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朝の光景とパイを皆で

寿々ちゃんが書道教室に通うことになった。

新たな「人ならざるもの」の訪れを楽しめる懐と

多少の常識の差異には目くじらを立てずに過ごせる人、おばばこと柏原さんはお月謝として

「ランチサービスを通う日数分」

という対価を寿々ちゃんに求めた。

「習う本人が得ることができて支払える対価」が「人ならざるもの」との取引との常識らしい。

きっとおばあちゃん経由で何人かお願いしてたのだろう。

以前からこのような取り決めになっていたようだ。


とはいえ、初日に手ブラで行かせるわけにはいかないため、いつもより少々早い時間からうちの薪オーブンと火室さんにはお仕事を願ってる。

もちろん、火室さんが連れてきた子なのでこの時間外労働に関しては火室さんの責任と言うことで文句なく仕事をしてもらう。


普段はイギリス食パンとクッキーやたまにグラタンにピザ程度しか焼かないオーブンではあるが

今日は「ご挨拶のお持たせ」なので少し趣向を変える。

小麦粉の生地にバターを折り込む。

グイグイと伸ばしては畳む、伸ばしては畳むを繰り返して幾重にも重なったらば正方形に切り分ける。

オヤツにするためのものだけど私と火室さんには朝食も兼ねたいので

1/3にはシナモンの風味をつけた煮リンゴを挟み

1/3にはスパイスを効かせたひき肉を炒めたものを挟む

1/3はさらに細長く切り分けてザラメをまぶしてオーブンへ。

サクサクパリパリに焼きあがったら出来上がり。


各種を2人分はカゴに詰めておき、火室さんに寿々ちゃんへ朝ごはんの時間だと告げるように促す。

今日の日替わりスープはクラムチャウダー

どうやら「猫娘」となったらネギ類に過剰に気遣う必要はないらしく

寿々ちゃんも「そのまんまは嫌だけどスープや炒め物の中身程度なら気にしない」と言うので気遣うのはやめた。

パタパタと二階から降りてくる音が聞こえたので皿に盛り付け配膳は自分でしてもらう。


指定席に腰掛けたところでみんなでいただきます、とご挨拶。

さく、と音のするパイを楽しそうに頬張る寿々ちゃんを見ながら

まるで我が子を見守るように頬を緩める火室さんがここのところ毎日の行事になっている。

ミートパイをポロポロと口元からこぼすのを拭いたりする姿は本当に親子だ。


スティックパイとアップルパイは柏原さんと食べておいで、ともたせて出発させると

軽やかな足取りで道向こうの数件隣という好立地にある書道教室に嬉しそうに走り出す。


さあ、私たちは開店だ!

背中を見守りながら看板を出した。



〜本日のひふみのお供え〜

ミートパイ

アップルパイ

スティックパイ

クラムチャウダー

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