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【第23話】決着の果てに


 城が爆発した。

 

 煙が立ち込め、あたりの空気が揺れる。

 

 だが、小瓶が砕け散ったにもかかわらず──何も起こらなかった。

 

「なぜ、何も起こらないんじゃ……」

 

 ヒイラギが、震える声で呟く。

 

「なんで爆発したのに俺ら無事なんだろ」

 

 カイルが不思議そうにきょろきょろとあたりを見渡す。

 

「さあ、ユイちゃんに聞いたら?」

 

 リズが肩をすくめながら言う。

 

「すごいな、嬢ちゃん!」

 

 タケル王が満面の笑みでユイに親指を立てる。

 

「ええと、私……なにかやりましたか?」

 

「なんか白々しいな、嬢ちゃん。ともかく、よくやったぞ!」

 

 ドカンと背中を叩かれて、ユイが小さく飛び跳ねる。

 

 その空気を切り裂くように、タダシが静かに──背後から歩み寄る。


 ヒイラギの背をとらえ、何も言わず──その身体を斬り伏せた。


 ヒイラギは一言も発せぬまま、崩れ落ちる。


「最初から、こうするつもりだった。お前に邪魔されなければ」

 

 タダシが、レイに向けて静かに言う。

 

「……どうだかな」

 

 レイは目を細めた。

 

「おい、空気読めよタダシ。俺が斬るつもりだったのに」

 

 タケル王が眉をひそめて言うと、タダシはちらりと父親を見やる。

 

「おだまりください、父上。あなたがもっとちゃんとしていれば、こんなことには――」

 

「うるせえ!」

 

 バシンッ!

 

 タケル王が突然怒鳴り、思いきり頭をはたく。

 

「何が“斬るつもりだった”だ! 失敗してんじゃねえか! 大体なぁ、痛いんだよてめぇ、捕まえるときよぉ! 腰、痛めたんだぞ!」

 

「ばれるといけねえから本気でやれとおっしゃったじゃありませんか」

 

「うるせえ!」

 

 やり取りを見ていた一同が、なんとも言えない表情を浮かべる。


「父上って」


「親子だったの……?」

 

 しばらくして、タケル王がぼそりと呟いた。

 

「まあとにかくだ……よくやったな。温泉にでも入ってけ」


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