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秘密組織『ルース』   作者: 日々レイオ
第2章 名古屋獣人化編
22/22

秘密22 異変

鈴蘭(すずらん)先輩、俺ずっと言いたかったことがあるんです』


『……うん』


『俺、先輩のことが………………』


「先輩! 鈴蘭先輩! 起きてください!」


「……………はへっ? ………夢………夢…か……」


「? ………落ち込んでます? 大丈夫ですか?」


「………うん……大丈夫……気にしないで……」


(……あんな夢見てたなんて絶対に言えない……)


いつの間にか気絶していた鈴蘭は恭也(きょうや)に起こされるまで幸せな夢を見ていたようだ。恭也の肩にはいつの間にか元気になっていたタムがいた。


「……あたしいつの間に気絶してたの……」


「数十分前ぐらいです。そんなに時間経ってないので大丈夫ですよ」


「……そう……翔太(しょうた)は!」


「オレならここにいますよ」


声のする方を振り向くと瓦礫を背もたれにし、頭に包帯を巻いた翔太がいた。


「無事なの?!」


「なんとか……まだ動けますけどいつもみたいには動けません」


「………翔太……ごめん………俺のせいだ……」


「…………あー痛いなー、(きょう)先輩のせいでまだ背中と頭痛いなー」


翔太がわざとらしく痛そうなふりをする。


「ほんとか?!」


「痛いなー、これは何か奢ってもらわないと治らないかもー」


「わかった! 終わったあとに奢るから!」


「……ありがとうこざいます!」


鈴蘭がにやにやした翔太の耳を引っ張り耳元でボソッと言った。


「………………痛み引いてきてるくせに」


「………頑張って止めたので奢ってもらうぐらいいいですよね?」


「………………はぁ……勝手にしなさい」


「いぇーい、それより早く悪物(あくぶつ)倒さなとそろそろ街の皆さんが危険です!」


翔太が言った直後マイクイヤホンから避難防衛ラインが突破されたと通知が入った。討伐隊員は仮面を装着し現場に急行せよとのことだ。


「あんた! どれだげ危機的状況でも絶対変身しちゃダメよ!」


「わかってますよ……」


「変身したら拡散されて処刑よ!」


「……処刑は嫌だ……」


「それならさっさと仮面つけて行くわよ!」










「……なに……この……地獄絵図……」


指定された場所にたどり着いた3人は最悪の光景を目にした。大量の悪物が人間を襲い、食っていた。


「どこから……助ければいいんですか……」


「そんなの……あたしもわかんないわよ」


翔太と鈴蘭が立ち尽くす中、恭也は目の前にいた蟻型悪物を刀で倒した。


「先輩! 翔太! 向こうに大きいキリン型悪物がいる! 俺じゃ無理だからお願いします!」


そう告げた恭也は別の悪物の方へと走り去ってしまった。


「…………ははっ! 流石師匠の親友! 凄いですね!」


「ほんと……こんな危機的状況で判断するなんて………尊敬するぐらい凄いわよ………」


「ですね! オレ、キリン倒していいですか?」


「いいわよ、あたしはその隣のゴリラ倒してくるから!」


キリン型悪物に向かった翔太は斧をチェーンで繋げた。ひとつの斧を近くの建物に投げ刺し、チェーンをゴールテープのようにしてキリンを転ばす。


「……もう動けませんよね!」


ビルの壁をつたって大きく飛んだ翔太は斧をリボンのようにし、キリン型悪物の首を切断した。切断した方の斧には持ち手の部分までべっとりと血が付着していた。それを気にすることもなく握り、次の悪物へと向かった。








「………あーっ! もうっ! どれだけいるのよ! 他の討伐隊はどこ行ったのよ!」


文句を言いながらも鈴蘭は素早く悪物を倒していた。サイ型悪物を倒そうとしたが、誰かに横取りされてしまった。


「なっ?!……蓮介! 横取りしないでよ!」


「あー……すみません、(すず)先輩遅いから」


「遅いって! あんたが速すぎるのよ!」


「そんなに怒らないでくださいよー……じゃあ、あいつ譲りますから」


と言って蓮介が指さしたのはビルに張り付く蜘蛛型悪物だった。


「………あれは……ちょっとキモイからあんたに譲ってあげる……」


「あははっ! 鈴先輩、ほんと虫苦手ですよね。じゃあ俺が倒してくるで別のお願いしますね」


「わかってるわよ……」


ビルに張り付く蜘蛛は4階あたりの窓に張り付いていた。蓮介は近くにいた悪物を踏み台にし、蜘蛛のいる場所まで飛んだ。そしてくるくると舞うように蜘蛛の首を切断し、着地ついでに踏み台にした悪物を倒した。


「……鈴先輩! 恭也どこですか!」


「知らないわよ!」


「俺、カラオケ近くの方行きます。恭也見つけたらマイクで教えてください!」


「わかったわよ! 気をつけなさいよ!」


「鈴先輩こそ!」









鈴蘭と翔太と別れたあと恭也は刀を使って悪物を倒していた。


「恭也……大丈夫?」


「あぁ……タムの力継いでから体力切れはなくなったから……けど……数が多い……どれだけ解き放ったんだ……」


今回の悪物で1番数を占めているのは蟻型悪物だ。大量に現れ人を食っている。


「あのタイプはどこかに女王がいるはずだよ。そこを叩けば蟻たちは行動が鈍るよ」


「……でその女王はどこ?」


「ボクはわからないよ! 匂いでわかるかも! 恭也どう?」


「……………煙の臭いしかしない……」


タムと恭也が住宅街で話し込んでいると気づかないうちに蟻型悪物が恭也とタムに襲いかかっていた。


「……恭也、右!」


「しまっ!」


間に合わず目を瞑ったが、いつまで経っても痛みは襲ってこなかった。目を開けると小刀を持った杏が立っていた。悪物を睨みつけるその目はひどく恐ろしかった。


「……(あんず)……先輩……?」


「…………(きょう)くん……無事……?」


「………はい……」


(なんだあの小刀……杏先輩の武器はアサルトライフルだったはず……)


「…………これ……気になる……?」


「………はい……」


「……素直だね………いいよ……………教えあげる………あたしの秘密……………………アタシ、裏社会で有名な暗殺一家の娘なの……この小刀はその時の名残…………どう?………嫌いになった?」


「………?……なんで嫌いになるんですか? その小刀を含めて杏先輩です。約束したじゃないですか、受け入れるって」


「………………ありがと……ほんとにいい子だね…………よしっ! ぱっぱと倒して、お疲れ様会しよ!」


「はい!」


「うんうん! 良い返事だ! ところで恭くん……銃持ってる?」


「はい……ありますけど……」


腰に着いた銃ホルダーから銃と弾を取り出す。


「お願い! 借して!」


「どうぞ……」


「ありがと! じゃあ倒しちゃいますか!」


いつの間にか周りを取り囲んでいた蟻悪物を倒していく。恭也は刀で、杏は恭也から借りたハンドガンだ。お互いに背を合わせながら戦っている中杏が質問してきた。


「ねぇ、恭くん。どうやって戻ったの?」


「……鈴蘭先輩と翔太が助けてくれました」


「へぇー………やるねー……」


蟻悪物を倒し終わり移動していると家の中から40代ぐらいの女が慌てて出てきた。女は身体中が痛いのか這いつくばり、恭也の足を掴んだ。


「助けてください! 助けて!」


「落ち着いてください! 何があったんですか?」


「夫! 夫が! 瓦礫の下敷きに!」


女を落ち着かせていると突然大きな足音がした。音の方向を確認すると2mほどの鰐型悪物がこちらへ突進してくる。


「恭くん! 奥さん護ってて! アタシが鰐を!」


銃を向けた瞬間鰐は動きを止めた。


「……ま……」


「恭くんなんか喋った?」


「いえ……俺たちは喋ってません……」


「…………ま……………ま」


「……………待って……嘘でしょ……鰐が……」


どうやら声を上げているのは鰐のようだ。鰐は何かに取り憑かれたかのように話し出した。


「………ま………ま……ぱ……ぱ……………………」


「………聞き間違えじゃなければ今ままとぱばって言ったよね?」


「……はい……」


銃は構えたままだが、片言で喋る悪物に杏は興味津々だった。悪物は襲ってくる気配がなく、ただ何かを喋り続けている。


「……………だ………い……………す……………き……………た………だ………………い…………ま」


「……………柚子(ゆず)………?」


恭也の後ろに隠れていた女が名前を呟いた。


「……隊員さん…………あの子……私の娘かも……しれない……」


「……はっ?! どういうことですか?!」


あまりの驚きに思わず恭也は声を上げた。杏は驚きに目を見開いた。


「……今ただいまって言ったの……もうこの世にいない……娘が…………」


「いないって……亡くなってるの?」


「………はい……………娘は8歳の時交通事故で亡くなりました………」


「………もしかして…………………………………………ねぇ奥さん……アタシも着いていくからあの鰐に近づいてみない?」


「先輩?!」


「大丈夫だよ、アタシこの街で1番強いから!」


「………行きます………行って確かめさせてください……」


「おっけー!」


痛い体でなんとか立ち上がり、杏と恭也の肩を掴む。3人が近づいても鰐は一切動かなかった。


「…………柚子なの?」


鰐は問いかけには応じず、ただ黙って3人を見つめていた。


「…………た…………だ……い……………ま………」


「………………気のせいだったかもしれません……」


悲しむ女を杏が慰める中、恭也は鰐のはしっぽに何か着いていることに気がついた。取ってみるとそれは布で作られた可愛いらしい花がついたヘアゴムだった。


「……………あなた………それをどこで……」


涙ぐむ女がヘアゴムを見て目を見開いた。


「鰐のしっぽについてました……」


ヘアゴムを女に手渡すと女は鰐へと抱きつき泣き始めた。


「………柚子! ……………柚子!」


死んだ我が子に会えて喜ばしい一面、最悪なことが起きていることに恭也たちは気づかされた。













「……また………」


駅へと戻ってきた蓮介は折られた1枚の紙を広い上げた。中を開き不快な顔をした蓮介は紙を捨てた。紙は風に吹かれ空高くへと飛んでいく。





『I'll pick you up』

紙にはそう書かれていた。



最後まで呼んでくださり本当にありがとうございます。

鰐型悪物の正体はまだ確かではないですが、助けて女の人の死んだ娘でした。なぜ娘が?と思う方もいると思いますがそれは次で詳しく。

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