表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/41

【第13話】武道会の裏で


「タダシが失敗した」


 その報せを聞いたとき、ライゾウはほくそ笑んだ。

 自分の力を示し、邪魔者であるタダシを追い落とす。今こそ、その好機だ。


 ターゲットは二人。

 トトラド草の操作実験、それと合わせての実戦投入。殺せればなお良い。

 殺さずとも、ボンズに誘導できればそれでいい。

 頭首ヒイラギ・シュゼンからの命は、そういうものだった。


「簡単な仕事だ……」


 ライゾウは、トトラド草で洗脳した村民と、数名の部下を引き連れ、裏道を進む二人を狙う。

 まるで「狙ってください」と言わんばかりの道を選んで歩いているのは、レイとノーランだった。


「さっきからつけてきているのは、貴様の知り合いか?」


「知らないねえ……ねえ君たち、僕司祭なんだけど?」


「問答無用!」


「多少は目くらましになるんじゃなかったのか」


「おっかしいなあ」


 刃を抜き、敵を斬り伏せるレイ。その動きに、ためらいはない。


「こいつら、妙な服を着ているが──中身は村人か?」


「なら……」


 ノーランが鞭を一閃。音を立てて空を裂き、敵の手元を正確にはたく。

 握っていた短剣が弾き飛び、村人はその場で膝をついた。


「グ……ギギ……ッ!」


 突如、村人の口元から黒い液体が溢れる。

 唇をかすかに震わせたまま、泡を吐き、喉を鳴らしながら崩れ落ちた。


「……毒か。最初から仕込まれてたな」


 ノーランが顔をしかめる。


「無力化されたら始末するってか。随分と徹底してるじゃないか……」


 そのとき、横手から苦無が一閃。


「僕も似たようなものを使えるよ」


 ノーランが懐から小ぶりの投げナイフを取り出し、軽く放つ。

 鋭い軌道で飛んだ刃は、ライゾウの部下と思しき男の手首をかすめて武器を落とさせた。


「……何故今まで使わなかった?」


「基本使い捨てだからね。お金の問題がね……」


「貴様、この前のやつとは別か?」

 

 ノーランの問いかけに返答することもなく、ライゾウは目を血走らせて突進してくる。

 レイが迎え撃ち、鋭く斬り込むも──ライゾウは止まらない。


「こいつ……何かおかしい……」


 力任せに襲いかかる姿には、もはや理性すら感じられなかった。


「トトラド草を何とかしたければ、我が国へ来るがいい! 魔王教は、貴様らを狙い続ける!」

 

 ライゾウは一方的に言い放ち、姿を消した。


「国ということは……」


「この大陸だと、おそらく“ぼんず”だね。あの妙な格好、前に見たことがある」


「罠だな」


「……分かっていても、行くしかないかもね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ