのも楽じゃない
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学生の本分⑤

「そうだ。せっかくなので異能基礎教えてくださいよ」



 食後、少しのクールタイム中にエリスが提案してきた。



「別にいいけど、今日は他の教科をやった方が良いんじゃないか?」



 まずは赤点を回避することを考えて古文と日本史を勉強するつもりだったんだが。



「そうなんですけど、ずっと同じ科目を勉強してたら疲れますよ」



 確かに。それで効率が下がったら他の科目にも影響が出かねない。



「えっと、私も良い?」



「梅森さんも?」



「うん。私も結構ギリギリで……」



 それなら、やらない理由はないな。



「梅森さん、異能基礎苦手なんですか?」



「うん。バリバリの文系だから……」



「じゃあ教えるよ。前提として、基本的にテストの出題形式は四択から選ぶ選択式だから、最悪分からなくても埋めること。いいね?」



 先生によっても変わるが、それでもほとんどが選択問題のはず。



「「はーい」」



 うーん懐かしいなぁこの感覚。



「じゃあまず異能系統について。これは五大系統と呼ばれる強化・動力・言霊・呪力物質化・精神干渉の五つは絶対に覚えておいて。これが基本になるから」



「というと?」



「問題として、この効果を持つ異能はどの五大系統に属するか、ってのが出てくる。例えば炎を操る異能はどの五大系統か? はいエリス、何でしょう?」



「え!? えーと……動力?」



「正解。こういうのが出てくる。五大系統の特徴として、強化は性能や機能に関するもの、動力はエネルギーに関するもの、言霊は文字や言葉に関するもの、呪力物質化は呪力を別の形にするもの、精神干渉は生物に干渉するもの、と覚えておけば大丈夫だ」



「成程……メモメモ」



「書き終わった? じゃあちょっと難易度上げるよ。『操る異能はどの系統?』」



「え、操る? えーと……」



「主語はどこに……」



 そこが鬼門なんだよねー。異能者昇格試験でよくあるやつ。



「正解は『操る』ので動力系統と精神干渉系統です」



「何で答えが二つあるんですか!?」



「当てはまるから」



「ぐぬぬ……」



「はいじゃあ今のを踏まえて難易度上げます。呪力具現化系統に含まれている系統は?」



「???」



「呪力物質化系統だね」



「梅森さん正解」



「って、呪力具現化系統って何ですか! さっき無かったじゃないですか!」



「良い質問だ。五大系統にはそこから派生する系統がある。さっき梅森さんが答えてくれた問題だと、呪力具現化系統は呪力物質化系統の派生ってこと」



「違い分からないんですけど」



「呪力物質化は、呪力を物質に変える。呪力具現化系統は、呪力で異能の力を持つ物質を創る。これが違いだね」



「ただの物質か、異能を持つ物質か。そこが線引きになるね」



 俺だけではなく梅森さんも教師役になっている。やっぱり自分の系統は良く知ってるよな。後日他の系統についても教えよう。



「成程? 何となく分かってきた気がします」



 実のところ、呪力具現化能力には他の系統の要素がある複合系統タイプと、純粋に派生した進化系統に分かれるんだけど……異能基礎では取り扱わないから省略。



「そう? じゃあ次のセクションに移ろう。次は呪力属性についてだね。呪力属性は全部で十二種類。火、土、水、金、木、陽、陰、風、雷、氷、銀、毒。幻の陰陽については異能基礎にはでないから省略ね」



 というよりも、陰陽の事は分からないことだらけなので説明があんまりできない。



「十二種類……これは覚えるだけでいいんですか?」



「残念ながら。異能基礎ではこの十二種類の呪力の性質も取り扱ってるんだ」



「性質?」



「そう。各呪力属性の特徴のようなものだね。次にやる異能属性と絡んでくるから、ここはちゃんと覚えておいてね」



「分かりました!」



「分かったよ」



「じゃあ始めるね。呪力属性には多種多様な性質があって、それこそ数えきれないほどあるんだ」



「じゃあ覚えるの滅茶苦茶大変じゃないですか」



「うん。だから異能基礎では各呪力属性の代表性質を覚えていれば何となくで解けるよ」



「あの、代表性質とは?」

 


エリスが尋ねる。



「代表性質は、この呪力属性を持っている人はこういう性質が一番出てるよっていう統計結果で出た性質のことだね」



 これは言葉で説明すると訳が分からなくなるので、紙に書こう。



「梅森さん、代表性質を紙に纏められる?」



「うん。頑張ってみる」



 もはや梅森さんが助手と化している。



「木は生と治癒、火は熱と火炎、土は粒と結合、金は軟と金属、水は流と液体、毒は死と質量、風は気と拡散、雷は瞬と貫通、銀は清と硬化、氷は停と封印が該当するね」



「……あれ? 陽と陰は無いんですか?」



「良いところに気が付いたね。陽と陰に関しては代表性質はないんだ。その代わりと言っては何だけど、表五行と裏五行の要なんだ。けど、異能基礎では取り扱わないから省略ね」



「分かりました!」



「これさえ覚えてもらえれば次は最後の異能属性についてだよ。異能属性とは、異能者が扱える異能を表しているもので、これは自身が持っている呪力属性の性質の中から決まる、とされているんだ」



 だから先に呪力属性の話をした。



「されている、ですか?」



「うん。実はまだ確実にそうだ! という証明がされてないんだよね。ほぼ確定って感じかな。そして一度決まったら変えられず、その特徴から、異能者の成長方向性を示している、なんて言われたりする」



「成程……」



「で、これに関する問題が選択式じゃなくて記述式が多い。前に勉強した二つの知識がないと解けないし、そのせいで問題数が多いし配点も高い。例えば、異能属性《火炎》、呪力属性《雷》の場合、どのような異能が使えるか。とか」



 これの答えは電気の熱で発火させる能力。



「記述式の場合、問題の答えが詳しく書けている程点が取れる」



 どうやって発動するか、そのメリット・デメリットは何か。もっと効率の良い方法は無いか……とか。



「難しそうですね……」



「そうだね。私もここが苦手で……」



「赤点回避が目的なら、完璧に書く必要は無いけど、あまりにもいい加減に答えると点数が取れないから注意な」



「分かりました。肝に銘じます」



「異能基礎はこんな感じだ。詳しい事や練習は後日として、一旦休憩しよう。そしたら午前の勉強の続きをやろう」




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