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珈琲と人ならざる者と人の関係

先代からの営業を含めると20年近く店を開いているため、ひふみには「古馴染み」が比較的多くいる。

おばあちゃんの代から変わりのないように、と心掛けてるイギリス食パンと

私の代から始めたワッフル

古いものと、新しいものの混在もお店を引き継いでいくことの楽しみだと思ってる。


商店街からすこーし外れた立地にあるひふみだけれど一応商店会には入っている。

商店会の会長も古馴染みの一人、そして数少ない「人ならざるものが見える人」だ。


「皐月ちゃん、また火室さんに負けたの?そして火室さんは皐月ちゃんが優しいからって甘えない!」


古今東西、九十九神に説教放つ人間ってそうそういないよなーと毎回思う。

もちろん、私の為を思っての説教なので有り難いんだけど…うん、長い。


そして、必ずお説教モードになると冷めてしまう珈琲を淹れ直すと我に返ってお説教が止むのをわかっているため

サービスタイム以外は淹れ置きをしない主義、の私は豆を挽きはじめることにする。

コリコリ、コリコリ、と音を立てるハンドミルに興味津々な寿々ちゃんに豆を挽く役目を与えてみる。

そうそう、この音が楽しかったんだよねと子供の頃を思い出す。


少し多めの豆を挽き、珈琲を淹れ直して先ずは会長さん、次に火室さんへ供する。

そして、私達「女子組」は残りの珈琲に温めたミルクを注いでカフェラテに。

それを見て「ああ、失敬失敬、折角の珈琲が勿体無かったな」と一時休戦。

やっと「会長さん」から「常連さん」の顔に戻ってくれた。


そして、寿々ちゃんの顔を見て一言

「あからさまに小学生、よく見ても中学生にしか見えないのが問題なんじゃないだろうか」

とおもむろに一言。

そう、背が低いし童顔なのだ。

人外になるにあたってそこそこの年月は生きているはず、下手すると私よりよほど長生きしてるけれど

人の目に映る姿、に「変化」するのは「精神年齢の姿」なのだ。

つまり…児童から少女の境目くらいにしか精神年齢が達してない…ということで。

人の世に居つくのであれば学校などに通わせたいのが本音である。

そこも含めて相談したかったのでちょうどよかったのが本音だ。


「幼いとはいえ学校は難しかろう。会長殿のように我等の真の姿を見てしまう人間も珍しくはないのだ。」


と、火室さんから冷静なツッコミが入る。

そこ、というかそれしか問題が無い。

しかし、常識は育てたいし人と交わることについて火室さん程度には理解してもらわないと困るわけで…と悩むと提案が入る。


「あーおばばの所の書道教室ならどうだ?」

おばば、こと柏原さんは書道教室を営まれている御高齢のご婦人だ。

彼女も「人ならざるものが見える人」で、なおかつ扱いを心得てる人だ。

彼女に触れ合わせるのは一興かもしれない。


そして、穏やかに珈琲タイムを楽しみながら今日の日が暮れ始めた。


〜今日のひふみのお供え〜

ひふみブレンド

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