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目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第三章 体育祭の規模じゃない気がする
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人生ハードモード(物理)①

六月だというのに今日は暑い。ニュースの天気予報で観たら、今日の天気は一日中晴れ。しかも気温が二十八度。これが最高気温なのだが、暑さに慣れていないこの身体は暑いと感じているようで、じんわりと汗が噴き出している。



 午前はともかく、午後の競技はあれなので良かった。



 などと考えつつ学校に着いた俺は、すぐさま教室に入る。



 そこには談笑しているクラスメイトがおり、色とりどりのタスキを身に付けていた。



 赤、青、黄、緑。



 これはそれぞれの組の証。これを付けていないと体育祭に参加できない。



 不正防止としてこのタスキには、ICチップが取り付けられているため、偽装工作はできない。受け渡し・交換も不可。これのおかげで膨大な数の参加者を管理している。



それはどこで手に入るかと言うと……あった。



 各自自分の机の中に入っている。大学部の学生は教務課に自分で取りに行くらしい。面倒だよね。参加は自由らしいけど。



さて、体育祭はこのまま教室で待っていればいいという訳ではない。会場の異能競技場に開会式まで


に行かなければ参加ができない。



 教室にクラスメイトがいるのは、単に友達と一緒に行きたいだけだ。時間もまだあるし、それもいいとは思う。



 でも、俺には関係ないので荷物を持って競技場に行く。



 歩いて約五分、競技場に到着。



 この競技場は三万人収容できる大きさ。なので広く、自分の組の陣営に行くのも大変だ。その前に更衣室に行って体操服にチェンジ。



 更衣室から出ると、ものすごい人の波が。それもそのはず、この体育祭は児童・生徒・学生の他に

も、その家族や一般観覧者も来るので、結構混雑する。先生たちや実行委員会の人達の苦労が半端ないのである。



人ごみを潜り抜け、ようやく青組の陣営に着いた。陣営の席ならどこにでも座っていいことになっている。



 けど、そんなことはお構いなしにグループで固まるのが人間と言うもの。そのグループによって陣地が作られている。



 当然、俺にはそんなグループはないのでグループ同士がひしめぎ合うことで生まれた空間に座る。



 個人的には、競技が始まったらこの陣地は意味がなくなるので気にしていない。せいぜい昼休みで集まる程度……。



 べ、別に一人がさみしいとか、そういうのじゃないんだからね!



 ……虚しい。



「鳴神さん、おはようございます!」



「おはよう」



 話しかけてきたのはご存知エリス。その美しさで俺の周囲にいた男子グループの騒がしさが消え、釘付けになっていた。すげー。魅了の魔眼持ち?



「何だか楽しくなってきますね!」



「それは良いけど、早く着替えてきたら? タスキも忘れずにな」



「あ、そうですね! あっ……」



「ん、どうした?」



「更衣室の場所が分かりません」



「クラスメイト探して教えてもらえ。案内はできないから」



「え、何でですか?」



「男が女子更衣室まで行くわけにはいかんだろう」



 傍から見れば不審者だ。しかもここには事情も知らない非関係者も大勢いる。誤解を受けちゃたまらない。



「あっ、そうですね。ありがとうございます!」



 気づいてくれたようで何よりだ。



 エリスは早々にクラスメイトを見つけ、共にどっか行った。



「……なあお前」



 話しかけてきたのは俺に最も近い位置にいたグループ。体操服のデザインからして中等部だな。



「何だ?」



 一応先輩にあたるわけだが、そんなもん一々気にしてはいられない。力ある異能者や名門の出の異能者ほど高圧的になりやすいのは体感として分かっているし、直そうと促しても選民思想が根強く当たり前だと思っているので意味なし。



この子がそうとは限らないけど。



「あの人、お前の彼女か?」



「違う。ただのクラスメイトだ」



「よし!」



 あー……これは惚れてますわ。



「おい、俺が先だ!」



「ふざけんな、俺だろ!」



 うっわ、何か言い争い始めちゃったよこの子ら。エリスって実は魔性? シスターなのに?



 関わりたくないので他の空いてるところを探して座ろう。



 そして座ったのは青組陣地と保護者関係席の境界。まあ、親の近くに座りたくはないよな。学校という、親から離れた環境をわざわざ壊す必要性はどこにもないわけだし。



俺は親がいないのでそんなこと気にせず座れるが。



 やることもないのでボーっと会場を行き交う人達を眺めて……。



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