プロローグ
またまた新作で大変申し訳ございません。
どうにかします。
1941年10月5日正午大日本帝國帝都大阪都
有色人種で欧米各国と対等に渡り合えるのが、大日本帝國である。本年で建国2601年を数え単一民族として一度も他国からの侵略を受ける事の無い歴史を有するこの国は、世界史上稀に見る経済発展を成し遂げ[東洋の大国]としての確固たる地位を手に入れた。そのような揺るぎない国力を有する大日本帝國で、全臣民が電気映像放映機の前に集まっていた。電映機から聞こえてくる声は数時間前に発生した一大事に対する国家方針を伝えていた。その発表を聞き逃さまいと、臣民は耳を澄まして電映機からの声を聞いていた。
『我が大日本帝國はアメリカ合衆国を筆頭に[枢軸国側]に対して宣戦を布告致します。』
電映機は生中継で帝國議会衆議院本会議場で発言する[女性]を映していた。女性の声は冷静にしかし凛とし、一言一言を臣民に確実に電映機から伝えていた。
『アメリカ合衆国は我が国の高雄[鎮守府]に対して[空母による航空奇襲]を仕掛けて来ました。これは我が国に対する挑戦であり、欧州のドイツ第三帝國及び[フランス共和国]そして[スペイン帝國]による電撃侵攻と連動したものと思われます。更にはソビエト連邦が友邦[神聖ロシア帝國]に侵攻を開始したのも皆様の知っての通りと存じます。我が国は今こそ立ち上がらなければなりません。アメリカ合衆国海軍による航空奇襲で、我が帝國領が直接攻撃を受けたのです。帝國議会は即時開戦を声高に叫んでおりました。アメリカ合衆国は我が帝國に直接攻撃を仕掛けて来ており、友邦の[第二神聖ローマ帝國]及びオランダ王国そしてベルギー王国更には娘とも呼べる神聖ロシア帝國に枢軸国側が一斉に侵攻して来たとあっては、我が帝國として立ち上がらない訳にはいきません。女帝陛下も「堪え難きを堪え忍び難きを忍び、以て世界の泰平を成し遂げる為に開戦を承諾する。」と仰られました。我々は今こそ世界の平和と自由を手に入れる為に、枢軸国側に勝利しようではありませんか!!』
電映機は立ち上がり力強く拍手を行う議員達を映していた。今迄の演説を聞いていた臣民も力一杯拍手をしていた。
「大日本帝國万歳!!」
「枢軸国側に正義の鉄槌を!!」
「神州に敵無し!!」
様々な声が電映機から、臣民の口から聞えて来た。
『我々はこれまで数多くの天災から乗り越えて来ました。ですが今回は明らかな人災です。アメリカ合衆国の挑戦に我々は立ち上がり、枢軸国側諸国を[次こそ]は叩き潰さなければなりません。我々はこの非道とも言える行為を許す事はありません!![台湾を忘れるな!!]この戦争は必ず勝利して終わりましょう!!』
再び拍手の音が響き渡った。この演説後タイ王国[駐留]の大日本帝國[空軍]航空隊がアメリカ合衆国領フィリピン爆撃へ出撃。神聖ロシア帝國駐留の大日本帝國陸軍空軍も神聖ロシア帝國と共同で、ソ連軍攻撃へ出撃した。[クレタ島]駐留の大日本帝國空軍航空隊は[ギリシャ王国]爆撃へ、大日本帝國海軍[地中海艦隊]も出撃準備を開始した。[カムチャッカ半島]の空軍基地からもアメリカ合衆国領アラスカ爆撃へ航空隊が出撃した。連合艦隊も壊滅した第6艦隊(高雄鎮守府)の仇を討つ為、出撃準備を開始した。大日本帝國を含め[連合国側]はどうにかして反撃に出ようと攻撃を始めた。これが世に言う[第三次世界大戦]となる。国際連盟では枢軸国側に対する、[武力制裁]を話し合う緊急安全保障理事会が開かれた。世界は別の意味で一致団結して世界平和を打ち壊したのである。1918年の[第二次世界大戦]講和条約締結から僅か23年で、世界は再び大戦の扉を開いたのである。今次大戦が何時まで続くのか誰にも分からない。しかし数多くの人々が死ぬのは誰もが分かっていた。それでも世界は戦いを欲し、各国はそれぞれの思惑・思想で戦いへ挑むのである。武士が権力を握り将軍を仰ぐ幕府を組織していた国は、世界が驚く早さで発展を遂げ国際連盟常任理事国の地位を手に入れた。そして連合国側の一員として第三次世界大戦に参戦したのである。