秘密5 顔合わせ
「よーっす、恭也! 新しい友達か?」
一昨日とは違いサンドイッチを手に持った蓮介が待ち合わせの交差点前に到着した。
「遅せぇよ……」
「ごめんごめん! それで彼のお名前は?」
「じじじ自分は! 岸本文治です! お会いできて光栄です!」
文治が顔を真っ赤にして興奮している。
(……推しに対面したオタクみたいになってる?!)
「そんな畏まらなくてもいいよ、俺は日置蓮介、蓮介でも蓮でも呼び方はなんでもいいよ、よろしくな文治」
にこっと笑うと蓮介のまわりがやけに光って見える。
(うっ! イケメンの笑顔眩しい!)
「はわわ…………爆イケ……」
振り向くと文治がイケメンの笑顔に殺られ魂が抜けていた。
「文治ーーーー!!!」
気絶した文治を2人で担いでいる。まわりの人が変なものを見たかのような顔をしてじろじろと見てくる。
「蓮、初対面の人に笑顔禁止」
「えー!」
「えー! じゃない! 何人死人出せば気が済むんだよ!」
「ごめん……俺がイケメンなばかりに……」
「自分で言うな!」
(蓮とは中学からの仲だけどこいつの顔で何人倒れた?! 100は超えてる絶対超えてる……学校で倒れるならまだしも街で倒れると厄介だ! 俺以外こいつの顔に殺られない人いるのか?!)
「………とう……ちゃく……疲れた」
門に手を付き休憩する。疲れた恭也に対し蓮介は疲れている気配がない。
「恭也もっと体力つけないと大変だぞ、ルースは人間離れした動きするやついっぱいいるからな!」
(人間離れとは………)
保健室まで文治を運び2人はお互いの教室へと戻った。
~放課後~
「迎えに来たぞ渥美くん!」
勢いよく教室の扉を開けた文治が恭也の元へとやってくる。隣にいた海と琥太朗が驚いている。
「さぁ行くぞ!」
またもや強引に引っ張られ、仕方なく引きずられる。
「海! 琥太朗! またな!」
「おう………」
「またね」
「誰あれ?」
「確かB組の岸本だね」
「恭也の友達としては珍しいタイプだな」
「そうだね」
校門を出たところでやっと文治の連行が終わった。
「よし! 基地に向かうぞ!」
「向かうって何処にあって、どうやって入るか知らないんだけど……」
「今から案内するから覚えてくれ!」
文治に着いて行き案内された場所は駅の奥にひっそりと佇む自動販売機だった。
「ここは学校からも家からも近いからオススメだ! では自販機のタッチ決済のところに貰ったスマホをかざしてくれ」
言われた通りスマホをかざすと認証しましたと音声が鳴った。すると自販機が下に収納され先程まで自販機があった場所の壁に扉があった。
(嘘ーー!! 駅地下にあるのかよ! かなり深くにあるのか……)
扉を開けるとすぐにエスカレーターが見え乗り込む。ボタンはなく自動的に基地に行けるようになっていた。扉が開くとそこは大食堂だった。
「あの自販機の扉は大食堂に繋がっている! 他にも繋がっている自販機を知りたい時は支給されたスマホで確認できるぞ! 自販機によって出る場所は違うから要注意だ! では休息室に行こう!」
文治の後に続き休息室へと向かう。
「休息室は休息だけでなくチーム同士での話し合いや作戦会議にも使用できる!」
「へぇー……ところでなんで休息室に向かってんの?」
「そういえば言ってなかったな! 今日はチームの顔合わせだ! JACKは5人で1チームで1つの戦力だ! 」
(そういう大事なことはもっと早く言ってくれ!)
「今日は自分たち以外のチームはいないから安心してくれ! ここだ!」
到着した扉には休息室23とプレートが貼ってあった。
「この休息室23が自分たちが使用できるところだ! では入ろう!」
入った休息室は思っていたより広く3チーム揃っても余裕のある部屋だった。手前の机にはチームメイトらしき人物が2人いた。
(…………ん? JACKは5人チーム………あと1人足りない……)
「ふみっち遅っち! ちょー待った! でもDM返せたからおけまる!」
「ふん! 一般人遅いぞ! この僕を待たせるとは何事かね!」
「すまない! 学校終わるのが遅かった!」
(えーーー! どう見てもギャルと金持ち坊ちゃんなんだけど?! 濃い! キャラが濃い!)
「ところで和谷くんはどうした?」
「わやっち? まだ来てないけど……」
「遅れてすみませ~ん……学校で寝てました~、ふぁ~………寝る子は育つってあるので許してくださ~い……ふぁ~……」
欠伸をしながらゆっくりと椅子に座り、机に伏せてまた寝てしまう。
「では全員揃ったからまず自己紹介をしよう!
自分はチームSのリーダー岸本文治、中園北高校1年だ! よろしく!」
「はいはい! うちは羽山楓! 貝原高校2年! 楓って呼んでね! 次たくあんだよ!」
「その変なあだ名やめろ! 桃園学園高等部2年林城寺拓斗、一般人と連むつもりはないが貴様らはチーム故許してやる」
(俺このチームでやっていけるだろうか……)
「渥美くん君の番だ!」
「そっか、中園北高校1年渥美恭也です。よろしくお願いします」
「よろぴーす! わやっち! 起きて自己紹介!」
「ん~……中園北中学校3年……和谷花梨で~す………よろしくで~す………」
(すごい……このチーム! キャラの濃さでカードバトルできそう! 負けない気がする!)
「自分たちは5人で1チームだ! 決して1人で戦ったりしてはダメだぞ! ここにいる皆の目標はQUEEN昇格! 夏までに受験資格を達成し試験を受けるぞ!」
「おー!」
「「おー……………」」
「………むにゃむにゃ………」
「顔合わせはこれで終了だ! 自分は研究室に用があるから失礼する!」
文治は休息室から退出してしまった。待っていたかのように拓斗と楓が恭也へと詰め寄る。
「ねぇあつみん、あつみんは憧れの討伐隊員とかいる? 」
「え?………なんで?」
「ルースに入隊する奴はほとんど憧れを持つ者が多い、貴様はどうなのだ?」
(キャラ濃いと思ってたけど案外中身は高校生だ………お前をチームとして認めない! とか言われるかと思った……)
「憧れはあるけどあくまでかっこいいとかそういうので隊員個人に対しての憧れは特に……そもそもルースがかっこいいって思ったのもゲームみたいっていう理由だから……」
「そっか! うちはね! 名古屋にいるアサルトライフル使いに憧れてる! 戦い方もそうだけどAだから服めっちゃ可愛いんだよ! 」
(なるほど……服装とか武器とかでもお気に入りの隊員がいたりするのか……つまり推し的なやつ……)
「林城寺さんは……」
「名前呼びでいい、入隊日はほぼ一緒なのだから先輩後輩もない」
「いや……でも……歳的には先輩なので……せめて拓斗さんと呼ばさせていただきます……」
「いいだろう、たくあんより幾分かマシだ」
「えー! 拓斗のたく取ってたくあんよくない?!」
「こいつは無視しとけ、それでなんだ?」
「拓斗さんはいるんですか? 憧れの隊員……」
「僕は特にいない、僕が入隊した理由はこの組織は不思議な点が多く面白いと思ったからだ」
(不思議な点ってなんだ? 七不思議的な?)
「一番気になるのは生身で戦っているのに死者が出ないことだな」
当たり前のことに気づかなかった恭也と楓がはっと目を見開く。
「一般人は悪物で多く亡くなっていると報道されているのにルース隊員の死者は報道されない……どういう医療技術で治しているか気になる……このことは内緒で頼む。バレたらどんな罰を受けるかわからん」
(拓斗さんの言う通りだ……なんでこんな当たり前のことに気づかなかったんだ……全員ロボットとか……それはないよな……何か特別な力が働いているとか……)
「それ~、花梨も気になってた~、拓斗さん同意見だ~」
起きていたことを知らずいきなり話し出したことで驚きのあまり全員の肩がピクっと動いた。
「不思議というか~、秘密が多いんだよね~、この組織~。謎解きみたいでわくわくするね~」
「そうだな、今話したことは岸本に話すな」
「えっ?!」
「あいつは単純すぎてすぐ話しそうで怖い、それにあいつ暑苦しいから面倒だ」
(わかる!)
「おっけー! じゃあ友達登録しよ!」
楓がスマホを取り出し連絡アプリのQRコードを見せる。全員が取り出し次々と登録していく。
「あつみん登録できたからチームSのグループチャットに招待するね! ふみっちとは連絡先交換したんでしょ?」
「はい」
グループチャットでスタンプを送信し合う。なんだか楽しい雰囲気に恭也は嬉しくなった。
(ルースに入ってから友達が増えた、ゲームと漫画、アニメ以外の楽しみも増えた。こんな楽しいところに秘密なんてあるのか?)
最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。
羽山楓
貝原高校2年。ギャルのような派手な見た目をしている。おしゃれが大好きで名古屋部隊のアサルトライフル使いに憧れ入隊する。
林城寺拓斗
桃園学園高等部2年。とあるお菓子メーカーの社長息子。めっちゃ金持ち。偉そうな態度をとっているがチームのみんなを信頼している。ルースの不思議を確かめるため入隊する。
和谷花梨
中園北中学校3年。寝不足なのかそうではないのか不明だがほとんど寝ている。起きているのがレア。戦いでは結構頼りなるとか。




