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宴と縁

デバガメ集団と化した神様やら妖やら人外を一喝すると夏の日に欠かせない物をつくる。

冷凍庫にはきちんと四角く凍らせてある氷が鎮座している。

そしてもう古ぼけた氷かきを縁台に出すと今か今かと待ちわびる視線が痛いほどになり

今年の梅で作った梅シロップを出すと、早く早くと目線だけで訴えてくる。

寿々ちゃんにエプロンを持ってきてもらうようお願いすると私のエプロンだけではなく寿々ちゃん自身のエプロンも持ってきて手伝うと言ってくれた。

「どこかのデバガメ神達なんかと違って本当にえらいねぇ」

と先ほどのデバガメ達を睨みつけると平身低頭謝ってきた。


それを見ながら手伝いますよ、とシャツの袖をまくる瀬戸さんに器の用意を兄としてくれるようにお願いする。

テキパキと動く様は流石に鍛えられている。

瀬戸さんに手渡してもらった器に私が削られていく氷を入れ寿々ちゃんにシロップをかけをお願いする。

寿々ちゃんにシロップの増量を強請る神々や妖達を匙を用意しながら火室さんがたしなめる。

例年より作り手が多いはずなのに違和感なく動けている事に私が驚く。

寿々ちゃんが自然と私たちの家族になってくれた事を実感した。

そして瀬戸さんは嫌味なく自然に手伝ってくれているのだ。

兄の計略に負けるようで癪ではあるけれど悪い人でない事は認めるしかない。


一通り配り終え自分たちの分も作ると縁台に腰をかける。

隣、失礼しますねと瀬戸さんも腰をかけてふぅと一息ついている。

「驚きましたでしょ?私たち兄妹にとってはこれが普通の景色なんです。子供の頃から自分の実家の祭神や地域の小さな神さま、私達兄妹を害さない人外がこうやって遊んでくれたんです。」

そう、告げると首を横に振り瀬戸さん自身が視える事について話してくれた。

物心がつく頃から普通の人には見えてない物が見えた事

人と違う事が最初は怖かった事

学生の時に兄と親しくなって人より少し目が良いだけだと笑う兄に張っていた気が抜けた事

そう笑顔で話してくれているのを見ると多分悩まれた上で視える事を受け入れてきたんだろうなと察する事ができた。


「お付き合い、とか結婚とか正直実はピンと来てません。でもお話ししてると楽しいしこういう賑やかなのも悪くない。お嫌でなければですがお店に今度伺ってもいいですか?」


申し出に頷く私を見て微笑む瀬戸さんに夏のひまわりのような人だなと思った。


〜今日のお供え〜

トマトのカプレーゼ

バケット

梅シロップカキ氷

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