表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第四章 教えるのも試すのも楽じゃない
92/133

神殿④

「ただいま」



 金鈴に鍵を開けてもらい、神殿の第二階層である地黒と天白の居住スペースに着いた。



 そこは第一階層、第三階層と比べ家具が置かれていて生活感が感じられる空間となっていた。確かここはダイニングキッチンで他には地黒と天白の部屋があり、後は風呂とかトイレとかがあったはずだ。滅多にここには来ないのでうろ覚えだけど。



 ちなみにこの階層にはライフラインが通っている。神殿は異界の一種なので繋げるのは苦労した覚えがある。



「お帰りなさいませ、ご主人様」



 すると地黒が出迎えてくれた。



「あれ、天白は?」



「お風呂の準備をしていますよ。よろしければ入浴されますか?」



「いや、大丈夫。この腕じゃ身体洗えないしな」



 シャワーを浴びるにも三角巾取れないし。一日ぐらい風呂に入らなくてもいいか。



「では如何致しましょうか」



「寝る」



「では準備を致しますので少々お待ちください」



 そう言って地黒は作業部屋に入っていった。



「別にそんなことしなくても良かったんだけどな……」



 寝れるならどんな環境でも良かったんだが。地べたで寝たってこっちは問題ない。



 ……てか準備ってなんだ?



 だが地黒の厚意を無駄にするわけにはいかないか。ここはしっかり受け入れよう。



「ご、ご主人様。お風呂入りますか?」



 風呂の準備を終えたであろう天白が戻ってきた。



「いや風呂はいい。もう寝るから」



「そ、そうですか」



「ごめんな、せっかく準備してもらったのに」



「い、いえ! それなら天白が身を清めてきますので、し、少々お待ちください!」



 何を? と聞く前に天白はササっと脱衣所に入ってしまった。



 なんか明瞭としない状況だが、できることは天白の言葉通り待つだけだ。



「ご主人様、お待たせ致しました」



 ボーっとしていたら地黒が準備を終えて戻ってきた。



「こちらへどうぞ」



 地黒に案内され作業スペースに入る。



「……え?」



 質素で、余計なものがないはずの作業スペースが、何故か俺の部屋になっていた。ベッド、机、本棚等々……全てにおいて俺の部屋と一致している。



「地黒、これは一体」



「いつも通りに過ごして頂くため、勝手ながらお部屋を再現致しました」



「それはありがたいけど、ここまでやらなくても」



「……命令違反でしたでしょうか?」



 不安になったのか声が小さくなる地黒。



「いや、驚いただけだから心配しなくていい」



 あの命令でしか動かず、自発的に動いたとしても命令の範囲内のことしかしない地黒が、こんな大胆なことをするとは思わなかった。どこか機械みたいな感じだったからな、地黒。これは感情の芽生え何だろうか。



「これは地黒がやろうと?」



「いえ、天白のアイデアです」



 成程、想像力が高い天白ならこういうことをするのは納得できる。



「そっか。でも俺以外の指示を聞くってのはいいことだな」



 地黒は天白と違い命令に固執し柔軟性が欠けている印象がある。その地黒が他人の意見を取り入れたことは嬉しい。



「あくまで命令の範囲内ですが」



 けれど、柔軟性はあんまりないご様子。



 まあすぐにどうこうしろと言うつもりはないし、地黒には天白がいるからバランスは取れている。問

題はなさそうだ。



「そうだとしても、有難いよホント」



「お褒めの言葉なら天白にかけて下さい。地黒は作業をしただけですので」



「勿論天白にも言うつもりだけど……作業をした地黒に感謝を伝えても何も問題ないだろ」



 地黒にはこんなめんどくさそうな作業をしてくれたことに感謝を。天白には気遣いに対しての感謝

を。方向性が違うだけで感謝の気持ちがある。お礼を言うのに必要なのは気持ちがあること。誰が言い出しっぺかどうかは関係ないのだ。



「……それもそうですね。では受け取っておきます」



 地黒は感謝の気持ちを受け取ってくれたようで、ペコリと頭を下げた。



「それでは、ごゆっくりお休み下さい」



 そう言って地黒は部屋を後にした。



「……寝るか」



 ベッドに座り身体をくねらせ横になりつつ足を上手く使いながら掛け布団に包まる。



「……くあ~」



 疲れが溜まっていたからか、すぐにあくびが出てきた。



 そして目を閉じると、段々と意識が遠くなっていき──



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ