放課後の黒板
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この小説はAIが書いたものを私が加筆修正したものです。
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人の子居らぬ、放課後の教室は、昼間よりもずっと広く感じられる。
机と椅子が整然と並んでいるだけなのに、人の気配が消えると、そこに残るのは音よりも静けさだった。
私は日直の仕事なので、黒板を消し始めた。しかし、私の手はすぐ止まった。
黒板の右端の方に、白チョークで奇妙な言葉が書かれていることに気付いたからだ。
「ちゃんとやれてるのかな」
授業の板書の流れには合わない、独り言のような言葉。
誰に向けたものでもないのに、なぜか目を逸らせなかった。
消してはいけない気がした。誰かの伝えたいを、消しては。でも、日直の仕事だから、明日まで残っていたら邪魔だから消さなきゃ。
そう自分に言い聞かせ、黒板けしをシャッシャッと動かし、石灰石の声を掻き消した。
すると、胸の奥が少しだけ重くなって、ざわざわし始めた。
いたたまれない気分になった私は、まるで人殺でもしてしまったかのような気持ちで教室を後にした。カバンを握る手は震えていた。
翌日から、1つの席が空きがちになった。その席の主は明るくて、よく手を挙げる女子だった。登校した日は、一見いつも通りに見えたけど、でも、目の奥は前より鈍色であるように思えた。
理由を知っている人はいない。知ろうとする人もほとんどいなかった。学校は、そういう場所だ。私自身がそれを一番理解している。
私は、放課後になると黒板を見るようになった。また、何か残されているかもしれないから。
三日目、同じ場所に、前と同じように文字が書かれていた。
「わからない」
すぐに彼女が書いたものだと確信した。今日、彼女は学校に来ていた。
消されずに残っているということは、彼女がまだ、ここを見ているということだと思った。
私はチョークを取った。返事を書く資格があるのか分からなかったけれど、何も書かないまま去ることも出来なかった。
「わからなくても、ここにいる」
それだけ書いて、私は急いで教室を出た。振り返る勇気はなかった。
けれども、それは前の様に、罪悪感によるものではないと思う。
その日から、その人は以前と同じように登校するようになった。
ある日の、放課後。教室に残っていたのは私たち二人だけだった。黒板の前で立ち止まる背中を、私は何も言わずに見ていた。
「……もう、いいかな」
独り言のようにそう言って、その人は黒板消しを動かした。
白い文字が、ゆっくりと消えていく。
私はうなずいた。それ以上、言葉を足す必要はなかった。
翌日、黒板には何も残っていなかった。
いつも通りの教室。いつも通りの放課後。
それでも私は知っている。
消えた言葉が、なかったことになったわけじゃないということを。
私以外、誰にも気づかれなくても、確かにここにあった時間が、静かに残っている。
私は何も書かれていない黒板を見て、少しだけ長く、そこに立ち止まった。
遠くの運動部の掛け声の中、下校時間を知らせるチャイムが茜色の教室に鳴り響く。それを合図に静かにカバンを持ち上げた。




