十九話 暑いのはお嫌い
パーティ結成から1日経ったが、『砂漠』エリアの暑さ所為で進行速度が牛歩の様に遅く、まだ36階層にいる。
迷宮内は時間が止まっているが如く変化しない。昼潜ろうが夜潜ろうが日がさすエリアは不変に在る。
暑い上に砂には足を取られ魔物は地中に潜む。嫌われエリアの1つだ。
新"狩人"パーティは、非力な後衛の女の子が多いパーティだ。探索時間は少なくなり疲労が溜まりやすい。
その中でもフィービーはかなり辛そうだ。いつもの無表情がわずかに苦痛で崩れ、玉の様な大粒の汗を流し疲労感を滲ませている。
「フィービー大丈夫? 休憩しようか?」
同じ様に辛いはずのメリンダもフィービーの様子に心配している。
フィービーは黒ずくめだから、熱を吸収しているのかな。
「……大……丈夫。……何時もの、事」
いや、全然大丈夫そうに見えないよ。今までどうしていたんだ?
「ちょっと、キャメル。
フィービーっていつもこんな感じ?」
小声でキャメルに話しかけると、キャメルは気の毒そうにうなずいた。
「フィービーって熱いのが苦手なんだって。
わたしの所為で『砂漠』エリアを2回も体験させる事になって申し訳ないんだ……」
罪悪感に苛まれる姿を覗かせるキャメルと、息も絶え絶えなフィービーを見ると何とかしたくなる。
そして、丁度良い事に、俺にはそれを解消出来る手段がある。
「ねぇ、フィービー。
俺の魔術――秘術や錬金術を使って熱気や冷気を軽減させる物でも作ろ――」
「大好き。愛してる」
ちょ、速いよ。素早いよ。しかも、発言内容がおかしすぎない?
あぁ、皆の視線も獲物を狩る視線だし……。
最後まで言い切る前にフィービーは俺に抱き付き言葉を遮った。
他の皆も行動に移してはいないが、危ない目つきになっている。
「セージ、分かっているな。
お前の答えに全てが掛かっている。もし嫌だと言うものなら……」
いや、最後まで言い切って下さい。
「エルマ、何を言っているのですか」
メリンダは流石神官なだけある。エルマをさとs――
「セージさんが私たちを苦しめるわけないですよ。
もしその様な人なら神のさばk……んんっ――神は皆の事を見ているのですよ。大丈夫です」
前言撤回! メリンダも危険だ!
「そうそう。仲間の為なんだもん。セージなら快く引き受けるよ、ね!!
――――作らなかったら二度と、メザメナイヨ」
……フィービーが危険な言葉をほとばっしったかと思えば、あの子が1番の安牌だったとは……。
「あー、うん。勿論皆の分も作るつもりだったよ」
本当の事を言ったのに、何故か白々しくなったのだが、どうしてだろう?
抱き付くフィービーを引き剥がした直後に、猛特急でトイボックスに連れ去られた。
それにしても、必死になる理由が攻撃や防御の強化ではなく、暑さ対策だなんて……なんともホノボノとしているよ。
「え~と、有無を言わさず連れてこられたけど、材料が無いから直ぐには作れないよ」
「何が必要なのだ? 早急に揃えよう」
俺の部屋にある道具、素材、器具を見回し「お~」やら「すごい」などと歓喜の声を上げていた皆は、直ぐにこちらに注目しだした。
5人が集まるとちょっと手狭だ。
とりあえずベットと椅子に分かれて座ってもらう。
「俺が作るのは服だね。
これを見て――」
俺はどんな物か教える為にアトレスを脱ぎ、下に着ていた服を見せた。
「この着ているのが、耐熱耐冷処置魔法具の服だね」
誰も動く事はないが、眼を見開いて凝視している。
見た目はただの服だからどんなに探っても違和感はわからないよ。
「用意する物は布。必要なのは皆の体格や体型を測る事。
布は見て分かる様に普通の品で良いけど、肌着みたいな物だから肌触りの良い物を買ってくれ。
体格を測るのは、フリーサイズだと戦闘時に邪魔になるから、出来るだけ体にピッタリと合う物を作りたいんだ。恥ずかしいだろうけど、我慢してくれ」
「布は問題ない。直ぐに用意しよう。
しかし、恥ずかしいとはなんだ?」
「そうだよ。
体型知られても別に何とも思わないよ? それに、セージがちゃんと戦闘の事も考えてるって分かって安心したし」
本気で言っているのか?
エルマやキャメルはそう言うが、メリンダとフィービーは……?
2人の様子を窺えば、2人とも首を傾げている。
……風呂で異性に裸を見せるのはまだ良い。風呂では裸になるからな。でも、体型を知られるのは良いのか?
もし年齢を聞きでもしたら、魔法衣の話が出た時より酷い事になりそうなのに……。年齢と体型の差は何なんだ?
「――まぁ、皆がそれで良いのなら俺も構わないのだが……。
じゃあ布を買って来てくれる? 予備として1人2枚作るつもりだから、多めにお願い。
それと、メリンダ、フィービー、キャメルの3人は自分の部屋に帰って着替えてきてくれ。今3人が着ている防具もついでに強化する。布と一緒に持って来て」
俺の言葉を聞き終わったら返事もせずに出て行ってしまった。
……1人は寂しくもあったが、気楽だった。……今は楽しいが、気疲れしそうだよ。
…………これって贅沢な悩みかな?
俺のささやかな疑問も、皆が帰ってくる前に準備をしておかないと、酷い目に遭って疑問が悲惨な解答に変わりそうだ。
俺が用意する物は裁縫道具と魔術行使用触媒。後は金属だ。
帰って来た者から順番に体格と体型を測り、今日の所は帰ってもらう。
かなり渋っていたが、布の裁断から入るので時間が掛かる。我慢してもらおう。
今更だが、俺の使っている道具へ付与する魔術は、アスカラドで錬金術や秘術、魔具作成術と言われる分類に入るらしい。
魔法は、世界の道理を欺き誤認させる。どちらかと言えば文芸学の領域だ。
そして魔術は、世界の法則を探求しすり替える。数学や科学の様な物だ。
俺はそう教わったのだが、この世界では魔術を更に細分化している……のか、大雑把にしているのかのどちらかだ。
実際、俺の習った錬金術と、この世界の錬金術は大まかには一緒だが細部は違う。その違いに困る事はないが、俺には変に細かく分類されている様に思えて面倒くさい。
それはさておき、今日の作業に集中する。
まず明日必要になる防具の強化用素材、金属の変質を行う。
服に加工を加えるのだが、その方法はある意味簡単だ。服全体を"糸"で刺繍の様に縫っていくのだ。ただし、"糸"はただの糸ではない。金属を"糸"に変質させるのだ。
軟化剤と言う液体触媒に金属を漬け込み、軟化剤を金属に浸透させる。こうする事で硬いはずの金属が粘土みたいに柔らかくなる。
しかし、重さは変わらないので使うのは軽金属。それと汗などの塩分に触れてもサビ難い物が良い。
幾つかの候補の中から"デルアミア"と言うレアメタルを使う事にする。こいつは鉄の3分の2程度しか強度がない。だが、重さが鉄の半分以下だし、水分や塩分にきわめて強いのだ。
今の所、これが最高峰の素材だ。
エルマ以外の3人は鎧を着ていない。確かにただの服とは違って多少なりとも防御力はあるが、やはり布と言うのがネックになる。『防御』などの術式が付与されていてもだ。
これがまだ皮製なら話も違うが、狙った様に欲しい物がドロップされる確率は低い。買うにしても上等な物は高くなる。
だが俺なら色々手を加える事が出来るので、これで防御の面は心配が薄れると思う。
手早く金属を触媒に放り込み、明日の作業時まで放置だ。
続けて服の作成だ。
俺の服ではないので、イメージを掴むのと正確さを期す為に簡単なスケッチから始める。
――あくまでイメージだ。完璧でなくていい。……大体……そこそこ似ていれば…………うん、正直に話そう。俺は絵が苦手だ。どんなに頑張っても猫の顔が変形人面饅頭に見えるぐらいおかしな物になる。
模写なら意外にいけるが、1から描くとなるとどうにも上手くいかない。
これにはトォーラもお手上げだと言ったぐらいだ。――察してくれ。
そんなイメージ画を描き、納得した所で型紙に展開図として移す。
後は型紙に沿って布を切り、俺のを作った時の様に仕上げて行くだけだ。
4人分を2着ずつなので計8着にもなる。縫い合わせが全部出来たらキリの良い時間になった。
残りは明日だな。
翌日、朝食を食べ終わった頃にフィービーが様子を見に来た。
「出来た?」
期待で胸を膨らませ体をウズウズと揺らせながら聞いてきた。
今日のフィービーは戦闘時に着用している黒ずくめとは違い、数色の明るい色に染めたボーダ柄のチュニックを着て、紺色のフリルがあしらわれたスカートをはいた、女の子女の子した服装だ。
ギャップが違い過ぎて最初は気付かなかったよ。
「おはよう。
全員のを同時進行で作っているから、後2.3時間ぐらいで出来ると思う。
どうする? 出来るまで待つ?」
「待つ」
それだけ言うと椅子に座り作業台を眺めだした。
服装は可愛いが、素っ気無さは健在だな。
作業中に皆が集まったが、邪魔をせずにそれぞれがくつろぎ観察してくる。
ちょっとは気になるが、静かにしていてくれるので助かる。
昨日の続きから始める。
付与に関してだが、俺の時より良い素材や魔石があるので、ズボンが無くとも服だけで全身をまかなう品が出来そうだ。
以前と同じ様に裏地に魔法陣などを描き、耐熱耐冷効果を付与する。
肌着なので凝った作りにはしていない。皆が買って来た布自体も柄の無いシンプルな物だ。
2時間もすれば全ての作業が終了した。
「はい、出来たよ。
これがフィービーの」
「ありがとう。
お礼は何時か必ずする」
この時、彼女はほんの微かに微笑んだ。それも直ぐに消えたので、勘違いかと思ったほどだ。
フィービーのは黒一色なので、今着ている服との差異が目立つ。
彼女はセンスが無い訳ではないが、戦闘面では無駄をはぶきたいのかな?
「これはメリンダの」
「セージさんから貰う物は凄い物ばかりです。
ありがとうございます」
メリンダのは紺色だ。
少しおとなしすぎる気もするが、気にしていないみたいだ。
「次はキャメルのだね」
「これがそうなんだ~。
ありがとね!」
キャメルは皆と違い、明るいピンク色の物を買って来た。
こういうのを見ると性格の違いが分かる気がするよ。
「最後がエルマのだ」
「感謝する。
これで迷宮探索が更に励めるな」
エルマの物は、彼女のスタイルが良過ぎて作成に手間取ったが、白の清楚な感じの物が出来上がった。
皆心から喜んでくれている。俺も皆の笑顔を見ていると嬉しく感じるよ。
「さて、次は防具の方だけど、これも少々時間が掛かる。
夕方までには仕上げるから後で持って行くよ」
「それにはおよばん。
作ってくれるのはセージなのだ。私たちが取りに来るぞ」
「そうですよ。
セージさんは作ってくれるのですから、取りに来ます」
「分かった。
それじゃ、夕食前に来てくれ」
次は防具の強化をする為、昨日から浸けていた軽金属を取り出した。
今のままではただの塊に過ぎないから、細く伸ばす必要がある、
本当ならこの軽金属を熔解させて針金状にし、軟化剤に浸けて弾力性を維持するのだが、手っ取り早く済ませる為に魔術で加工する。
何10メートルもの長さに成った"糸"の束が幾つも出来た。
その"糸"を防具へチマチマと編んでいく。
出来れば防具にも色々な術式を刻みたいが、防具には既に別の術式付与が施されている。新しい効果を付与すれば干渉しあって術式効果の軽減や消失を起こす原因になってしまう。
その為、"糸"で防具を切り裂かれない様に覆うしかないのだ。
針仕事は手間だし、時間が掛かるが、それでもコツコツと編み全てを仕上げた。
皆は時間通りの夕食前に集まってくれた。
その中にはエルマもいたのだが、どんな防具が出来たか見に来たのだろう。
「度々来てもらってごめんよ。
それじゃ受け取って」
皆に渡すと、それぞれが触ったり上下に動かし重さを確かめたりと感触を探っている。
「防具に施したのは、金属の"糸"を縫い込む事で防御力を上げた。
鉄を細くすると折れやすくなるし切断されやすくなるなるけど、軟化剤と言う物で金属を柔らかくして弾性や引っ張り強度を上げている。だから防具の強度はかなり上昇しているはず。
その分、少しだけ重たくなったけど、強化したかいはあると思うよ」
「――確かに少し重たく感じますけど、手触りはほとんど変わらないですね。
魔法に対しての防御力は変わらないのですか?」
「魔法攻撃を防ぐ事は出来ないと思う。
でも、防具の表面に金属が有るから、体内に電気が向かわず表面をなぞる様に進み、地面に流れると思う。だから電気系の魔法を軽減ぐらいは出来るかも。他には物理的な干渉力を持った氷とか土の塊だとかは金属が防ぐ役割を果たすはず。
まぁ、元々魔法防御が施されていたから術式を刻めなかったんだけどね」
メリンダは納得したのか何度も頷いている。
職業用の装備を身に纏わなければ、そこそこ良い物を装備出来るのだが、その分職業補正される能力上昇の恩恵が得られないからな……。
フィービーなんかは全身が職業補正される装備をしているので、能力上昇値が高いだろう。確か『魔法使い』は、攻撃魔法の威力増大だったかな?
「フィービーとキャメルは質問ない?」
「問題ない」
「大丈夫だよ。
一家に1人いて欲しい人間第1位は、セージだね」
「はいはい、ありがとう。
明日の予定は、性能試験を兼ねた探索で良いよね」
「そうだな。
みんな、明日はいつも通りの時間で」
翌日、ギルド内のクエストボード近くのテーブルで合流し、『砂漠』エリアにあるオアシスの水を持ち帰るクエストを受注した。
その水は素材として使えるらしく、言い値段になるらしい。嵩張るし見つけるのが大変だが、俺1人で探索する訳ではないからな。きちんと皆に付き合わなければ。
テレポーターで35階層に降りエリア内に侵入した時、皆の盛大な歓声が響き渡った。
「鎧を身に付けているのに如何程も暑くないな。
凄いぞセージ」
「ホントにビックリ!
これなら何時までも潜っていられるね!」
「まさかこのエリアにいる事でこんなにも嬉しく思うなんて……」
「セージ、感謝」
「どういたしまして。
でも、ハシャギ過ぎないでくれよ」
余程嬉しいのか、ワイワイと騒ぎながら歩き難さを物ともせずに進んで行く。
フィービーなんかは、スカートをひるがえす勢いで軽快に動いている。本当に体が浮きそうなぐらい軽やかだ。
昨日到達した36階層の場所へ辿り着く間に幾度もの戦闘をこなしたが、昨日までと違い皆活き活きとしている。
その勢いは緩まる事無く37階層に下りた。
「ギルドで購入した地図では、この階層にオアシスがある。
そこで休憩と共に水を回収するぞ」
「了解」
『砂漠』エリアは見通しが良くない。更に暑いし魔物は下から飛び出してくる。エリア内で休憩したくない場所ナンバーワンだ。
それでもオアシスがある場所は、多少涼しいし地盤が固いので休むのには丁度良い。
エルマはギルドで買った地図を見ながら、俺の後ろで方向を指示する。
2つの部屋をまたぎ、40もの砂丘を越えただろうか? ようやくオアシスに到着した。
「魔物避けの結界を敷くから、その間に休憩の準備をしておいて」
俺はひとまず結界を張る事から始めた。エルマは周囲の警戒、メリンダは地面をならし敷物を敷き、フィービーとキャメルが水を汲んでいる。
それぞれが自分の仕事を終えてから、やっとで食事になった。
「今日はウキウキしちゃって、つい料理を沢山作っちゃいました。
みなさんなもいかがですか?」
メリンダが言葉と共に取り出したのは、大量の料理だった。
敷物の中央に1人では食べきれないほどの料理が、これでもかと並べられている。
色々な具材を挟んだサンドウィッチに、トマトたっぷりの冷やしスープパスタ、ナスとズッキーニのパイ、チーズ各種盛り合わせ、旬野菜のサラダと種類豊富な料理の数々だ。
それぞれが数人分確保されていて、メリンダがどれだけはしゃいでいたか目に浮かぶようだ。
メリンダの料理は見た目凝っているが、味の方は素朴な感じで食べやすかった。その料理を肴に会話を弾ませ一時の休息を満喫した。
しばらく何気ない話で会話を弾ませていたら、キャメルから質問された。
「そう言えばセージって、『全てに至る道』って言う職業に転職したんだよね。職業固有能力やスキルはどんなのだった?
わたしなんて『魔道士』だから、今の所は15メートル以内の人にエンチャント効果を与えるのと、『術式理解』で魔法の構成を把握しやすくなるぐらいなんだから。早く新しいスキルを獲得したいよ~……」
『魔道士』は完璧に後方支援型補助魔法使いの職業だからな。目に見えて効果が分かるスキルは中々手に入らないだろう。
「俺はまだ獲得していないね」
「え? セージさんはまだなのですか?
レベル10になれば表示されるようになるはずですが……」
そうなの? ステータスは殆ど見ないから分からなかった……。
「ステータス表示」
表示を見ると確かに職業能力が追加されていた。
内容は――
「『全てに至る道』は、それ専用のスキルを習得する事はない。その代わりに今習得しているスキルを合成出来る、だって」
「それは面白そうだな。
必要なスキルを使う度に選択する手間が減るぞ」
「リスクがあるはず」
「確かにありそうだ」
エルマとフィービーの言う通りだ。リスクも表記されている。
「リスクは、合成すると前のスキルは消えるのと、合成させるスキル同士の相性が悪ければ合成に失敗し、スキルも消失するみたいだ。
ワンアクションでアクティブスキルの数々が発動出来る様になり、パラメータも上昇率が上がる代わりのリスクだと思えば良い感じじゃないかな?」
よっぽど変な組み合わせをしなければ失敗しそうにないから良い能力だと思う。
「直ぐに出来る事でもないし、時間を見付けながら気長に合成していくよ」
「そうした方が良いだろうな。
焦って決める事でもない」
スキル合成は一先ず後回しだ。
休息を終えて探索を開始したが、皆の気力は衰える事無く、むしろ充実している様にも思える。
戦闘時間が短くなり迷宮に篭っていられる時間も伸びたので、この日は38階層の入り口まで進めた。
出来れば38階層と39階層を攻略してテレポーターで帰りたいが、皆のテンションが高くてペース配分が少々乱れていたので、今日の所は帰還する事になった。
鑑定所でオアシスの水と魔物の素材を鑑定してもらい、クエスト達成と素材売却のお金を受け取り、皆で均等に分けた。
祝福品は換金しない。祝福品は基本的にその個人に対して出現するので、他人に渡しても価値がない物が多い。それでも、職業に合った物が出現するかは運しだいだけどね。
"狩人"パーティでは、祝福品はそれぞれの持ち物として扱うと契約もしている。
だから、換金物は魔物の素材とクエストの品だけになる。
今回の報酬は約8000ソルだ。『砂漠』エリアに行く探索者は少ないので、クエストの達成報酬はそこそこの金額になっている。
金の無い探索者が急にお金が入用になった時にはよく利用しているらしい。
よくある話だ。
皆と別れた後はシッカリと食事を取り、さっそくスキルの合成を試してみた。
ジックリ考えると皆に言ったが、全く試さないと言う事は出来ない。とりあえず一度は使って見ない事にはどんな物か把握出来ないからな。
合成するスキルは感覚系にしよう。よく発動させているし、能力値が上昇したら戦闘に役立つ。それに戦闘以外でも感覚系は使える。
合成するのは『生命力探知』『気配察知』『殺気感知』『気流察知』『敵感知』『熱感知』『罠感知』の、これらを一纏めにして『探索術』のスキルに合成出来た。
他にも『気配鋭敏』『臭覚鋭敏』『聴覚鋭敏』『千里眼』『遠見』『暗視』『嘘看破』『嘘感知』『真実察知』『直感』で『超感覚』のスキルになった。
パッシブスキルとアクティブスキルが混在となったおかげで、オフの時もある程度察知でき、オンにすればより精度が上がった。
これは嬉しい悲鳴だ。こんな効果は記載されていなかったのでビックリだ。
とりあえずはこんな所で良いだろう。
さて、明日こそは『砂漠』エリアを突破したいな。
パーティとして本格的に活動する前に、ちょいと補足を入れる事にしました。
仲間の性格を上手く描写出来ないですけど、頑張りたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。
追伸。
しょうもないまめ知識~。
俺が食事のシーンや料理のシーンを書いている時は――――お腹が空いている時だ!
追伸の追伸。
諸事情により次回更新は一回分空いて、十日後になると思います。
ご了承下さい。




