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秘密組織『ルース』   作者: 日々レイオ
第1章 東京部隊入隊編
9/22

秘密9 予想外

暗い研究室のようなところでサングラスを掛けた人物が部下に怒鳴っていた。


「はぁ?! 逃げたってどういうことや?!」


「申し訳ありません! どうやら檻を壊されたらしく……」


「はぁ……これで2()()()や……………………もうええわ……自分首や。誰かそいつ連れてって」


その人物のまわりにいた部下が謝罪した部下を連れて行く。部下は許しを乞うがその人物はまったく聞いていない。


「それで、そいつどこ行ったん?」


「上手く化けたようで行方がわかっておりません」


その人物がため息をつく。ポケットにあった飴を取り出し咥えた。


「……兄さんたちに言うた?」


「……いえ……まだご報告しておりません……その事で妙な噂を聞いたのですが……」


「何? 言うてみ」


「……どうやらルースが絡んでいるようで……」


いきなり立ち上がったその人物は嬉しそうに部下の肩を叩く。


「ほんま?! せやったら一石二鳥や! ……兄さんたちにバレる前に終わらす。……ちゃっちゃとルース焦らせよっか……行ってくるなぁ」


椅子にかけてあった黒衣を羽織り、どこかへ向かおうとする。


「お待ちください! 我々が向かいますので(よん)様は……!」


「ええやん、久しぶりに体動かしたいし……ルースの様子も見ときたい………ちゅうことで俺、行ってくるなぁ」


依と呼ばれた人物は軽い足取りで謎の場所を後にした。









「みんな! お疲れ! 整備隊に引き継ぎできたから基地に戻ろう!」


休日に緊急招集がかかった恭也たちチームSは階級Dの悪物を殲滅すべく出向いていた。思っていたより数が少なく恭也たちでも簡単に倒すことができた。


「まじ疲れた! 早くシャワー浴びたい! まだ5月なのに暑い!」


(かえで)が手をパタパタと扇ぎ喉乾いたと愚痴を漏らしていた。声が大きいのか隣いる拓斗(たくと)が楓を睨みつける。


「やめろ……声がでかい……頭に響く……」


「ごめんごめん! ふみっち化してた!」


(今地味に文治(ふみはる)をディスった)


帰路に着いているとドゴッと音が鳴り響いた。どうやら近くで別の討伐隊員が戦っているようだ。


「………多分あの音は鈴蘭(すずらん)さんですね~、気になりますか~?」


花梨(かりん)が恭也の顔を覗き込む。


「まぁ……気になる……」


「それなら見に行きますか~?」


「え?」


「リ~ダ~、恭也(きょうや)さんと一緒にあの音がする方行ってきま~す」


「あぁ! 了解した! 自分たちは先に基地に戻ってるから気をつけ行ってくるんだぞ!」


「は~い、恭也さん行きましょ~」


花梨が恭也の手を引っ張り音の方へと走って行く。しかし若干方向が違う。


「花梨? どこ向かってんの?」


「普通に見に行くとギャラリーが多いので~、近くにある4階建てのビルの上から見ようかな~と考えてま~す」


(……そっか………隊服のまま行ったら目立つからか……頭いい……)


目的のビルに着いた2人は外にある階段を上り屋上から様子を伺う。鈴蘭がハンマーを振りかざしあっという間に悪物を倒してしまった。


「さすがですね~、これが(エース)5位とかもっと化け物がいますね~」


「ほんとだな」


(そういえば……3位が(れん)、5位が鈴蘭先輩、9位が翔太(しょうた)………他の(エース)は別の部隊にいるのか……1位ってどんな人なんだろう……)


「恭也さ~ん、花梨眠たくなってきたので帰りますね~。恭也さんはどうしますか~?」


「俺はもう少しここにいるよ」


「は~い、それではまたあとで~」


ふぁっと欠伸をした花梨は屋上から立ち去った。恭也は倒された悪物をじっと眺めていた。


(あれ……階級Bぐらいか……JACK(ジャック)はB絶対倒せないからなー……それにしてもあんな簡単に倒すなんて……やっぱり凄いな……)










恭也がいる真反対にある高層ビルの屋上から(よん)が望遠鏡を使い鈴蘭を観察していた。


「なんや、蓮介(れんすけ)くんちゃうやん……期待しとったのに…………まぁ、出てきてもらえるように仕向けたらええわなぁ……」


ベルトからぶら下げてある袋からガラス製のカプセルを取り出す。それを高層ビルから落とす。


「……No(ナンバー).178…………」


カプセルが割れると3mを超える狐が現れた。鈴蘭を見ていたギャラリーの後ろに現れたことで群衆はパニックになり人々が慌てて逃げ惑う。







(どういうこと?! なんでいきなり悪物が現れるのよ?!)


『こちら司令隊。現在スクランブル交差点に1匹の悪物を観測。階級A+。避難難航中。市民の安全を優先に討伐を依頼。(エース)に救援要請中。合流まで持ち堪えてください』


普段とは違い慌てながら司令隊員が詳細を伝える。どうやらA+ でもかなりSに近い階級なのだろう。近くの建物から次々に避難民が降りてくる。避難完了まで最低でも15分はかかるだろう。


「やってやるわよ………避難完了させて、狐なんかボコボコにしてあげる!」


まだ避難が完了していないビルを背にビルの死守を優先して狐にハンマーを振りかざす。鈴蘭の専用武器ハンマーは悪物を潰すのに特化している。ある程度の高さのものは対処できるが今回のような3mもある悪物だと潰すところが限られている。そのため持ち手の先には小さい剣がつけられている。鈴蘭はハンマーと剣を上手く使い今まで悪物を倒してきたのだ。攻防を続けているとどうやらほんとんどの人が避難できたようだ。本気を出し狐に攻撃しようとすると突然狐の尻尾が9本に増えた。化け狐の正体は九尾だったのだ。


「九尾なら最初から九尾になっときなさいよ!」


呆れつつも九尾に攻撃するがまったくダメージが入っていない。何とか手に傷を入れるが回復機能があるのかすぐ回復してしまう。


(こんなに大きいとあたしのハンマーが役に立たない……せめて剣でもあれば)


ごちゃごちゃ考えていると狐の攻撃をもろにくらいビルに体を打ち付ける。衝撃で体が軋む、咳をすると一緒に血も出てくる。頭からも血が出ている。


(……頭がくらくらする………身体中が痛い……1回しか攻撃くらってないのに……あたし………死ぬの…………?)


薄らと見ると九尾がこちらに近づいてきていた。ハンマーは手元になく鈴蘭は目を伏せ諦めていた。しかし物音がし目を開けると狐が縦に真っ二つになっていた。悪物の死骸の前に手がドラゴンのようにり翼と角の生えた少年がいた。その人物は鈴蘭が嫌っていた半悪物の少年だった。









(どうなってんだ?! いきなり変な狐現れたんだけど?!)


ビルから観察していた恭也はもちろん狐が現れ鈴蘭が戦っているところを見ていた。どう見ても鈴蘭が劣勢だった。


(どうする?! 蓮介と翔太に電話する?! それじゃ間に合わない! 俺が言ってもなんの意味もない! くそっ! 俺が悪物を自由に動かせたら!)


目を伏せ考え込んでいた恭也が目を開けるとそこは以前来たことがある精神領域のような場所だった。以前と違うのは目の前に可愛らしいミニドラゴンがいることだ。


『久しぶり恭也、ボクのことがわかるかい?』


恭也が悩んだ結果出した答えはこうだ。


『すいませんわかりません』


ミニドラゴンが恭也をぽかすかと叩く。


『君が噛んだ悪物って呼ばれる存在だよ!』


『あぁ! あのドロドロした』


『そうだ! 思い出してくれたんだ! 嬉しい!』


ミニドラゴンが恭也の腕に抱きつく。


『恭也ボクに名前をつけてよ』


(名前か………ポチとタマしか出てこん………犬でも猫でもなくドラゴンなんだよな……)


『ポチ』


『なし!』


『タマ』


『なし!』


『えー……もう思いつかないよ……』


『じゃあ恭也の好きなものは?』


『漫画、アニメ、ゲーム………………タム………タムはどう?』


『いいよ、今日からボクはタムだ』


(大好きな漫画タイムスクエアワールドの略タムスクの先頭2文字とった名前だけど……気に入ってもらえてよかった)


『恭也はあの女の子を助けたい?』


『あぁ、もちろん!』


『じゃあ1つ聞かせて、なんで他人を助けようとする? 自分さえ助かればいいとは思わないの?』


『確かに前までは自分さえ助かれば、大切な人を守れれば他人なんてどうでもよかった。けど半悪物になって……ルースに入隊してわかったんだ。ルースのみんなは他人を助けることが不利益だとしても躊躇しない。むしろ助けてしまうお節介のような人たちなんだって……俺はそんな人たちに助けられた。死んでいてもおかしくなかった俺が生きてるのはルースのお陰だ。もし悪物の力を操れるようになったら俺はこの力を人を助けるために使いたい! 俺は親友に恩を返したい! それが強い力を持つやつが最低限できることだからだ!』


『………そっか………それならボクからも恭也に恩返しだ。ボクを解き放ってくれたお礼に恭也にボクの全部をあげよう』


タムから眩い光が放たれる。眩しさに目をつぶった。目を開けるとそこはビルの屋上だった。戻ってきたのだ。


(戻って来れた! よっし!)


「やったね恭也!」


「あぁ! ………………………あ?」


横を向くとさっき喋っていたミニドラゴン、タムが飛んでいた。


「うぉぉぉ!! なんでいんの?!」


「なんか出れた」


「どういうこと………」


「恭也彼女を助けなくていいの?」


鈴蘭を見るとビルに体を打ち付けたようでこの距離でもわかるほどボロボロだった。すぐそこまで九尾が迫ってきている。


「どうしよう?! 俺なんもできないよ!」


「ボクの力を使えばいい」


「でも操作できないよ!」


「できるよ、恭也はゲームが好きなんでしょ? それならコントローラーを繋いでいるかのように自分の体を操ればいい」










「先輩! 大丈夫ですか?!」


九尾を倒した恭也が鈴蘭へと歩み寄る。横抱きにし基地へと向かう。手を払われるかと思っていたら余程痛いのか抵抗はしなかった。


(………渥美恭也(あつみきょうや)…………なんでここにいるのよ……)


鈴蘭は意識を手放した。







「………みーつけた」


高層ビルの屋上にいる(よん)がニヤリと悪巧みの笑みを浮かべた。




最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

説明したか覚えてないので説明していたらもう一度。

悪物には強さの階級があります。上からS、A+、A、

A-、B、C、D、Eの順です。たまにSと指定するのが困難する悪物がいます。それはZと呼ばれ、討伐難易度最高ランクです。



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