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臆病だけが大きくなって

作者: 木下風和

久しぶりに書いてしまいました。

最後の方は挫けて、文がぐちゃぐちゃです。

あぁ、無性に叫びたいって時、特に一人っきりになると多い気がする。今が、そんな叫びたいときかもしれない。

 決して私は寛大で、気配りの良い、優しい人間ではない。どちらかと言えば自分のエゴに忠実な人間かもしれない。かもしれないって言うのも、認めたくないからだけど。私は優しい人間だよって、間違ってるけどそう見てほしいなって。そうすれば控えめな私の株も上がる、きっと。

 

今日の体育は悲惨だった。

 私はどちらかと言えば運動音痴ではないタイプなのだけど、どうも運動ができる人のグループに入るのはやはり難しい。決して運動嫌いだから体育の授業がどうだって言う話ではないのだ。

 今日はバドミントンだった。だから、運動のできる人といっぱい汗を流したかった。得意じゃない人とやるより、うまい人とやり合う方が絶対に気持ちがいい。ラケットスポーツは特に。

 でも、入れてちょうだいって言うのは恥ずかしいし、怖い。ゲームはもちろん始まらない。

 もし私が出しゃばって、

 「入れてちょうだい。」

 と言ったらみんなはどういう反応を示すか。

 きっと、

 「何であんたが。」

 とか、

 「私がしたいのに、入ってくんなよ。」

 とか。とにかく非難の目が四方からあびせられるだろう。何となく視線を感じる、私が「したい」って言ったときは。そして、それはまるで後ろ指を指されるような、視線が雲の切れ目から刺す月光のように感じる。

 わがままじゃないよ。いやそうなんだけど、みんなには嫌な思いをさせないよ。

 そんな言葉を、何度何度も私は頭ん中で反芻させていた。みんなが汗を流しているのを尻目に。その姿自体がみんなの気分を害してるっていうのに。

 私の部活は陸上部だ。だから、部活は基本自分自身との戦いになるのだけどテニスやバドミントンは違う。人見知りの私にとってはそれがものすごくネックなのだ。相手がいて初めて成り立つゲーム。そして打ち合ってこそ楽しくなるスポーツ。そんなことは分かっている。

だけど情けないことに、私はその相手を見つけることができず、と言うか、一緒にやろうと言うことができず、体育の時間を丸々つぶしてしまった。あいにく体育館に作られたコートはいっぱいっぱいだったの災いした。

本でも読んだけれど、運動は一番の欲求不満の解消法だそうだ。部活は。外の雨は一時間目の体育が始まる号令の時よりも、激しくなっていた。

 

 「ねぇ、カラオケ行かない?」

 無性に歌いたくなった。とにかくムシャクシャしているのだ。無性に叫びたい。バドミントンやっときゃよかったのになぁ

だから私は友人のタエちゃんに、今日の一限にできなかった私の苦手な「お願い」をしている、服を着替えながら。更衣室の湿度の高さで私の眼鏡が少し曇っている。

 「えっ?あっ、まぁいいよ。」

 タエちゃんは身体にフィットした体操服を脱ぎながらそういった。ちょっと下品な言い方だけど、彼女の半裸の姿は女子の私の目か見ても美しい。モテこさんなだけある。従って私の身体はもちろん醜悪。胸にある二つの物体が、余計私を憂鬱にさせる。タエちゃんのを見るとよりいっそうだ。

 私はそんな彼女のあっさりとした承諾の声を聞き、

 「やったぁ。」

と思わず叫んでしまった。周りのみんなは、どうしたのナミ、って言う顔をしている。恥ずかしい。タエちゃんの顔も何処か困惑している。曇った眼鏡越しからも、雰囲気を読めるのには、人間が空気を読むのに人間の第六感を使うからなのか。明らかに空気が動いたのが分かる。おまけにタエちゃんの立場からすれば、やったぁじゃなくてゴメンだろ、かもしれないけれど。私の「お願い」は何時も唐突だから。頭は恥ずかしそうに垂れて、顔は申し訳なくする。

 とにかくOKはもらえたのだ。体育の分は放課後にお返しさせてもらうぞ、「自分」よ。タエちゃんがわざわざ付き添ってくれるのだから、私が自分の目的を話さなければ仕方がない。


 6月の教室の窓は本当に湿っぽい。なんかかっこよく、曇天とした、と言うわけでもなく、ただただ重く、暑苦しい。教室のみんなは半袖の首元をぱたぱたと団扇のように仰いでいる。私もその例外ではない。


 やっとかったるい土曜日の午前中だけの授業も終わったと、何時ものカラオケに行けばSルームで一時間待ちだった。Sルームは私の行きつけのカラオケの中で一番小さいルームサイズだ。当然ルーム数も多い。なのに1時間。

 そこで、すかさず私は多恵ちゃんの表情を確認する。彼女の顔は少し曇っている。

 「どうする。」

 私は、1時間でもかまわないよって言う一言をつばと一緒に飲み込み、彼女の「待ってもいいよ」の一言を待った。

 「ちょっと待って。」

 タエちゃんは携帯をいじりだした。電車の時間を見てるようだ。何かあるのかな。

 「ちょっと無理っぽいかな。」

 えっ。って言いそうになった。危ない。

 「そうか。なら帰ろっか。」

 私はおとなしく引く。まるで今日の一限の再現ではないか。壁の花、いや、つたに近いだろうか、どちらにしても1時間ボーッと突っ立ってた今日の体育の時間と同じ事をしている。

 かといってそれを食い止めようとはしない。頼めただけ良かったじゃん。

 さっき入ってすぐ外に出てきたのに、さっきよりも雨脚が強くなっていた。黒のアスファルトには幾つもの水たまりができている。でもその中に私の革靴は映らない。見えないに近いかもしれない。そして私もその水たまりの存在に気付いてなかった。

 あっ、と声を出したときはもう説きすでに遅し。ローファーはびしょ濡れだった。

 「何ボーッとしてるの。」

 タエちゃんが私の顔をのぞき込んできた。私の両目は濡れた靴に釘付けだ。

 「いーっや。」

 「何がよ。早くしないと余計濡れちゃう。」

私はぼんやりした頭をすくっと上げて、タエちゃんの顔を見た。すると思わずため息が出てしまった。

「ため息ばっかりじゃない、最近のナミは。」

空元気で何とかその場をしのいだ。その言葉の後すぐ、いやゴメンゴメン、と一言言っって私はタエちゃんの手を引っ張って走り出した。


 帰りの私は明らかに寡黙になっている。そりゃ当然だ。さっきまではこんなに早く帰りの電車に乗っているとは思っていなかったもの。空元気は続かないモノだ。

 「タエちゃん、私、エレキ買ってみようと思うんだ。」

 「えっ。」

 帰りの電車の中で私はそうつぶやいた。何時もの通り、突拍子もなく。

 「ナミ、アコギ一本で行くんじゃなかったの。」

 ウン、確かのそうなんだけど、

 「いやさぁ、オアシスがかっこよくってさぁ。」

 オアシスのクールさに惹かれた私。

 「でもナミ、高いよ、エレキはいろいろとね。」

 タエちゃんは容姿もさることながら、軽音部で部長兼ボーカル兼エレキをやるほど、いわゆる「カッコかわいい」女の子なのだ。私のアコギだって、彼女にもらった。

 「だから、もうちょっとアコギで基本スキルをつけてから買おうと思ってさ。きっと、ある程度のレベルになってる頃にはお金も貯まってるはずだよ。バイトもハッスルしちゃおうかなぁ。」

 「最近、ナミ、疲れ気味だから気をつけてね。ナミがしたいって言うなら止めないけど。」

 私をさりげなく気に掛ける彼女ってホントかっこいいな。何の変哲もない言葉でもタエちゃんはかっこいい。私なら「プッシーフット」になってしまう。そんでもって、何が言いたいのって。


 それから、タエちゃんが電車から降りるときにぽろっと、言葉を落とした。

 「ナミ、そんな気を重くしなくてもいいよ。みんなそんなに気にしてないから。」

 この言葉ってすごく曖昧だと思う。

 そりゃ私はタエちゃんみたいに目立たないし、綺麗じゃないし、ただただ凡庸なだけだと思うよ。かといって目立ちたいと思うわけでもないし。

 その点、タエちゃんは自然と人の目を集める。彼女が持つ何から何までが。私もそんな彼女の「光る」点に惚れ込んでいる。夜空のシリウスをみつめるようなことなのだ。

 そんなタエちゃんが、私の事は誰も見ていないからなんてちょっとひどい。

 

 卑屈になって、他責的になりながら未舗装の駅前の砂利道を歩く。雨が降っていて自転車で行くことができないときは何時も歩きになる。だから、駅の横にある操車場跡の砂利広場はちょっとした近道なのだ。

 きっと私も含めてこんな人ばかり何だと思う。

 なんかうまくいかなくて、でもやけに欲求不満だけが高ぶっていて。

 私は最近、音楽を始めた。って言ってもそんな体それた事じゃないけど、タエちゃんにギターを譲ってもらって、いつか私のこんな気持ちを言葉にして、誰かに共感してもらいsたい。どちらにしろ注目してもらいたいのかもしれない。

 だけど、タエちゃんを見ると、何で私には才能とか注目とか、持ってないのと言ってしまいたくなる。

 きっとタエちゃんも努力してるはず。そんなことは分かってる。百も承知だ。なのに近道を求めたがってる。

 今私が歩いているような道。近道だけど、砂利が大きくって歩きにくって、それでおせっかちな私はその上を歩いている。きっとこれが本当に私が歩んでいる人生そのものだろう。違うとすれば、地図上では舗装路と近道のゴールは一緒だけども、私とタエちゃんのゴールは全く違う。結局違うんだなぁ。

 

 私の毎日はただ臆病ばかりが大きくなっていっている。ある人はこういう事を、

 「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」

 って言っていた。

 その通りだと私は思う。みんな何かにおびえて、でもその何かに立ち向かいたくなる。負けたくない。誰しもがきっとそう思う。

 でもある人は気付く。

 「いちいちめんどくさいよね。」

 そう思う段階とか年齢が違うだけで人の人生って左右されると思う。タエちゃんはこれをやりたいって決めたらとことんやる。私はやらない。

 アコギからエレキに変えたいと言ったのも、ある意味私のそういうところがにじみ出ている。すごく難しいのだ、アコギは。オアシスに憧れた。だけどギタリストは皆アコギが弾ける。登竜門なんだって知っていても、とにかく彼らの曲を彼らのように弾いてみたいと思う。

 土台、しっかりしてない私には無理なのは分かっていても、無理な「近道」を通う私。見えない先が怖くって、今あるモノは燃えかすにしか見えなくて。

 

だだっ広い、砂利の広場には、濃紺の梅雨のしずくを肩に乗せた、私と雑草だけがひょこっと葉を広げていた。

 


集中力が全く持たない。

飽き性というか、4000字書くのにえらい時間が掛かった。

おまけに最後はよく分からない。

ああああああぁぁぁぁぁ~~~

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