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万能勇者、敗北。そして二度目の人生は最弱から   作者: 虚無しお
第1部5章:最後まで、共に行こう
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【第36話】バラしゃいいんだよ、バラしゃ! 


 時は戻ってぼんずの城にて

 部屋の隅で、ユイは一人、タケル王と並んで腰を下ろしていた。


「おめえな、あのカイルって坊主のこと、好きだろ?」


 唐突なタケル王の問いかけに、ユイはぴんと背筋を伸ばした。


「はいっ!」


 即答だった。


「わっはっは、素直なのはいいことだぞ嬢ちゃん!」


 タケル王はどっかんと大笑いした。


「こういうのはな、タイミングが大事なんだよ」


「タイミング、ですか?」


「そうだよ。たとえば旅が終わる前とか、強力な敵を倒す前とかよ。無事に帰ってこられるか分からねえって時にな――」


「ふんふん」


 ユイは真剣な表情で聞いている。


「……告っちまうんだよ!」


「ほ、ほう……!」


「そうだ、あとついでに秘密もバラすといいぞ。誰にも言ってない、ちょっと言いにくいこととかよお!」


「……バラしても、本当にいいのでしょうか」


「おーおー、よいよい!バラしゃいいんだよ、バラしゃ!!」


* * *


「実はカイルを弱くしたの、私なんです」


「はあ!?」


 唐突すぎる言葉に、カイルが声を上げる。


「私は――魔王の迷宮の管理者でして……」


「おいちょっと待て……!」


「三千年ぶりくらいにやっと人間が来たと思ったら、人形にすぐやられちゃって……」


「何の目的があって……?」


「暇だったので、つい」


「暇……だと……?」



「で、なぜお前までこっちに来た……」


「弱い人間に作り替える必要があったので。能力の一部をこちらに持ってきました。最初にいきなりモンスターに殺されかけたときは、肝が冷えましたよ〜」


「……おまえ……」


「むかつきました? 殺してもいいですよ、カイルになら?」


 そう言って、ユイは冗談のように自分の首を差し出した。


「するわけないだろっ! ……っていうか、ちょっと整理させてくれ!!」


 カイルは勢いよく部屋を飛び出した。


* * *


 廊下を歩いていたリズとばったり出会う。


「どーしたの、カイル?」


「ユイの告白が……いろいろ衝撃的で……」


 頭を抱えるカイル。


「あーら、いいじゃない。もちろんOKしたのよね?」


「いろいろと……心の整理してえんだわ……もう行く!」


 顔を真っ赤にして逃げるように走り去る。


「あら、案外意気地がないのねえ」


 リズはクスクスと笑いながら、その背中を見送った。


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