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目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第一章 ようこそ風魔の里へ
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ボロボロの帰還④

二人がバスタオルを巻いて浴室に入り、俺は夜鶴からバスタオルを受け取り湯船の中で腰に巻く。湯船の中で巻いたから少し緩めになってしまったが、二人の前でフルオープンの姿を一瞬でも見られるとまずい。血行促進したままだし。



 一方二人はそんなことを気にしていないのか、また俺の両隣に座った。右が夜鶴で、左が翡翠。



「そういえば、夏原学園のことニュースになってましたよ?」



 夜鶴が何の気無しに話し出す。こちらとしても今の状況に意識を逸らせるし、確認したいこともあるので話に乗っかる。



「まあ、そうなるだろうな」



 ドラゴンが現れたなんて一大事、ニュースにしない方がおかしい。十年に一度あるかないかの出来事だからな。



 だからこそ、夏原にドラゴンが出るのが不思議でならない。



 まあ実際に出たことは疑いようのない事実な訳だが。



「どんな内容だった?」



 それよりも気になるのは、どんな報道のされ方だったかという点。



「確か、夏原学園にドラゴンが現れて、それを仮面の天使が斃したって内容でしたよね、翡翠さん」



「ええ。私は晩御飯を作ってたから映像は見ていないけど、そう聞こえてたわ」



「そうか……」



 なら正体はバレていないと考えた方が良いか? できるだけの偽装をしたんだし、そうでないと困るけど。



 ていうか、俺ドラゴン斃してないんだけど? 俺がやったのはドラゴンを足止めして対魔部隊に無理やり押し付けただけ。斃したかどうかは知らないが、斃したんだったら、それは俺……仮面の天使ではなく対魔部隊だ。



 速報で出したかったんだろうけど、ちゃんと情報精査はしとかなきゃダメだよ。人に情報を正確に伝えるのが仕事だろうに。



「天使って聞いたとき、透さんだわって思っちゃったわ~」



「ですよねー」



 そういうイメージなの? 他にもあるじゃん。



 ……自分ではよく分からないが。



「お前らに正体がバレても別に構わないけど……ニュースで正体について何か言ってた?」



 そこが重要だ。何しろ色々と身バレしたら厄介な身だ。



「確か、理事長さんが防衛システムが働いたって言ってたから、それで解決したと思うわ~」



「そうか……」



 理事長がニュースでそう言っていたなら、報道側もそれを信じるしかないか? 俺は昔の事があってあいつらを全面的に信用していないから、探りを入れて調べさせてもらおう。どのみち依頼の件で職場に顔を出す必要があるし、その時に頼んでみるか。



 というか俺、防衛システム扱いかよ。異存はないけど、若干扱い酷くないか?



「ところで透様」



「なんだ?」



「風魔さんの裸を見たのは、本当の話ですか?」



 その話掘り返すの? 何も良いことないよ?



「咄嗟に着替えで視界を覆ったから見てないぞ」



「……本当ですか?」



 夜鶴が疑いの目で見てくるが、本当のことを言ったら絶対面倒なので隠し通す。別に全部嘘ってわ

けじゃないからな。



「どうですかね翡翠さん」



「本当かどうかは分からないけど……私の胸を見たいならじっくり見てもいいのよ?」



 ちょ、急にそんな爆弾落とさないで翡翠! 確かにチラチラ見てたけど!



「透様……?」



 ヤバい夜鶴の目に光が無い。ここはどうにか取り繕わなくては!



「大丈夫だ安心しろ夜鶴。翡翠のだけじゃなくお前のも見てたから」



 違うだろオイ! 何口走ってんの俺!? 疲れと色気で頭がイカれたのか!?



「なあんだ、そうだったんですね!」



 しかし意外なことに、夜鶴の目に光が灯る。



 え、今の正解なの? 何で? 誰か途中式教えて?



「じゃあ私の胸を見てください!」



 と言い、夜鶴は思いっきり俺の頭を胸に抱き寄せ挟む。



 柔らかっ!!



 てか、それだと何も見えないんですけど……じゃなくて!



「……おい! ちょっと待とうか!」



 何とか顔を上に向け夜鶴を見る。



 ちくしょう。やっぱ美人だなこいつ。何で美しさと可愛さが両立してるんだよ。奇跡そのものなのかこいつは。



「そういうことじゃなくてだな……!」



「分かりました透様!」



 嫌な予感がするのだが!?



「頭じゃなくで別のところを挟んで欲しいんですね!」



「そうじゃないけど!?」



 いや何がどうなってんだよ! 誰か説明してくれ!



『その願いを叶えてしんぜよう』



 突如頭の中で声が響いた。



『金鈴!? 急に《念話》なんて……これお前の仕業か!』



 声には出さず、思考で返す。



《念話》は術式の《伝達術》という種別で、文字通り頭の中で会話ができる。ちなみにうちの式神には契約時に《念話》が使えるようになるようにしているため、やろうと思えば全員の思考を繋げることもできる。



『フォフォフォ、その通り。お湯に媚薬を混ぜさせてもらったのじゃ』



『何てことをしてくれたんだよ!』



 通りで血行が良くなってると思ったよ! あとテンションが高めになってんのはそういうことか!



『思う存分卒業するといいよ。お姉ちゃんからの粋な計らい、さっ』



 キャラを統一しろよ! 師匠ポジと姉ポジは同居出来ねえだろうが! ウザさが限界突破しそうだわ!



 ……くそっ、あいつ《念話》切った上に受信拒否してやがるなアイツ! 後で覚えとけ!



「だったら翡翠さん! 透様のを挟んでください! 透様も私のを触ったり揉んだり摘まんだりしても良いですよ!」



「何もかもが良くねえ!」



「私もよく分からないけど~」



 翡翠は媚薬の影響を受けてないのか? なら翡翠を味方に付けて──



「何だか火照ってきちゃったわ~」



 前言撤回。効果が薄いだけで影響受けてるわ。そりゃ俺の《不可侵》が発動してないのなら翡翠にも効くよな! 



そうか、これ金鈴の空想具現化じゃなく紫苑が創った薬物による強化か! 



紫苑の方なら薬物耐性がある俺に効き目は薄く、耐性のない二人には強く出ているのか。首謀者は金鈴だろうが、実行犯は紫苑だったか。そんなことしてる暇があるんなら、仕事の準備をしてくれよ。



 ……ヤバい。身体が本格的に反応し始めた。取り繕うのに限界が近い。



 だが、一線を超えることだけは絶対に阻止しないと。主と式神の上下関係ってのそうだが、媚薬で唆されて情事にふけるとか絶対に嫌だ! こういうのは両想いでちゃんとシチュエーションとかがあるだろ!



 もう休むどころじゃない、撤退だ! 



「俺もう出るから!」



 勢いよく湯船から上がる。そのせいでタオルが解けフルオープンになったが知るか! 所々夜鶴と翡翠に見られただろうし当たったが知らん! 感触は覚えるけどな! 



「透様、お待ちください!」



 待ってたまるかだから逃げてんだよ!



「《三千世界》!」



 追いかけてくる夜鶴の前に赤い城門を顕現させ、道を阻む。本来の使い方じゃないけど、今は緊急事態だ。使える物は全部使う。



 それと同時に俺の前にも城門が開いた状態で顕現させ、こちらは俺の自室に時空を繋げる。こっちが本来の使い方だ。



 《三千世界》をくぐって自室に戻り、《三千世界》を解除。



 そうしてようやく安心。《三千世界》を使ったせいでまた疲れたけど。



 後は……。



『紫苑、金鈴が風呂に媚薬撒いたから解毒薬二人に解毒薬飲ませろ。それが終わったら説教だ』



 携帯電話のSNSで連絡して、服を着各所に明日の訪問連絡を適当に済ませ寝る。



 金鈴と紫苑へのお仕置きについては、また後日。もう疲れた。





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