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目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第四章 教えるのも試すのも楽じゃない
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学生の本分②

「と、こんな感じです」



 ふぅ、と日本史の説明を終えたエリスがため息をつく。



「……時系列がはっきりとしてない感じかな」



 エリスの説明を聞く限りでは、知識は十分だが、前後の流れがバラバラ。古文と言い、エリスって知識はすぐ入るけど関係性を結びつけるのが苦手なのかな。



「それなら一度人物ごとにまとめてみるか」



「どういうことです?」



「歴史上の人物が何をやったかプロフィールにするんだよ。そうすれば何をした人か分かりやすいかなと思って」



 資料を基とした教科書では、どうしても客観的な情報ばかりになる。歴史とは人が紡ぐものなので、事象視点よりも人物に焦点を向けた方が良さそうな気がする。少なくとも、事象の関連人物は纏めた方が良い。似たような名前多いから誰が誰か分からなくなるし。



「それはいいかもしれないですけど、それ結構時間かかりますよね? 試験に間に合いますか?」



「……休みをフルに活用して手伝えば何とか」



 つまり他の教科を勉強できないということだ。科目が多い期末試験では結構危ない橋を渡っている。



「……そうですね。他の科目は何とかなりそうですし、それでいきましょう」



 そういうなら俺が止める理由はない。



「じゃあ明日やるか。丁度休みだし」



「いいですね! それなら鳴神さんの家でしましょう!」



「っ!」



「え、俺ん家?」



 別にどこでもいいんだけども、何故俺ん家チョイス?



「ここは私の住んでる場所でやった方が良いんでしょうけど、私の住んでるところだとちょっとやりにくいんですよね」



 あはは、と笑うエリス。



 そう言えば、エリスが住んでるところって教会だったな。確かに休日には人が訪れるだろうし、勉強する場所としては不適格だ。



 それにエリスが知ってるかどうかは分からないが、夏原学園はテスト期間に入ると全施設が使用できなくなる。ここで勉強することはできない。



 近くには図書館もないし、選択肢として俺の家は十分あり得る。



「多分うちは大丈夫だとは思うけど……」



 式神達が何て言うか。特に夜鶴。あいつこの前敵意丸出しだったからなあ。流石に危害を加えることはなさそうだしさせないけど。



「確認するからちょっと待ってて」



 そう言って図書室から出で、意識を集中させる。



(金鈴、今大丈夫か?)



 念話を繋げた相手は金鈴。



(……んあ、何?)



 声からして寝てたな。今夕方四時なんだけど……。



 いや、気にするよりもやることがあるな。



(明日エリスが勉強会したくて、それを家でやるって言ってんだけど、特に支障ないか?)



(明日ぁ? 特に問題ないんじゃない?)



(それなら良いんだ。皆に伝えておいてくれ)



(えぇ……面倒臭い。そういうのは他の式神にさせてよ。翡翠なんかが良いんじゃない?)



 確かに翡翠なら文句ひとつ言わずに承諾してくれるだろう。



(いや一応お前家の管理者だろう。それぐらいやってくれ)



 家自体は俺の持ち物なのだが、家の管理は金鈴に任せている。



 その理由は別に大したことはなく、単純に金鈴が家から出ようとしないから。本人曰く、自宅警備の仕事をしてるから他の仕事ができない。とのこと。



 こちらとしても無理をさせたくないし、神殿を狙う不届き者を排除するために誰かが家にいた方が安全だと思っているから、不満があるわけでもない。



(まあそうなんだけどさ)



 煮え切らない態度の金鈴。どうやらやる気がないらしい。



(自分でやると言ったんだから、これぐらいはやって欲しいんだけど)



(……しゃあないか。分かったよ、伝えとく)



(ありがとう)



(んじゃ切るよー)



 ──念話が切れた。



 取り敢えず確認が済んだし、エリスに伝えに行くか。



「お待たせ、家の方は大丈夫だ」



「あ、そのことなんですけど」



「どうした?」



「あ、あの、鳴神君」



 話があるのは梅森さんの方か。



「私も、勉強会に参加してもいいかな?」



「梅森さんも?」



 確か梅森さんは文系科目の成績は良かったはずだ。



「私、理系科目があんまり得意じゃなくて。普段なら大丈夫だと思うんだけど……今回は事情が違うから」



「あー……なるほど」



 今回の試験は出題範囲が広いから心配ってことか。確かにその通りだな。



「聞きましたよ鳴神さん。テストの成績が上位に入るって」



「エリス、誰から聞いたの?」



「私がさっき言ったの」



 俺が席を外している間にそういうやり取りがあったようだ。



「ごめん、話しちゃダメだった?」



「いや、別にそういうのじゃないから大丈夫だよ」



 小心者なので、例えどうでもいい情報でも自分が開示した覚えのない情報を知られてると気になるだけなのだ。



「えっと、梅森さん。話を戻すけど……どの理数系が苦手なの?」



「その、数学が苦手で……」



「そっか。なら何とかなりそうだ」



 ぶっちゃけ数学は公式と、公式の使い方を覚えれば簡単だ。



「ホント!?」



 梅森さんの瞳がキラキラしている。余程数学で苦しい思いをしたようだ。



「うん。基本的に反復練習あるのみだから、勉強会は丁度いいかも」



 テストで良い点とりたいだけならこれでいい。



「じゃあ明日、鳴神さんの家で勉強会ってことで! よろしくお願いします!」



「お、お願いします!」



 美少女二人にお願いしますと言われる。



 ──結構いいな。



「お願いされました」



 その欲望は心の中で留めて置き、悟られないよういつも通りの感じで返した。



……金鈴に連絡するか。



 あ、式神達のこと、梅森さんにどう説明しよう……。



「そういえばエリスは異能基礎勉強してる?」



 異能者養成学校である夏原特有の授業だ。



「ああ! 祖国でもありましたしある程度は」



「エリスは転校生だから日本式の勉強をしといたほうが良いぞ。イギリスより内容多いし」



 日本は異能先進国なので、基礎と言っても膨大な量がある。その量は世界一。



「……それって難しいんですか?」



「いや、基礎的なことだから難しくはない。ただ幅広い」



 問題数滅茶苦茶多いんだよな。一問一点が九十個あるぐらいだし。



「……それもお願いできますか?」



「分かった。これでも異能基礎は学年一位だ。任せろ」



「ありがとうございます!」



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