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秘密組織『ルース』   作者: 日々レイオ
第1章 東京部隊入隊編
2/22

秘密2 半悪物

(なんだこれ……俺の体なのに上手く動かせない……おかしい………体の所有権は俺が握ってるはずなのに……)


半悪物化(はんあくぶつか)した恭也は悪物特有の破壊衝動に襲われ、まわりの建物、自販機などを次々と壊していく。恭也は実質気絶しているが体だけは動いてしまうゾンビのようになっていた。


(ていうか……めっちゃ壊してる音するんですけど?! 俺の体何してんの?! 止めなければ……どうやって止めんの?! ん?)


精神領域のようなところで慌てていた恭也がふと目についたテレビをつける。


(なんでこんなところにテレビがあるのかね……まぁいいや……なるほどこのテレビ目で見ているものを映し出しているのか……便利だな……体のコントロールは奪われたけどこれなら俺の体が見ているものがわかる……じゃなくて?!どうやったら元に戻るんだ! 俺の体返せ! おっ! 人がいる)


建物を壊していた恭也の体が止まる。こちらに近づいてくる人影に気づき戦闘態勢をとる。


「あれ? 気配殺してたのに気づいた? さすが悪物、鼻が利くねぇ」


大鎌を握る少年が恭也の体へと近づいてくる。


(やばやば! よく見えないけどあれルース隊員だ! もしかして俺……討伐される?)


「さっさと終わらせるか」


視界から少年が消え振り向くと大鎌が目の前にありギリギリで躱す。


(これどっちを応援すればいいんだ……待てよ……もしここで討伐されたら死ぬんじゃ……俺の体乗っ取ったやつ負けんな!)


激しい戦闘が繰り広げられる。幸い人が少ない空き家地帯だったのが救いか今のところ被害者はいない。大鎌を持つ少年は武器を持ちながらまるで舞っているかのように戦っている。一方恭也は押され防戦一方となっていた。


(おい! 負けんなよ!…………………待って……今戦ってるルース隊員……蓮じゃん?! は?! 蓮ってルース隊員だったのかよ?!)


蓮介が悪物との距離を置く。悪物に違和感を感じ、じーっと見つめる。


「ん? お前……恭也そっくりじゃん?! そっくりというか半分恭也で半分化け物みたいな…… 」


(合ってるよ蓮! さすが親友!)


「はぁー……殺しにくくなった……仕方ない……恭也! 聞こえてないかもしれないけど今からお前のことボコボコにして気絶させるから! 起きたら戻っとけよー」


(何呑気なこと言ってんだよ! 戻れるなら最初から戻ってるわ!)


呼び掛けと共に蓮介が大鎌を指輪に戻し、鋭い蹴りを入れる。恭也の体を考慮し刃物はやめ体術へと変更したらしい。拳、蹴り、拳、蹴りと交互に恭也の体に入る。先程から防戦一方で蓮介に一度も攻撃が入っていない。飛び蹴りを入れると恭也の体はブロック塀に強くあたり動くことはなかった。


「ふぅ、一件落着かな……おーい恭也起きろー」


寝転がっている恭也の体を思いっきり揺すぶる。


「起きないとお前が買った新刊先に読んじゃうぞ」


「……それはダメ! あ! 戻った!」


「よかったよかった」


「もう元に戻れないのかと……ありがとう蓮! 体傷だらけだけど」


「どういたしまして&ごめん、てかなんであんな姿になってたんだ? 恭也もしかして悪物?」


「ちげぇーよ! 俺は悪物に襲われそうになってたんだよ! それで気づいたらあの姿になってた」


「ふーん……なるほどなるほど」


蓮介が恭也をまじまじと見つめる。にやにや笑い、なんとなくだが原因がわかったらしい。


「ここで恭也くんにいい報告と悪い報告がありまーす! どっちから聞きたい?」


飴の乗った手のひらと乗っていない手のひらを恭也へと向ける。恭也は飴の乗った手のひらを指差す。


「いい報告から……」


「おっけー! 恭也は今から秘密組織『ルース』の基地に行ける」


「まじ?! 名前の通り秘密のあの場所に?!」


(よっしゃー! 憧れのルース基地に行ける! どこにあるんだろう……アニメとかみたいに地下にあるのかな……それともビルかも……)


恭也がにやにやと妄想しているのを横で蓮介が呆れて溜息を着く。


「恭也まだ悪い方言ってないぞ」


「あっ……そうだった、それで悪い報告って?」


「それは…………今からお前を拘束する」


「は?」


拘束という合図と共に隠れていたロボット兵が恭也を取り囲む。特殊な手錠と目隠しをつけられる。


「なにこれ?! おい?! 蓮?!」


「ごめんな恭也……これは上からの指示でな……少しだけ耐えてくれ」


この言葉を最後に恭也の意識は途切れた。




――――――――――――――――――――――





特別個体(とくべつこたい)No.1(ナンバーいち)意識回復、いかがいたしますか?」


白衣を着た男性が後ろに立つスーツを着た男に問いかける。


「研究隊員は引き続き監視と研究を続けてくれ、行くぞ蓮くん」


「りょーかい」








目が覚めベットから起き上がると足枷が着いていた。手錠と目隠しは外されている。


(………ここどこだ?……あ! 俺ルース隊員に捕まったんだ! ってことはここルースの基地……想像と違う…………待って……誰かこっちに来てる! ……足音的に2人か……)


「失礼する」


「失礼します!」


扉を開け入ってきたのはスーツを着た30代ぐらいの男性と蓮介だった。


「体調はどうだい?」


優しく話しかけてきた男性に警戒心を解き口を開く。


「……大丈夫です」


「そうかい、よかった……」


笠原(かさはら)さん自己紹介しなくていいの?」


「そうだったな……初めまして渥美くん私は秘密組織『ルース』司令隊(しれいたい)所属の東京部隊(とうきょうぶたい)副社長笠原真守(かさはらまもる)だ、よろしく」


挨拶をし手を差し出す。恭也は手を握り返す。


「……よろしくお願いします……」


(副社長?! 偉い人じゃん! なんでここにいんの?!)


「渥美くん、寝ている間こちらで君の体を色々調べさせてもらった」


(イロイロッテナンダッケ、オレハシヌノカ)


「笠原さん笠原さん」


蓮介が笠原の肩を優しく叩く。


「なんだい? 蓮くん」


「憧れの場所と笠原さんの登場で恭也キャパオーバーしてるよ」


恭也に目を向けると頭から煙が出るほど今の状況を飲み込めていないようだ。


「すまない! 詳しく話すべきだったな……では君の現状を説明しよう」


(俺の現状……あの姿になった理由がわかる……)


「君の体は半分が人間で半分が悪物になっている、原因は悪物の血と判断された……心当たりはあるかい?」


「血………あっ!」


(そういえば自己防衛で悪物の腕噛んだた時歯と口のまわりにめっちゃ血ついてた! 口まわりのは袖で拭き取ったけど歯に着いたやつだ! そのまま飲み込んだんだ!)


だらだらと冷や汗が溢れてくる。


「あのー……多分……腕噛んだ時血……飲んじゃったかも……です……」


ちらっと蓮介と笠原を見ると2人が目を合わせて蓮介が大笑いする。


「ふっ………ははははははは!! 腕噛むとかやるな! やっぱりお前最高だよ!」


「こら! 蓮くん! はぁ……とりあえず原因はわかった……問題は君の処遇だ、本来悪物は観測された時点で討伐される対象だが君は人間……私だけでは対処不能だ。よって明日会長が戻り次第君の処遇を決めることになった」


「会長ですか?」


「あぁ組織は東京部隊だけでなく大阪、名古屋、福岡、札幌にもある」


(ほへー……そんなにいっぱいあったんだ……)


「会長はそのすべてを統括している人だ、今日は大阪に顔を出している。明日の昼には帰ってくるだろう」


(もっと偉い人が来るってことじゃん……やば)


「ん? 待ってください会長は明日帰ってくるんですよね? ってことは俺ここにお泊まりですか?」


「察しがいいな、その通りだ」


(うそーん……俺の最新刊……俺のログイン……さよなら……)


ゲームができないことで恭也がベットの上で野垂れ死ぬ。


「はい」


蓮介が恭也のスマホと買ったばかりの最新刊を手渡す。


「一応中身は調べさせてもらった、特に怪しい点はなかったから返却する。監禁してる以上娯楽の物を渡すのはよくないが異例の事態のため許可する」


(俺のスマホ! 俺の最新刊! 笠原さんありがとう!)


「渥美くん、君からも家族に連絡を入れておいてくれ。私は仕事が残っているのでこれで失礼する」


笠原が足早に立ち去る。蓮介はパイプ椅子を取り出し腰掛ける。


「蓮は戻らなくていいの?」


「連絡するのを見届けてから戻るよ、早く連絡した方がいいぞー、今23時過ぎたとこだから」


「はぁ?!」


スマホの電源を入れ時刻を確認すると23時4分と表示されていた。


(俺が本屋出たの大体17時30分でその後悪物に襲われたから……俺5時間ぐらい気絶……いや……寝てたのか………はず)


連絡アプリを開くと両親から大量のメッセージが届いていた。開くとお互い怒りと心配のメッセージだった。帰ってから説明すると連絡を入れアプリを閉じる。


「じゃあ俺も失礼するよ」


蓮介がパイプ椅子を畳み立ち去ろうとする。


「蓮! そういえばお前ルース隊員だったのかよ?!」


「今更?! もう納得したのかと思ってた!」


「納得してねぇよ! 今まで蓮にルース隊員かっこいいとか言ってたの馬鹿恥ずかしいわ! 遠回しに蓮かっこいいって褒めてたってことだろ?!」


「確かに! 気づかなかった! その節はどうも」


「どうも……じゃねぇよ! ……俺は隠し事されてたのにムカついてんだよ……親友なのに……」


「そっか……ごめんな」


恭也に歩み寄り子供を慰めるかのように頭を撫でる。


「撫でんな……」


「ごめんごめん……ルースに所属してるってこと外部の人間に話すの禁止なんだ」


(親友が憧れのルース隊員……俺はお前と肩を並べて戦いたい! いつも考えていた一緒に入隊して戦う姿を! お前が先に進むなら俺も!)


「……俺も入隊できるか?」


「え?」


「俺も蓮みたいに街を護るかっこいいルース隊員になれるか?!」


いきなりのことで大きく目を見開き驚いていた蓮介だがまた恭也の頭を撫で優しい瞳で見つめて言った。


「なれるよ……恭也は……………なってくれないと困る……」


頭を撫でる蓮介はどこか悲しそうだった。



最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

評価感想お待ちしております。



豆知識

秘密組織『ルース』

国公認の秘密組織。目的は悪物から国民を護ること。秘密組織と呼ばれているが国民は組織の存在を知っている。小学校高学年から70歳まで幅広い年代の人が所属している。

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