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独白
「不出来だ」
「君のせいで、周りの人が死んだんだ」
「やらなきゃ殺すぞ」
「お前のせいで、俺の家族が死んだんだ!」
「史上最悪の抗争の原因はこいつだ!」
「あんな子、野垂れ死んじゃえばいいのに」
「あんたなんて、死んじゃえばいいのよ!」
夢を見た。
昔の事。
消したくても消えない、過去の話。
憎悪と悲哀、殺意、悪意によって刻まれた記憶。
いつもながら寝汗がひどい。きっとうなされていたのだろう。同居人に迷惑をかけていないだろうか?
だが、忘れることはできない。してはいけない。
因果はどうあれ、事実は事実。
これを忘れることがあっては、いけない。
これは罪だ。
一生を費やしても、贖うことができない。
けれども、贖わなくては生きていけない。
例え、この罪が赦されても。
例え、この罪が無くなったとしても。
このような悲劇を、繰り返さないために。
そして、このことは決してバレてはいけない。
でないと、それどころではない。
これは、俺が俺に課した制約だ。