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目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第一章 ようこそ風魔の里へ
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討魔師として、研究者として④

風魔小太郎の屋敷に着いた俺たちは、事の顛末について風魔小太郎に伝えた。その場には風魔と風魔祐介、里の重鎮らしき人達がいたため、風祭と謎の男についても一応伝えておいた。



「そうか。この馬鹿のことは後にして、礼を言うぞ鳴神」



 風魔小太郎が祐介を一瞥すると、縮みこむ祐介。戻った後こってり絞られたようだな。



「それは置いといてだな、一つ言いたいことがある」



 依頼を受けた異能者としてではなく、鳴神透個人として。



「何だ?」



「異能庁に異能組織名簿届出してこい。いい加減加盟しないと滅ぶぞこの里」



 言いたいことが二つになったが、まあいいや。



「それはならん」



「どうしてだ」



「無論、我らに利があるのは承知している。だが奴らはそのために我らが秘奥の忍術まで、全て開示しろと言った。そのような蛮行、断じて認められん」



「あー、そういう理由だったのね」



 風魔の里にとって最重要機密を出せと言われたのか。そりゃ抵抗もするか。気持ちは分かるけど。



「だけどよ、それは異能庁の傘下に入るんだから必要な事だろ」



 向こうも、風魔の里が安全な組織である証拠が必要だ。だからこの提案自体は全うな物だし、風魔

の里に限らず異能庁に登録している異能組織は全部そうしている。風魔の里だけを特別扱いするわけ

にはいかない。



「それに悪用している訳じゃないぞ。実際、うちの会社もそうだが情報漏洩やそういう不祥事の事例はないし」



 異能庁の信頼に関わることだから、その辺は徹底的に管理されているはず。



「しかし……」



 どうやら迷っている様子。異能庁の事を信頼しきっていない感じだな。



 なら、後一手。



「それと、山で壊れた祠を見つけたんだけど」



「何だと!? それは本当か!?」



 この慌てよう……やはり。



「あれがこの異界の要だったんだな」



 問いかけるも、返ってくるのは無言。



「あれ、早く何とかしないと異界ごと消えるぞ」



「…………」



 まあ、どうしようもないわな。それが出来たなら今すぐにでも直しに行ってる。



 異界の要と言うのは、普通の人間に治せるものじゃない。世界を支えるものを、人間がどうやって作るのか。



 意地が悪いこと言っちゃったな。



「それも異能庁に加盟すれば解決するんだけどな」



 わざとらしく言うと、



「本当か!?」



 食いついた。



「異能庁には時空神がいるからな。そいつに頼めば一発だ。そのためには、異能庁に入らないと無理だぞ」



 異界の管理が時空神の仕事。それぐらい朝飯前だ。



「…………」



 答えは沈黙、か。



「すぐに決断しろとは言わないよ。だけどさっきの件で異界が脆くなってる。持って後一か月だと思

ってくれ」



 その辺の判断は俺のすることじゃない。



「それと悪いんだが、南山でこいつが勝手に木々を燃やした」



 そう言うと紅葉が一歩前に出る。



「貴重な木々を燃やして済まなかった」



「ごめんなさい」



 俺と紅葉は頭を下げる。



 これには風魔小太郎も目が点になったような様子。



「いや、謝ることはない。透も、そこのお嬢さん……精霊種の方も」



 風魔小太郎の精霊種、という言葉を聞いて側近達が愕然とする。



 てか、紅葉の事気が付いてたのか。風魔が喋ったのかもしれないけど。



「祐介が無事に戻ったのだ。多少の犠牲は当然」



「そういってもらえて助かるよ」



 なんだかんだ言って、身内には甘いな。



「何、精霊とその主に盾突くのはどう考えても分が悪いだけだ」



「そうかい」



 だが、本音で言ってる感じではないな。人がいる手前、見栄を張っているのだろう。



 しょうがない。こっちも合わせてやりますか。



「それじゃ俺はこれで。報酬は後日払ってくれればいいからなー」



 風魔の里の行く末は俺には分からん。だが無くなると報酬が出ない可能性もあるから、できれば存

続してくれると嬉しい。


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