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秘密組織『ルース』   作者: 日々レイオ
第2章 名古屋獣人化編
18/22

秘密18 原因

尚人(なおと)!」


(あんず)が社長室の扉を勢いよく開けた。中にいた尚人は驚きのあまり飲んでいたコーヒーを吐いてむせていた。


「げほっ! げほっ! 杏! もう少し静かに開けろっていつも言ってるだろ!」


「ごめんごめん! でも大変なの! あの耳可愛いなんて言ってる場合じゃなかった!」


獣耳(けもみみ)フェチとしては最高なものだけど、それがどうかしたのか?」


「獣耳フェチとかどうでもいいって!」


「杏酷い! 僕のフェチを!」


「あとから話聞くから! あの耳…………悪物(あくぶつ)かもしれない」


「……………まじか……」


先程までフェチの話をしていた人物とは思えない程の真剣な顔で尚人は話し始めた。


「強力な力を持つ悪物は下級の悪物を引きつける………もしこのままだと渥美恭也(あつみきょうや)くんが獣耳を引き寄せてしまう………そうなれば名古屋部隊基地は全壊だ」


「わかってる……でもそんな理由で(きょう)くんを見捨てるの? あの子は………ずっと我慢してきたんだよ。やっと心を開ける場所を見つけたのに追い出したら…………きっと立ち直れないよ……」


「そうだな………だから渥美恭也くんを見捨てなくてもいい作戦を立案しないといけないな」


「尚人……」


尚人に近づいた杏が尚人に抱きついた。


「ありがと」


「…………そろそろお父さんって呼んでほしいな」


「命の恩人をお父さんなんて呼べないよ」


2人の空気ができあがっているところに恭也(きょうや)たち4人が息を切らして突撃してきた。2人の様子を見た恭也と翔太(しょうた)は何も言わずに扉を閉めた。


「……………付き合ってるの?」


「オレも同じこと思いました……」


社長室の扉が開き杏が顔を出した。


「お揃いでどうしたの?」


「………………あの! 杏先輩と社長はどういう関係ですか!」


「恭先輩と同じく!」


2人の質問に杏は驚き、事情を知る蓮介(れんすけ)鈴蘭(すずらん)は恭也と翔太を見てにやにやしていた。


「アタシと尚人? 尚人はアタシの父親。幼いときアタシを救ってくれた養父だよ」


「「………養父」」


「「……あっはははははは!」」


蓮介と鈴蘭は目尻に涙を浮かべ、腹を抱えて笑っていた。恭也と翔太の顔は真っ赤だった。


「そういえば恭くんとうたくんには言ってなかったね。れぇくんとらんちゃんから聞いたかと思ってたよ。恋人じゃないから安心して」


「「……申し訳ありませんでした……」」


2人が綺麗な土下座をする後ろで蓮介と鈴蘭はまだ笑っていた。


((…………恥ずい……))









「………ということで、獣人化を止めるにはまずこの発生源を叩かないといけない。そのために発生源を探す。それと獣人化はルースの専用回復薬で消えることが判明した。名古屋部隊の在庫では足りないため各部隊からかき集めている。そこで君たちには発生源を探してもらう」


「……あの」


「はい! 渥美恭也くん!」


(なんかこのノリ覚えが……)


A(エース)の4人が動くのはわかるんですけど……俺は………」


「何を言っている! 君の半悪物(はんあくぶつ)の力はA(エース)みたいなものだろ? それに君はまだその力を使いこなせていない……そうだろ?」


(……なんでバレて……)


「蓮介から一通り聞いた。鈴蘭を助けて以来変身していないようだね? 何かあるのかい?」


「…………あの時は咄嗟のことで勝手に体が動きました……けど……今変身したら……力を抑えられる気がしません……この力は………強大すぎてコントロールできないかもしれません……」


「多分今変身したら暴走するだろうね。君の肩に乗っているタムと名付けた悪物。そいつは歴代の悪物の中で最も強い観測値を出している。

その力を人間が使うとどうなるか知ってるか?」


「……いえ……」


「体が爆発する……」


あまりの恐怖に恭也が唾を飲む。


「それにルースの討伐隊員は首元に身体能力を底上げできるチップが埋め込まれている。ブレスレットについている白い水晶の隣の赤い水晶を押すとチップが起動する。でも君にはそれが埋め込まれていない。君はタムの持つ力で底上げしている。(てる)と戦った時に攻撃を躱せたのもタムの力のおかげた。つまり君は身体能力は引き出せるが本来の魔能(まのう)が引き出せないということだ。そんな中無理やり変身したら暴れて魔能放ちまくりだね。タム……めんどくさいことをしてくれたものだ」


「恭也はそんな簡単に死なない! ボクの力を使いこなせる!」


「その使いこなせる日はいつくる?」


どことなく怒っているような目つきでタムを睨みつける。


「正直に言うと時間がない……1時間前に発生した悪物は猫型だった。つまり人間が悪物になった可能性があるということだ。意味がわかるか? このまま時間が過ぎると市内は悪物が大量発生する魔の地となるんだ。そんな中使いこなせるのを待っている訳にはいかない。だから恭也くん、実践の中でコントロールできる方法を探せ。僕は君ならできると信じている。あと君が動く理由は杏に詳しく聞いてくれ。杏、僕は(まめ)に呼ばれてるから失礼するよ」


尚人が出ていた社長室では肩に乗っていたタムが震えていた。


「……ボク……あいつ怖い……」


「……それは俺も思った……」


「ごめんね、尚人ちょっと焦ってるんだ。えーっとね、恭くんを連れていくのは2つあって1つは敵対するやつから護ること。もう1つは悪物の習性を利用するの」


「習性?」


「下級の悪物はね、高位の悪物に引き寄せられる習性があるの。だから恭くんがいれば自然とこっち向かってくるから被害を最小限にできる。けど……君を生贄のようなことさせることになるから……アタシは反対なんだけど……」


「俺もです」


蓮介が珍しく杏と同じ意見を言った。


「…………………やります」


「恭也?! わかってるのか?! 俺たちが殲滅できなくなったらお前は死ぬことになるだぞ!」


「わかってる……でも被害を押えられるなら俺は喜んで生贄になります!………それに……俺もみんなの役に立ちたい……」


「恭くん………みんなの役に立ちたいとか可愛すぎ!」


杏が恭也へと抱きつく。勢いがあったため恭也はぐえっと悲鳴をあげた。それを鈴蘭が羨ましそうに見ていた。


「恭くんやっぱりちょーいい子! 杏お姉さん嬉しい!」


(……腕に……柔らかいものが……!)


真っ赤な顔になった恭也を見て察したのか鈴蘭が杏を引き剥がす。


「杏くっつきすぎ!」


「にゃはは! そんなに嫉妬しなくても大丈夫!」


「ばっ!!! 嫉妬じゃないわよ!」


「やーい! らんちゃんのツンデレ!」


「ツンデレじゃない!」


「……また遊ばれてる……」


「ほっとこう」


杏と鈴蘭を社長室に置き去りにし3人は休息室へと戻った。








休息室へと戻る途中翔太が呟いた。


「……探すにしても手がかりが昨日駅近くにいたっていうことしかわからないかは無理ですよねー」


「そうだな……もういっその事駅近く巡回するか」


「そんなことしても何も見つからないわよ!」


後ろを振り向くと鈴蘭がいたが、杏はいなかった。


(あん)ちゃん先輩は?」


「研究室行った、どうせ追い出されると思うけど」








美沙(みさ)! 豆ちゃん! 調査どう?」


「杏……まだ終わってないよ……あんた……終わるまで出禁って言ったでしょ……」


「ちょっとぐらいいいでしょ! だめ?」


キラキラとした瞳で美沙を見つめる。その瞳に負けたのか美沙はため息をついた。


「………はぁ………少しだけだよ……」


「わーい! 美沙だーーい好き!」


「はいはい……」


「尚人と豆ちゃんは?」


「社長と豆さんは今奥で話してる……もう終わると思うけど……」


話していると奥にある扉が開き尚人と豆が出てきた。杏を見た豆は目を見開いた。


「杏! お前出禁にしただろ!」


「美沙がちょっとだけって言ったら許してくれた!」


「……まぁこっそり侵入されるよりかはましか……」


豆が呆れながら新品のグミを開封する。杏がそれを気になりじっと見つめる。


「……豆ちゃん……何それ?」


「あー、昨日帰ってる途中もらったんだ新作グミだって」


グミを口の中に運ぼうとした豆の手を杏が振り払った。グミは落ち、袋を杏が取り上げる。


「杏? どうした?」


「……このグミ何処でもらったの?」


「駅内」


「他にももらってる人いた?」


「あぁ、ほぼもらってたな」


「………こんな新作知らない……」


杏がグミの袋を力強く握りしめる。中に入っているグミはいくつか潰れている。


「このグミ好きだから新作も全部チェックしてる……けどこんな新作知らない……それに1週間前に新作が出たばかりだから今出るなんておかしい…………」


落としたグミを拾い上げグミを分解する。


「杏?!」


「尚人止めないで! もしかしたら! もしかしたら!」


杏が分解したグミを色々な形で調べていく。それを後ろで研究隊員たちと尚人が見守る。


「尚人! このグミ誰が配ってたか調べて! あとこのグミ食べないように言って!」


「ちょっと待て、詳しく説明してくれ」


尚人の前にひとつの試験管を差し出した。その中にはグミの欠片が入っており、液体は赤色に染まっていた。


「……わかるでしょ……反応薬が赤色になった……つまりこのグミは悪物と同じ血が入ってる……」


「だから耳が生えてるの若者が多かったのか!」


「グミは若者に人気だから、そこを狙ったんだよ! それに友達や家族にあげることを考えるとすごい影響がある」


「なるほど……研究隊員! このグミを詳しく調べろ! それと医療隊に薬の準備を頼め! 食べたやつは討伐隊員が探す! 杏、お前は鈴蘭たちと配ってたやつを探せ」


「りょーかい!」









ルース専用スマホに通知が入った。内容はこうだ。

これより大規模な捜索を開始する。場合によっては戦闘を許可する。

KINGの討伐隊員は悪物の討伐。QUEEN、JACKの討伐隊員は添付した写真にあるグミを食べたものを捜索せよ。症状が出ていない者もいるため注意すること。

研究隊員はグミの調査。

医療隊員は薬の用意、また運ばれてきたものの検査。

整備隊員は指示があるまで待機。

健闘を祈る。

最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

普通人間は悪物を使役することは不可能です。一部例外もありますが、魔能をつかうとその力の重さに耐えられず圧死します。

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