【第36話】バラしゃいいんだよ、バラしゃ!
時は戻ってぼんずの城にて
部屋の隅で、ユイは一人、タケル王と並んで腰を下ろしていた。
「おめえな、あのカイルって坊主のこと、好きだろ?」
唐突なタケル王の問いかけに、ユイはぴんと背筋を伸ばした。
「はいっ!」
即答だった。
「わっはっは、素直なのはいいことだぞ嬢ちゃん!」
タケル王はどっかんと大笑いした。
「こういうのはな、タイミングが大事なんだよ」
「タイミング、ですか?」
「そうだよ。たとえば旅が終わる前とか、強力な敵を倒す前とかよ。無事に帰ってこられるか分からねえって時にな――」
「ふんふん」
ユイは真剣な表情で聞いている。
「……告っちまうんだよ!」
「ほ、ほう……!」
「そうだ、あとついでに秘密もバラすといいぞ。誰にも言ってない、ちょっと言いにくいこととかよお!」
「……バラしても、本当にいいのでしょうか」
「おーおー、よいよい!バラしゃいいんだよ、バラしゃ!!」
* * *
「実はカイルを弱くしたの、私なんです」
「はあ!?」
唐突すぎる言葉に、カイルが声を上げる。
「私は――魔王の迷宮の管理者でして……」
「おいちょっと待て……!」
「三千年ぶりくらいにやっと人間が来たと思ったら、人形にすぐやられちゃって……」
「何の目的があって……?」
「暇だったので、つい」
「暇……だと……?」
「で、なぜお前までこっちに来た……」
「弱い人間に作り替える必要があったので。能力の一部をこちらに持ってきました。最初にいきなりモンスターに殺されかけたときは、肝が冷えましたよ〜」
「……おまえ……」
「むかつきました? 殺してもいいですよ、カイルになら?」
そう言って、ユイは冗談のように自分の首を差し出した。
「するわけないだろっ! ……っていうか、ちょっと整理させてくれ!!」
カイルは勢いよく部屋を飛び出した。
* * *
廊下を歩いていたリズとばったり出会う。
「どーしたの、カイル?」
「ユイの告白が……いろいろ衝撃的で……」
頭を抱えるカイル。
「あーら、いいじゃない。もちろんOKしたのよね?」
「いろいろと……心の整理してえんだわ……もう行く!」
顔を真っ赤にして逃げるように走り去る。
「あら、案外意気地がないのねえ」
リズはクスクスと笑いながら、その背中を見送った。




