暗闇にて②
世界のどこか。
「おい、仕事終わったぞ」
「そうか、お疲れ様」
「テメエの為にしたんじゃねえ。あいつの為にやったんだ」
「それでいい。お前は彼女のために動いてくれれば、それで」
「そうか。ああ、そういえば」
「なんだ?」
「何故飯塚の《死刑者》の全てを話さなかった? 確かに《人を呪わば穴二つ》は負の感情を抽出し、本来向けられるべき相手にぶつけるが……何も抽出するのは負の感情だけじゃない。正の感情もその対象だろう?」
「……ああ、そのことか。何、現状を説明しただけだ。別に異能について訊かれた訳じゃないしな」
「……確かに。訊かれたのは観客が倒れた経緯だったか」
「じゃあ俺は帰るぜ。じゃあな」
「ああ」
静寂。
「……飯塚に礼を言わないとな。あいつのおかげで、法で裁けない悪を炙り出し罰を与えられた。飯
塚の苦しみが、奴らを告発する」
飯塚の苦しみ。
それは《詐欺》という理不尽で家族を失った苦しみ。そのせいであいつは喋ることを辞めた。
言葉を、信じなくなった。
……これは社会に蔓延る苦しみのほんの一部。だが、当事者にとっては耐えがたい地獄だ。
まだ、終わらない。
終わらせてたまるか。
全ての罪を清算するまで、全ての苦しみを解き放つまで。
賛同してくれた仲間がいる。その為に自ら犠牲になることを選んだ仲間がいる。
そして、復讐を完遂し人類最後の苦しみにするため。
そのために、《アルカナ》は苦しみの根源である理不尽を打倒する。
──止められるものなら、止めて見ろ。




