【第35話】見知った顔
焼けつくような陽射しの下、砂嵐に覆われた広大な砂漠。
その中央、岩壁にぽっかりと口を開けた洞窟があった。
「ほんとにあったんだ……」
ノーランが呟くように言った。
「まさか、こんな場所に……」
リズも目を見開く。
「行くぞ」
レイがすたすたと洞窟へ足を踏み入れる。
* * *
内部は石造りの古びた迷宮。空気が乾ききっていて、どこか異様に静かだった。
レイはひとり、淡々と進んでいく。
天井の罠も、床の魔法陣も、まるで見えているかのように。
「ちょっと、私たちにも協力させなさいよ!」
リズが少し怒ったように叫ぶ。
「戦力は温存しておいた方がいいだろ」
レイは振り返らずに言う。
「言ってくれるじゃない……」
そのときだった。
「これは……なんでしょうね?」
ユイが壁際の突起を見つける。
「えい!」
ぽち。
押した瞬間、光が一閃。
全員の足元が揺らぎ、次の瞬間――
「……スタート地点!?」
カイルが叫ぶ。何故か洞窟の入り口まで戻っていた。
「ユイ! お前……!」
「面白くなってきましたね! あまりサクサク行かれるとつまらないです、ちょっと」
ユイはケラケラと笑っている。
「ま、迷宮って感じだな……」
ノーランが額の汗をぬぐった。
* * *
以降、カイルが先導し、仲間たちも協力して罠を回避しながら進む。
リズが扉の仕組みを解き、ノーランが鞭で遠くのレバーを引き、ムン老師は迷宮の魔力の流れを読み解いた。
幾つもの分岐と罠を越え、ついに一行は最奥へと辿り着く。
* * *
玉座。
その前に、ひとりの男が立っていた。
その後ろには、黒い装束をまとったもうひとつの影が控えている。
「ようこそ、旅人たちよ」
側近が口を開いた。
その声に、ユイの肩がぴくりと反応する。
そしてその“側近”の姿が、蝋燭の光に照らされた瞬間――
その顔は、まるでユイを黒髪にしたようだった。
「……マジだったのかよ」
カイルが、思わず呟いた。
※32話の最後にセリフをちょこっと追加しました。
魔王討伐の流れがちょっとだけ自然になった……かもしれません。
(まあ、読者のみなさんが気になってるのはそこじゃない気もしますが……笑)
よかったら読み返してみてください!




