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万能勇者、敗北。そして二度目の人生は最弱から   作者: 虚無しお
第1部5章:最後まで、共に行こう
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【第37話】やったぞ、カイル!


 時は少し戻る。砂漠の洞窟へ向かう直前の夜。

リズの宿の一室で、カイルとレイが肩を並べて座っていた。


「なあ、あの魔王──コピーするらしいんだ」


「ほう?」


「相手の戦い方を見て、吸収して、それを自分のものにする……前に、似た相手と戦ったことがあるんだ」


「つまり……?」


「先に倒せばいいってことだ。コピーされる前にな」


「先手必勝か」


「そういうこと」


「……その情報、信用できるのか?」


「自分のことが信用できないか?」


「──お前の言うことなら、信じるよ」


* * *


 迷宮の最奥。

 玉座に座る人形の魔王が、こちらを無感情な目で見下ろしている。

 その隣に立つのは、黒髪の、そしてユイに瓜二つの顔をした側近だった。


 レイが静かに一歩、前に出る。


「──俺がやる。手を出すな」


「みんな、動かないで」

 ユイがぴしゃりと告げる。

 

 場の空気が張り詰めた。

 次の瞬間、レイの姿がかき消えた。

 風が逆巻き、閃光が走る。

 

 魔王の剣が振り下ろされる前に、レイの蹴りがその腕をへし折った。

 反撃の魔法が撃たれるより早く、無数の氷柱が心臓部を貫く。

 そして──


「──行くぞ」


 瞬間、風が裂ける音。

 魔王が反応する間もなく、レイの一撃がその首を断ち切った。

 ゴトリ、と音を立てて首が転がる。


「──やったぞ、カイル!」

 レイが振り返って叫ぶ。


「そんな……苦労して……作ったのに……」

ユイに似た側近が声を漏らす


 だが──

 その瞬間、カイルの身体が黒い靄に包まれた。


「え……?」


 それがカイルの最期の声だった。

 次の瞬間、カイルの膝が崩れ落ちる。


 瞳はすでに閉じられていた。

 

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