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目立たず静かに過ごしたい!  作者: 文月灯理
第一章 ようこそ風魔の里へ
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現人神とは③

滝川さんと別れ歩くこと十分。俺は目的地であるコンクリのビルに着いた。ここが俺の本来の職場《三日月の共鳴》だ。



三日月の共鳴は四階建ての建物で、一階が俺の作っている呪具を販売している店で二階が依頼を受ける事務所となっている。三階は呪具を試す専用の訓練場みたいな場所で、四階が呪具の保管庫になっている。



今日の目的は呪具の補充なので、店の保管庫から道具を持ってきて、事務所に詳細を報告する流れだ。一応店の商品なので、勝手に持っていくわけにはいかない。在庫管理が大変になるからね。

だからまずは店舗である《三日月の共鳴》に入る。



ちなみに名前の理由は設立時のメンバーの名前を一文字ずつから取ったから。



店は一見すると文具店のような装いだが、売られているものは全部術式に関係する呪具。これを俺が一人で作っている。しかも呪具を販売しているのはこの地域ではここだけなので、顧客も多く作業量が膨大なのでホント困る。



呪具の製法は俺の異能によるものだから人員を募集しようにもできない状況にあるし。その分給料は良いんだけどね?



しかし店にいたのは店員だけ。客がいないのでとても静かだ。



「ああ、マスター。やっと来たんだね」



店員が俺のことに気づいて、駆け寄ってきた。



彼女の名は光明(こうめい)。俺の式神で、光の異能を得意とする光の精霊だ。ショートの白髪と灰色の瞳、身長が小さいのが特徴で、小学生と間違われることがよくある。



それがコンプレックスなので、普段は元気で溌溂としているが体形を指摘されると《閃光》で目潰しをした後、《光輪》で動けなくして殴ってくるという暴挙に出る。



それだけ聞くと店員には向いていないが、客相手にはそんなことはせず、ちょっと怒ったように態度を変えるだけに留まっている。ただし俺や契約した他の式神にはその限りではなく、先述よりもヤバ

イ行動にでることがある。割とクレバーでクレイジーな奴だ。



こうして見ると、意外と俺の式神クレイジーな奴多いな。まともなの翡翠と黒鋼と翔鷹ぐらいでは?



「やっと? どういうこと?」



「あれ、連絡見て来たんじゃないの?」



「俺は呪具を取りに来ただけなんだけど。……何かあった?」



「マスターにお客さんが来たって携帯に連絡したんだけど」



「まじか」



 携帯を確認すると、確かに着信履歴が残っていた。局長室に入る前にサイレントにしてから、戻す

のを忘れていた。



「すまん、気が付かなかった」



「次は気を付けてよ? 話を戻すけど、透にお客さんが来てるんだ」



「お客さん?」



「何でも自分専用の呪具が欲しいってさ」



「またか……」



 時々いるんだ。そういう奴が。何を思ったのか知らないが一点ものを欲しがる奴。



正直、依頼が舞い込んでる時に呪具製作の依頼なんざ受けたくない。疲れるだけだし。



「お客さんは事務所だよ」



「分かった、ありがとう」



 とはいえ、客は客。対応しない訳にはいかない。丁重に断らせてもらおう。


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