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行ってきます、しばらく戻ることはないでしょう
また依頼?
「そう」
次はどこ?
「わたしの力が必要なところかな」
師匠が頼られてるのは知ってるよ。
だって、この地域で一番有名な冒険者だから。
「わたしって、すごいでしょ」
うん、誰よりもすごいよ。
それで、次はどこの街?またギルド指定のモンスター?
「そうだね」
誤魔化さないでよ。
「あんたにはまだ早いよ」
いたっ。デコピンは無いよ。
というか、なんで教えてくれないのさ。
「わたしの力が通じないところだからね」
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それからなんだかんだで誤魔化されて師匠はどこかへ行ってしまった。
一晩では戻らなかった。
半月経って、一ヶ月経って、三ヶ月が経っても、半年が経っても。
家から自分以外の生活の跡が無くなった頃には、俺はようやく悟った。
師匠は家に帰ってこないのだと。
師匠が依頼で外に出た時から、丸五年が経過した。
師匠の声と甘い花の匂いは、もうはっきりとは思い出せなくなっていた。
だから、
「いってきます」
俺は、師匠を探す旅に出る。
建付けが悪くなった木造のドアを背に、俺は旅に出た。
初の作品となりますが、どうぞよろしくお願いします。




