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その青い世界で第一歩  作者: nono
第一異世界―門番の世界―
3/25

二話 心身ともに改造計画

誠司はがんばりました。


 朝の目覚めはすこやかなものとは言えなかった。



 昨夜は、遠足に行く小学生の如く眠れないと思ったが、意外と直ぐに眠る事ができた。世界中を旅した俺でも流石に心労が溜まっていたのだろう。

 常識外れな未知のオンパレードだったからな。


 しかし日が昇る前に、厳つい大男の怒鳴り声が目覚まし代わりに目と耳に入るのは、勘弁してほしい。


「何言ってんだ。修行は今日から始まるんだぞ。時間の無駄は許さねぇ。

 朝食に栄養満点、薬満載の粥を用意してある。それを食ったら出かけるぞ」



 食卓に用意されていたのは深皿一杯に盛られた、見た目、香り共に食欲をそそられる粥なのだが、トォーラの発言で台無しである。



「いや、薬満載って……大丈夫なんですか、それ……」


「いいからかき込め。

 薬ってのは、調合師や錬金術師に調合してもらった、マジックアイテムみたいなもんだ。

ボウズの体は戦闘用に鍛えられてない。筋肉すら貧弱なもんだ。

 別に筋肉ダルマが良いわけじゃねぇ。

俺のは戦い方にも影響するが、どちらかと言えば生まれ付きの体格や骨格によるところが大きい。ボウズには全身の筋肉を酷使し、全体の筋肉量を増加させるとともに、重たい筋肉を付け過ぎない様に調整していく。

 これから与えていく薬はそれぞれの修行に合った物が与えられ、それでいて体内バランスを整えていく役割も得ている。

 昨日も話したが、修行はキツイだろう。だがそのキツさも修行の一部だ。痛み、苦しみ、衝撃、驚愕、悲しみ等といった感情や精神、身体の辛さ(つらさ)は戦闘中では決定的な隙となる。それを鍛えるためにもキツイ修行と体調の調整は必要なんだ。

 薬の摂取はその補助としての役割が多くを占めてる」


 お粥の味は文句も出ないほど美味しいからいいけど、そう、薬薬と言われるとどうもなぁ。

 薬と名の付く物は風邪薬とかしか飲んだこと無いからなぁ。




 お粥を言われる様にかき込み、15分後にはトォーラの家から反対にある川へと来ていた。


 直ぐ近くにある海からのさざなみと、川から聞こえる水の流れる音が耳に心地よい。

 川幅は200メートル程だろうか? 水流は緩やかで、海水が川に流れ込んでいるようで海側から300メートル程度まで川べりに草木は生えて無い。地面は細かい砂なので足を取られやすそうだ。川の続く先は数10キロ程度遠くに見える山のようだ。

 少しでも朝日が昇っていれば綺麗な光景だろうが、今は暗いので不気味なだけだ。残念。



「これからしばらくは、体力と肉体を主に鍛える。他にも体の動かし方やバランス感覚等も入ってるが、そっちはおまけだ。体力と肉体を作っていく過程で勝手に鍛えられるはずだ。

 じゃ、修行開始の前にこの指輪をはめろ」


 銀色に輝くその指輪は、外にも内にも幾何学模様のような彫り込みがしてあり、右手人差し指にはめると少し大きめの指輪が小さくなりピッタリとなった。



 その瞬間、体に重圧が掛かった。


 まるで10キロぐらいの重りを背負い、内蔵に圧力が掛かっている状態になった。肺も圧迫しているのか息まで苦しくなってきた。



 トォーラが基本的に良い人なのはわかる。だが、基本的であり絶対ではない事が判明した。コイツはSだ。絶対Sだ。俺が苦しんでいるのを見て笑っているから確実だ。


「体は重いし、息まで苦しくなってきただろう? その指輪はマジックアイテムで、効き目的には呪いのアイテム、呪具(じゅぐ)に該当するもんだ。

 発動する魔法の効果は、指輪をはめている本人には外す事ができないのと、指輪をはめている間は常に体に重りを付けたり、肉体に圧力が掛かるようにする事。ついでに、体がそれに慣れると、更に効果が上昇する等といった追加効果まで発動する。

 体力を無駄に消費しないように姿勢やバランス感覚、歩きや走る時などに体力の温存方法を確立しておかないと後々キツクなるぞ」


 悪魔の様な説明を神から聞くが、できれば喋りたくない。現時点でかなり苦しいのだ。

言われた通りに今は体力の消費行動を極端に減らす事だけを考える。


 俺を見つめ嬉しそうに頷いている(トォーラ)に、目で『早くしろ』と訴えかける。


「ちゃんと理解している様だな。俺もそれだと楽でいいからな。それじゃ、さっさとヤルことにしよう……。

 さぁ、地獄の始まりだ」





 さて、これからの修行風景はダイジェストでお送りしよう。


 何故かって? それは、本当に地獄の始まりだったから詳細に語りたくないのだ。マジで。



 この日1日は、朝から夜まで所々に休憩を入れながら走り続けた。本当に走るだけで、他に訓練らしき事はしなかったが、ただただ辛かった。


 それは、コースと距離の所為だ。

 コースは川べりを上流に向かって遡り、最初は砂の粒子に足を取られ易く、徐々に細かい砂から石に変わっていき足場が不安定になり、蛇行しながら森を抜け、始め遠くに見えていた山に登りもした。往復で60キロぐらいは走った気がする。

 川べりの石が岩になる頃には疲労が溜まり、何度も転んで岩に体を打ちつけた。山の傾斜では足を滑らせ、数10メートルは坂を転がり落ちたりもした。


 指輪の呪いもジワジワと体に負担を掛けるので、10回はあった休憩と朝に食べた薬入りのお粥が無ければ初日で諦めていたかもしれない。それほど辛い走り込みだ。

 休憩の内2回ほどご飯の時間があり、キツクてご飯を食べる気が起きなかったが、それにも栄養剤とか食欲増進作用とか籠められていたのか食欲が出てきて助かった。


 夕方5時頃村に帰宅し、トォーラに言われるがまま風呂に入り食事をした。


 帰り際にトォーラから「明日は筋肉痛で辛いだろうが、しばらくは体力作りがメインになるからさっさと慣れろよー」とのお言葉を頂いた。


 早く慣れないと確かにもたないだろう。帰ったらさっさと寝てしまいたいが、マッサージだけはしておこう。




 筋トレと体力作りの修行は1年も続いた。


 体力は付いただろうがその分指輪の所為で実感はわかなかった。だが、肉体の効率的な動かし方とバランス感覚の上昇はシッカリと身に付いてきた。

 それは、走る距離と往復に掛かる時間が短縮されたので直ぐに分かった。5ヶ月目の途中から急に疲れ辛くなったので明白だ。


 その浮いた時間はコースの変更として、膝から腰までの水中を走ったり、木々や背の高い草の中を走るのに使われた。勿論勉強にも当てられる様になったが。




 2年目からは戦闘訓練も追加されるようになる。


 山への往復走り込みは約60キロぐらいの距離だが、昼飯までの時間、つまり6時間ぐらいで走れと言われた。大幅な時間短縮に目の前が暗くなったが、こなす以外の道は無い。

 これからやっとで修行らしい修行に入るのだ。今までのはその修行に入るまでの下準備だったのだから。



 しかしやる事は様々な武器での素振りに足捌き、そして動きを止め微動だにしない様にする事。


 武器での素振りはこの世界に来た初日の話を思い出し、1回1回を意識してこなした。

 剣で言えば、真上からの振り下ろし、左右袈裟斬り、左右胴斬り、左右逆袈裟斬り、真下からの振り上げ、そして突き。受け止めや受け流しも意識しておこなった。

 槍等では、突き、受け、払いに、円軌道の槍捌きや体捌き等も入れた。まずは武器を持つ事に慣れるため、この様に様々な武器の訓練をこなした。


 動きを止めるのは、実戦では攻撃が当たれば怪我をしリスクが上がるので、敵の思考の読み合いと言う膠着状態がおきたりする。緊張状態や疲労で体勢が崩れれば敵に先手を許す事になる。

 それを防ぐ為にある程度疲労が溜まった時に静止を告げられ、どんな状態でも動く許可が出るまで微動だにせず止まっておかなければいけない。


 足捌きや体捌きは避ける事に重点を置いて、トォーラの木剣を素手で避ける破目になった。これは武器による攻撃に素手で立ち向かっても避けていれば助かると教える事と、攻撃を食らっても痛みで足を止めない様にする事を教えている。


 実際は木剣だろうと武器で殴られれば斬られないだけで痛みはある。効果が期待できる様になるのも当分先だろう。


 素振りは地味な分反復動作の繰り返しなので、疲労部分は判りやすい。手の平の皮はずり剥け、筋肉は痙攣し、武器を振る毎に重みや遠心力で関節部分が悲鳴を上げる。

 素振りの間は手と木剣を布などで縛るのが日常だ。



 素振りは次の訓練に移行しても毎日それぞれ100回はやるようにと命令された。




 修行開始から20年。


 これまで、修行内容を少しずつ濃く密にしていったが、この日から新たに無手での戦闘方法と罠、遠距離攻撃ができる武器の習得が追加される。

 更に、今まで勉強をし知識だけは頭に叩き込んでいた魔術や、魔法といった物の訓練も開始される事となった。

 それに伴いこれまでの訓練密度を大幅に下げ、これらの修行をおこなえる様にスケジュールが変更された。



 遠距離武器の扱いは、武器の扱いの時には習わなかった。遠距離攻撃と言えば石や弓といった物が思い浮かぶだろうが、遠距離の中には剣や斧、盾ですら投げた時に効果的なダメージや牽制をおこなえる。


 それに、これはこのまま罠としても使える。


 罠にも沢山の種類が存在しており、一般的なのが落とし穴だ。落とし穴にもバリエーションが存在する。ただ穴を開けるだけや、鋭い突起物を敷き詰めたりする。


 トォーラの仕掛けた罠は主に俺用で、俺が仕掛けた罠は動物や魚用だ。


 ※獲物はスタッフが美味しく頂きました。俺に仕掛けられた罠はトォーラが美味しく(イジメ的な意味で)頂きました。



 魔術や魔法関連の物は知識では学んでいたが、それらを使用する為に魔力や神力といった超常的な力を引き出す必要がある。


 今回引き出す力は霊力、魔力、気の3つ。


 霊力は、魂からの力を引き出しその力をもって外界(世界)内界(肉体)に効果を及ぼすモノ。

 霊力とは個人固有の能力が備わっていて、得意な行為と不得意な行為が分かれているが、基本的な事なら訓練すればどんな術でも使う事ができる。


 だが霊力とは外界へ物理的な破壊をもたらす力はそれほど強くない。余程密度があり霊力が篭っていなければ、攻撃に特化した高位の霊能力者でも車の破壊がせいぜいだろう。

 霊力を使用するさい概念の付与が最も効果的だ。肉体に霊力を纏わせ『鉄壁』と籠めれば肉体は硬くなり、武器に『切断』と籠めれば切れ味を増し、守護結界に『拒絶』と籠めれば攻撃を防ぐ。意味を持たせた言霊(ことだま)に霊力を籠めればそれだけで効力が発揮されもする。

 そして霊力|=イコール魂の力であることから、魂や霊体や精神に対しての攻撃と、呪術や精神や霊的攻撃に対しての防御を効果的に発揮する。


 霊力のエネルギーは魂から補給されるので、使い過ぎれば魂が弱体化し、使い切ってしまえば肉体の維持ができず死んでしまう。



 魔力とは、魔術や魔法を使う為のエネルギーで、その効果は外界の法則を一時的に書き換えると言うモノ。魔術や魔法は学問であり、魔力を感知できる人ならば誰にでも使う事ができる。

 魔力は外界への干渉力が高く他のモノに変化させやすいので、火を灯すなら火が点く法則を理解し、魔法陣や呪文で世界を騙し法則を書き換える。一定時間が経過すると効果は消失するが、無理な設定や法則が少なく、自然現象に乗っ取っていれば、魔力の消費を押さえ効果も長続きする。


 これらは世界にケンカを売る行為なので、魔法を使用するさい世界からフィードバックが返ってくる。具体的には精神的な苦痛や頭痛、肉体の傷害、疲労感などを体感する。



 気とは、細胞の一つ一つから力を放出して内界を強化するモノ。気は概念といったモノをあまり付与する事はできないが、肉体の強度や素早さや攻撃力などが大幅に上昇する。この現象は着ている物や武器にも効果を発揮させる事ができる。


 気を放出したり体に留めていると肉体は強くなるが、放出量が多くなったり出し切ってしまうと体に疲労感や倦怠感を感じ、意識を失ってしまう事もある。



 これらの3つの力は元々が魂の力の派生したモノで、通常それぞれを合わすと反発して威力や効果が減少してしまうが、大本が同じなので訓練すれば掛け合わせる事もできる。その時の効果は莫大なモノになるだろう。


 3つとも総量を増大させる為に魔具で負荷を掛ける。その状態で力の感知から練り上げ、制御へと続ける。

 細かな、本当に細かな制御技術を身に付ける為、瞑想で自分の奥底を見つめ、精神の安定をはかる。瞑想で自分を見つめるなんて、修行開始初期の頃から少しずつ取り入れられてなければ、今からやっても身に付かなかっただろう。



 無手での戦い方は基本的に回避や防御が主体で、逃げたり時間稼ぎなどの生き残る技術をメインに学んでいる。




 修行開始から40年目。


 この日から実戦訓練が開始された。


 これまでに学んだ、武器、罠、超常的な能力、戦術、マジックアイテムと全てを引き出して戦う事になる。


 ちなみに、この時に呪具(指輪)や魔具を外されたのだが、世界が変わった。

 呪いの指輪が無いと体が羽の様に軽くなり、呼吸もしやすくなった。3つの能力用の負荷魔具も外され、異能力が浸透し世界を身近に感じさせる。



 だが、今までも地獄の様に感じていた修行が、ここに来て更に苛烈になった。


 "実戦"訓練と名が付いているように、本当にいついかなる時でも襲い掛かって来た。



 行き成り呪具等を外されたのでその感覚に慣れていないのにお構い無しだ。


 そして状況も、1対1から1対多数、多対多から多対1、戦闘中に第3者の乱入、夜襲、奇襲、包囲網突破、夜間戦闘、空中戦闘、水中戦闘、武器限定戦闘、10日間連続戦闘、人質救出、拠点防衛、敵陣進行、囮、麻痺、毒、感覚遮断、敵不可視、敵特殊武具装備、敵ダメージ無効、突発的に身体不具合、人型、亜人、獣人、液体生物、固体生物、気体生物、龍、ドラゴン、巨人、小人、神獣、聖獣、幻獣、魔獣、虫型、獣型、鳥型など、憶えているだけ並べてみた。



 俺、良く生きていたな…………。




 修行開始60年目。


 少し期間が延びたが、修行は終了した。

 どうやら俺があまりにも頑張っているので、トォーラも調子に乗って張り切りすぎたらしい。本当なら50年ぐらいで終わっていたらしいが、10年も延びたよ。


 張り切らなくてもいいので早く終わって欲しかったよ。


 修行を付けてくれた皆から『神の試練』終了を祝い、武具や道具、素材や換金できる物を貰う。神の祝福も授けてもらった。

 もちろん、トォーラからは始めに約束していた『どの世界でも言語が理解できる』祝福をもらった。



 もし忘れていたら、トォーラの足の小指を蹴っていたところだ。助かったな、トォーラ。





 俺は今日、また違う世界に旅立つ。


 トォーラが言うには、今回だけは既にゲートキーパーが渡る世界を選んでいるそうだ。

『そこには神々が管理している迷宮(ダンジョン)があり、その迷宮で今まで学んだ事を発揮すると共に、より力を付けてくればいいでしょう。ですが次からは、人が生きている世界にランダムで飛ばす事になるから気をつけなさい。転移の際は、私に語り掛けると門が出てくるので、その中に入れば違う世界にいます。他の世界から門をくぐるとまたこの世界に戻りますので、休息でも取ってから別の世界に行くのが良いでしょう』

 との事だ。


 ゲートキーパーは俺に過剰な親切心を向けてくれてる気がして、なんか申し訳なく思う……。しかし、遠慮はいたしません。ありがとうございます。




 皆に挨拶をし、荷物の整理を終えてからトォーラの家に向かう。


「トォーラ、入りますよ」


 トォーラとの付き合いは今では師弟や家族の様な物で、お互いに遠慮などない。家のドアにノックをすると返事を聞くまでも無く家に入る。


「おう、良く来たなボウズ。今日出発するそうだな? 準備はいいのか?」


 気楽な返事と共に、イスに座って酒を飲むトォーラがそこに居た。

 この人はいつまで経っても変わらない。そんな姿に笑みが浮かぶ。


「はい。準備万端です。トォーラに挨拶をしたら渡るつもりです。

 トォーラ、この60年、俺の修行に付き合ってくれてありがとうございました。トォーラや他の皆に学んだ事を遺憾無く発揮し、楽しんできます」


「俺もこんなに1人の人間に付きっ切りで技術を叩き込んだ事なんてねぇからな。大変だったが楽しかったぜ」


「じゃ、行ってきます」


「がんばれよ」



 お互い必要以上に喋らなかった。しかし会話が無くともお互いの笑顔を見れば、それで十分なのだ。




 もう一度家に戻り、荷物や装備を整える。


 今回行く場所は分かっているので、武具を装備していても問題ないだろう。


 白い薄手の長袖を肌着とし、その上にハイネックでベストの様な鎧を付け、脇のベルトで締める。

 肩から肘の中間までを覆う肩当と、肘から手首までを篭手で守り、グローブも着ける。グローブは掌側は滑り止め加工した皮で、手の甲側は金属だ。

 黒の長ズボンを穿き、膝上まで太ももの内側以外の前後左右を、内部にバンドを通した腰鎧で腰と太ももを固定する。

 靴は(すね)と膝まで金属が付いている物を履いている。


 金属が覆われていない所は皮で補強してる場所もある。この鎧等は、関節部分や駆動部、体を動かした時に干渉する所を全て音や違和感を出さずに仕上げている。これこそ至高の一品だ。



 武器は大抵扱う事ができるが、特に使いやすいと思った剣をメインに使って行こうと思う。

 刃渡りが1メートル以上ある、片刃で、先端付近は両刃の大剣が1つ。右の肩越しから背中に通す。

 少し長めの片手剣を2つ。左右の腰から背中を通り途中でクロスする様に差す。

 後は、ベルトを左肩から掛け右腰に、そのベルトに投げナイフを10本差す。


 これらの武具のうちナイフ以外は、神々が戦争していた時代に活躍した妖精とドワーフの鍛冶師が作り上げた品だ。この世界に来てからも様々な研究と作成に力を入れている。俺の鍛冶の師匠達でもある。


 これらは卒業祝いにプレゼントしてくれた物で、ダメな武具だと鍛冶師として耐えられないし、良い武具だと本人の為にはならない、との考えで作られたのが"生きている"武具だ。この武器作成の為長い時間と、儀式、術式、貴重な素材、俺の血や霊力、魔力、気を注ぎ込み続けできた物だ。


 この武具は俺の分身と言ってもいい物で、俺の力量が上昇すると他の武具を吸収し、強度、切れ味、能力、概念を取り込む正しく(まさしく)神々の武具と名付けても文句は出ないだろう。


 大剣の名前は『ネージュ』。

 片手剣の右は『カンティー』、左は『ノール』。

 鎧一式で1つの名前で『アトレス』。



 武具を着込んだ上にフード付きのダークグリーンのマントを羽織る。左腰に換金用の宝石が入れてあるこぶし大の巾着袋。他に荷物はダッフルバッグ1つしか無いが、その中は一辺が10メートルの立方体ぐらい物が入るらしいから全部入れている。


 門は何処でも開ける事ができるらしいが、俺は始めてきた時の崖へ向かう。





 季節はあの時と同じなので、目を瞑ると思い浮かぶあの時の風景と今が重なる。


 来た時に見た青い世界から、今度は出発する。


 2回目のおかげなのか、修行で得たおかげなのか分からないが、今凄く落ち着いている。



「ゲートキーパー。お願い」



 俺の言葉が終わると同時に、2メートル程度の真っ白な門が現れた。


 装飾などは一切無く、扉に取っ手が付いているだけだ。


 取っ手を引くと音も無く扉は開いたが、青く水面が波打つ様な膜があって反対側が見えない。


 しかし俺は躊躇しなかった。



 その膜に向け一歩を踏み出した。



説明ばかりでダレてくる頃でしょうか?

申し訳ありません。今回の話で色々飛ばしたりしていますが、これは最初からこうする予定でした。

第一異世界はさっさと飛ばし、次の異世界をシッカリ書く予定です。


さて、がんばるか。

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