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目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第二章 祭りだわっしょい神遊祭!
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式神タッグバトル③

少し控室で待っていると、黒鋼が戻ってきた。



「お疲れさま。どうだった久しぶりに戦ってみて」



「正直な所、強くはなかったな。あの幻獣も本領発揮していたとは言えない。主殿がいなくても拙者一人で十分だったと思う」



 顔には出さないが、不満そうなのは分かる。



「確かにな。一応式神トーナメントだから俺が積極的に前に出たけど」



 事前に黒鋼にはできるだけ守りに徹するように言ってある。式神術師ってのは基本的に自分で戦わず式神に戦闘を任せるタイプがほとんどだ。だからことのトーナメントも最初は式神同士で戦わせるルールだった。



「退屈かもしれないが、そのうち俺一人じゃ対処できない強い奴が出てくるさ」



 実際に第一試合で噂の土御門が出て来たし。大分若かったけど、式神はヤバい。相手瞬殺だったからな。可哀そうに。



 俺と当たるとすれば決勝戦になるから、勝つためにはできるだけ力を温存して、手札も隠して臨まないといけないだろう。



 なんて戦術を考えていると、コンコンと誰かがドアを叩く音がした。



 誰だろう? 試合にはまだ時間があるはずなんだけど……。



 疑問を抱えつつ、ちょっと警戒をしてドアを開ける。



「あっ、透様! 二回戦出場おめでとうございます!」



 ドアを開けた先には、花束を持った夜鶴が立っていた。



 ……いや早いって。優勝してからにしてよ。



「ありがとう」



 これ何処に置こうかな、と考えながら花束を受け取る。



「おっ、久しぶりだな透!」



「全くだ。たまにはこっちに顔を出せ」



「透っち、お疲れっす! 試合見たっすよ。相変わらず強いっすね!」



 夜鶴の背後からぞろぞろと現れた男三人。

 親戚のおじさんのようなことを言ったガタイがいい茶髪のおっさんは陸斗(りくと)。俺の式神で土の精霊。



そして、出合頭早々に辛辣な言葉を放ったインテリスーツメガネは蒼司(そうじ)。紺碧の髪が特徴で元は龍であり、水神としての神格を持つマジモンの神だ。



それがどうして俺の式神になったのかというと、暴れたからどうにかしてと依頼が来て倒し、なんやかんやあって式神になりましたとさ



そんで最後、作業服を着た空色の髪の好青年《(しょう)(よう)》。彼は有翼族の精霊だ。



式神契約に至った経緯は、山中で怪我をしているところを俺と翡翠で助けて、その礼で式神になった。何故怪我をしていたのかは割愛。長いからね。



そして今は三日月の共鳴のマンションの清掃員と光明と同じく店員をしている。天狗だから空を飛べるので、窓も洗えるのだ。



「夜鶴は分かるが、お前ら三人は何しに来たの」



「応援だよ応援」



「見ればわかるだろう。馬鹿なのか?」



 そういう態度だから分からねえんだよ。



「蒼司さんそんなきつく言わなくてもいいんじゃないっすか?」



 翔鷹が蒼司を窘めようとした。



「フン。俺様に雑用をさせているのだ。むしろこれだけで済んでいることを感謝してほしいぐらいだがな?」



「がっはっは! 相変わらず辛辣だなお前さんは!」



 豪快に蒼司の背を叩く陸斗。うわあ痛そう。



「……そういうお前は気安過ぎだ。俺様は仮にも神なんだぞ?」



 蒼司は背を叩かれた反動でズレたメガネを指で戻した。ついでに俺の方が上だと主張してきた。



「今は同じ主の元、式神なんだからいいじゃねえか」



 だが、細かいことを気にしない陸斗の前では、そんな主張は通らなかった。



「二人とも、その辺にしてください。透様の応援に来たんでしょう?」



 俺への応援に水を差されたからか、夜鶴がちょっと不機嫌そうに言う。まあ応援しにきたのに喧嘩に発展しそうな雰囲気出されちゃたまったもんじゃないよな。



「おっとそうだったな。すまねえな夜鶴の嬢ちゃん」



 陸斗は素直に謝ったが、



「フン。この馬鹿精霊のせいだろう」



 蒼司は陸斗に責任転嫁した。だが陸斗はそんなことでは怒らない。これで落ち着いたか?



「いやあ、お二人が原因じゃないっすかね」



 と思ったら、翔鷹が余計な事言いやがった。お前……そういうとこだぞ。



「何だと?」



 ギラっと蒼司が翔鷹を睨む。せっかく沈静化に進んでいたのに。



「ひぃ!? す、すいませんっす!」



「蒼司。あまり翔鷹を怖がらせるんじゃない」



格で言えばお前が上なんだから、ちゃんとそれなりの振る舞いをしてほしいもんだが。まあ、今の俺じゃ無理か。あの姿になれればいいんだけど、今なるとトーナメントに支障が出るし。



「それと翔鷹、お前一言余計だっていつも言ってんだろ」



「き、気を付けます……」



 それもう何回目やねん。と突っ込みを入れたくなったが、そうはいかなかった。



「黒鋼直人さん、準備の方お願いしま──おわっ」



 ドアを開けた男性スタッフが呼びに来たのだ。開けたら予想以上に人がいたから驚いた様子だったよ。



「済まない。彼らは応援に駆けつけてくれた同僚だ」



「そうですか。ではこちらへ」



 すぐさま職務を思い出した男性スタッフが黒鋼と一緒に控室を後にする。



「そんじゃ、俺らも退散するとしますか。頑張れよ」



「透っち、ガンバっす!」



「客席で応援してます! バレない程度に!」



「無様な負け方は許さん。覚悟しておけ」



 と、様々な激励を頂いた。蒼司のは激励と言えるのか分からないが、取り敢えず激励として受け取っておく。



「ありがとう」



 お礼を言うと、四人は満足げに去っていった。静まり返る控室に一人佇む俺。なんだか寂しくなったが、そろそろ試合が始まる。切り替えて行こう。



 パン! と手を叩き気合を入れると、淡い光が現れ始めた。先程と同じように召喚されようとしているのだ。いいタイミングだ。



 では、行きますか。決戦の舞台へ!



 ……一回戦よりテンション上がってんなあ。やっぱ嬉しいもんだな。応援されると。



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