二学期
冒頭で登場人物紹介 No.2 青山 龍
野球:左投左打、ポジションはピッチャー。
関西では知らない者はいないと言われる程の天才投手。左腕から140kmをゆうに越えるストレートと多彩な変化球を制球良く投げ込む本格派。
外見:身長178cm、体重72kg(中学3年夏時点)
顔立ち:超絶イケメン
主人公である大河のライバル(になる予定の)キャラ。名前は大河が『虎』という事で『龍』としました。(安直だと思ってもらって構いません//)
モデルは人気野球ゲーム『パ○プロ』のライバルキャラ。(やった事ある方なら名前を出さずとも分かりますよね♪)
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【9月1日 AM7:50】
大河は学校までの通学路を全速力で走っていた。
(まさか二度寝しちまうとはな…不覚)
嶺王大付属のセレクションを受けると決めてから約3週間が過ぎた。大河これまで以上にトレーニング量を増やし、朝のランニングを新たに始めていた。
(それが今日に限っていつもより早く目が覚めたからその分早くランニングが終わって、中途半端に時間が空いたもんだから思わず寝ちまったんだよな…しかも今日に限って母さんは夜勤だから誰も起こしてくれねぇし)
「とにかく急がねぇと…!」
【AM8:10 職員室】
担任「全く、新学期早々遅刻するとは!?気合が足りんぞ、気合が!」
大河は職員室で担任教師、佐藤(熱血体育教師)の熱血説教を受けていた。
「…すいませんでした」(暑苦しくてうぜー)
【AM8:20 教室】
大河:「ハァ~、朝からどっと疲れたわ…」
?:「お疲れさん。朝から散々だったな」
「おう、『ケン』か。全く遅刻したくらいであんな盛大に説教すんなよなぁ…」
「まあな。けど、新学期の初日に遅刻するなんて、お前もなかなか大物だな(汗)」
「うるせ」
ーーーこいつは『加藤 健太』。俺とは小学生の頃からの付き合いで、リトル野球では同じチームだった。愛称は『ケン』。
ケン:「つ~か、会うの結構久し振りだよな!夏休みはお互い忙しかったぽいしなぁ。…しかしまさかお前があの《嶺王大付属》に行こうなんて無謀な事始めるとは思わなかったぜ。」
大河:「ほっとけ!そういうお前は夏休み予備校か?あ、でも野球部結構いいとこまで行ってたよなぁ」
ーーーケンはリトルからシニアには進まず中学の野球部に入部した。なんでも「野球は好きだけど、別に上を目指してるわけじゃないからな」だそうだ。ケンは頭脳派捕手としてなかなか有能な選手だ。大河は少々もったいないと感じていた。
ケン:「凄いヤツは大体シニアの方に進むし、軟式の部活の方でちょっといい結果出しても、あんま自慢にならねぇよ」
大河:「そうか?県大会ベスト4は十分凄いと思うがな」
「…それより凄いっつったら、予備校の夏期講習ってのは地獄だぜ…ほぼ1日中校舎に缶詰だからな。おかげで全然遊べなかったぜぇ…」
「まあ、俺も毎日結構トレーニングしてたし、あんま遊べんかったな…後はまあ勉強もそれなりにしたな。俺ら一応受験生だし」
「つーか、お前地味に頭もいいよな。なんでだよ?塾とかも行ってね~じゃん」
「別に、学校の授業マジメに聞いてれば十分じゃね?」
「みんながお前みたいだったら、予備校など存在していない(怒)」
「お前だって勉強出来る方じゃん。…でお前は志望校もう決めたの?」
「おう!《港南一高》一本よ!」
「なるほどね」(そりゃ、予備校にも通う訳だ。この辺じゃ一番の進学校だからな)
ーーー港南一高、正式名《港南市立第一高等学校》は進学校として知られている。かといって学業ばかりでなく部活動も盛んないわゆる“文武両道”学校である。もちろん、この地区では一番人気の学校だ。
「そういや、《結維ちゃん》も講習来てたぞ。彼女も一高狙ってんのかな?お前聞いてない?」
「お前なぁ…いくら家が近くで小さい頃からの幼なじみって言っても知ってる事と知らない事があるぞ?」
「えっ!?お前たちって『そういう関係』じゃなかったの?」
「アホか!違うわ!」
【AM11:30 帰りのホームルーム】
佐藤:「これから進路希望調査書を配るぞ。一週間以内に公立、私立それぞれの志望校を記入して提出する事!わかったな?じゃ、今日はここまで」
大河:(進路希望調査書ねぇ…私立は嶺王でいいとして、公立の方は…どうするかな?)
佐藤:「あっ、一つ言い忘れてた。水城!」
大河:「は?」
「今朝遅刻した罰だ。教室の掃除やってけ!いいな?」
「えっ、マジっすか?」 「いいな??」
「…はい(泣)」(佐藤のヤツ、マジうぜー)
【PM0:30 帰り道】
「くそ~、佐藤のヤツ~」
あんな罰が待っているとは思わなかった大河は、ぶつぶつ文句を言いながら歩いていた。
(あ~腹減った。早く帰って飯作ろ)
ーーーすると
?:「お~い、大河ぁ~」
(ん?この無駄に元気な声は……)
「よっ!」 「やっぱり結維か…」
ーーーこの騒がしいオンナが《水沢 結維。…一応幼なじみというやつだ。
結維:「今帰り?随分遅いね」
大河:「遅刻の罰だとかいって、教室の掃除一人でやらされてたからな(怒)佐藤のヤツ~」
「あんたが新学期早々遅刻したから悪いんでしょうが!」
「でもよ~、たった数分遅れただけで職員室での公開説教に加えて教室掃除とか、いくらなんでも鬼すぎるだろ?」
「まあ、確かにちょっと厳し過ぎかも……」
「お前もそう思うだろ~」
「…でも、結局悪いのは遅刻したあんたよね?」
「…鬼め」 「なんか言った、大河♪」
「…なんでもありません(汗)」
「よろしい♪」
結維とは仲の良い女友達といった関係だ。…どちらかというと俺の方が主導権を握られているな。…まあそれはいいとして
「…お前、夏休み予備校通ってたんだって?ケンから聞いたぞ」
「そ~だよ!あたし一高志望だもん。…先生からももうちょい成績上げないと苦しいって言われたからさ、頑張るのさ♪」
「お前も一高か…せいぜい頑張れよ」
「それはこっちのセリフだよ!…加藤君から聞いたよ…あんた嶺王のセレクション受けるんでしょ?」
「ケンのヤツ…他のヤツには言うなってあれほど(怒)」
「加藤君、私は知ってると思ってたみたいよ」
「………」(まあ、アイツは俺と結維の関係も勘違いしてたしな)
「まあ、それはいいとして、セレクション頑張りなさいよ!大河がチビだけど野球がうまいのはさ、アタシが一番よく知ってるんだから!」
ーーー結維は、うちの中学の野球部が女子の入部を認めていなかったため、今でこそ野球はしていないが、小学生の時は大河やケンと同じリトル野球チームに入っていた野球少女であった。当時からボーイッシュで男子顔負けの運動神経を誇っていた彼女は、当然のようにレギュラーでポジションはセカンド。ショートの大河とは練習でも試合でも一緒に二遊間を組む機会は多かった。
(…確かに、他のヤツに言われるよりかは説得力がある気がするぜ。ーーーだが!)
「チビは余計だ、チビは(怒)」(俺はコイツより背低いのがメチャコンプレックスだっつうの!)
「だって実際あんた私より小さいじゃん」
「俺の成長期はこれからなんだよ!」
ーーー
結維:「ねえ、あんたもし嶺王ダメだったらどうすんの?」
大河:「ん?…なんだ俺に落ちてほしいのか♪」
「バカ!私は…」
「冗談だよ。落ちたら普通に他の高校行くだけだろ」
「じゃ、あんたも一高受けなよ!加藤君も受けるみたいだし。あんた何故か勉強出来るから合格出来るでしょ」
「ほほう…なるほど水沢さんは私と同じ高校に通いたいという事ですな♪」
「……!」
「なんだ、図星か?」
「調子にのるな(怒)」 『ゴツン』
…結維から容赦のないげんこつを頂戴した…
【PM9:30 自主トレ後】
「ハア、ハア…今日もいい汗かいたわ」
大河はタオルで汗を拭う。…すると頭に妙な出っ張りを発見した。一瞬考え、すぐに氷解。
「昼間、結維にげんこつ食らったとこ、たんこぶできてら…」
(アイツももうちょい女っぽいところが出てくればなぁ)
ーーー贔屓目なしにみても結維は可愛いと思う。ただこういう、がさつというか男っぽい要素が強くて、男子から敬遠されぎみなんだよな。…それが良いとか言ってるヤローは結構いるみたいだけどな…
(…なんだかんだ言ってあいつも俺の事応援してくれてるみたいだしな…)
結維に食らったげんこつは痛かったが、同時になんとなく元気をもらったというか、悪い気はしていない大河であった。
「…応援してくれるヤツらの為にも頑張んなきゃな」
それからの毎日は学校生活と自主トレの繰り返しで、あっという間に日々は過ぎていった。
ケンたちも勉学に勤しむ日々を送っており、学校以外ではお互いの顔を会わせることも少なくなっていった。
ーーーそして季節は巡り、11月ーーー
大河にとって、運命の、そして野球人生の大きな分岐点となるセレクションの日を迎えた。
大河:「…さて、いっちょやってやりますか!」