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秘密組織『ルース』   作者: 日々レイオ
第2章 名古屋獣人化編
17/22

秘密17 獣人化

「……おはよう……」


恭也(きょうや)、おはよ! 悪いけど翔太(しょうた)起こしといて! 俺、尚人(なおと)さんに呼ばれてるから!」


「……うん……」


隣の布団で気持ちよさそうに眠る翔太を揺さぶる。


「翔太……翔太……起きろ……もう8時だぞ……」


「………うーん………もう……食べれない……」


(何を食ってる夢を見てるんだ……)


「……起きろ!」


布団を引き剥がすと翔太は眠そうな目を開けた。


「……おはよう……ございます……」


準備を終えた恭也と翔太は大食堂へと向かった。ルースは朝、昼、夜問わず食堂は開いている。ルースは基地内に住んでいる人もいるためだ。料理はルース独自で開発されたロボットが作っている。


「……俺、A定食にするけど翔太は?」


「……ステーキ定食にします!」


「朝っぱらから?!」


「ステーキ食べる夢見たので!」


(もう食べれないってステーキのことか)


定食を受け取り席に着く。


「いただきます」


「いただきまーす! (きょう)先輩ステーキ美味しです!」


「良かったな、俺の鮭も美味しいよ」


楽しく喋りながら食べていると鈴蘭(すずらん)(あんず)がやってきた。持っているのは恭也と同じA定食だ。


「おっはよー! うたくん、朝から豪勢だね」


「美味しいです!」


「あんたほんとステーキ好きよね、ところで蓮介(れんすけ)は?」


「社長に呼ばれたと言ってました」


「むむ! 名古屋部隊A(エース)のアタシを差し置いて話とは……尚人けしからん!」


朝早いこともあり隊員がちらほらといるいつもと変わらないようだか何やら姿がおかしい。


「ねぇ………なんで大食堂に来る隊員のほとんど、獣耳(けもみみ)着いてるのよ」


鈴蘭の指摘にまわりを見渡すと、猫、犬、熊、狸など耳だけでなくしっぽも生えている。


「……流行ってるんですかね?」


「流行ってないよ、アタシが知る限りではね」


全員が気にしながら朝食を食べていると尚人となぜか隊服を着ている蓮介が恭也たちのところへとやってきた。


「尚人、どうしたの?」


「全員食べ終わったら社長室に来なさい、話がある」











「それで話って?」


「もう見たよな? 獣耳……」


「はい」


「あれ………めっちゃ可愛くね?」


((((……ん?))))


「わかる! 尚人、アタシも着けたい!」


「杏ならそう言ってくれると信じてたぞ!」


(……なにこれ………)


「あの……尚人さん、(あん)先輩たちに説明するのでは?」


しびれを切らした蓮介が元の話題に戻してくれた。思い出したのか尚人が話し始めた。


「その獣耳のことだけど……ちょっと様子がおかしいんだ……朝起きたら突然生えてたとネットで話題になっている。しかも発生事案は名古屋のみ……どんな薬でも治らないらしい。そこで君たちに調べてもらいたいんだ」


「俺たちですか?!」


「あぁ……恭也くん、君の半悪物は今調査中だ。結果を待っているだけではつまらないだろ? だから常にA(エース)の近くにいれば何か学べるかもしれない。それにこれは極秘任務だ。僕は君たちを信じている。もちろんボーナスをつけよう。どうだい?」


「やります。俺たちに依頼するということはその獣人(じゅうじん)悪物(あくぶつ)と関連しているということですね?」


「おっ! さすが蓮介くん!」


「悪物と関係あるならやるしかないわね」


「ボクたちの専門分野です! (きょう)先輩頑張りましょ!」


「……頑張る……」


「うんうん! 意気込みがあってよろしい! じゃあよろしく! 解散していいよー」


東京部隊の4人は解散の合図とともに社長室から出ていってしまった。


「杏」


尚人が杏を引き止める。


「なに?」


「ここ最近ルースのデータに侵入してくる奴がいる。そいつは新人のデータを漁っている」


(きょう)くんを狙ってるの?」


「恐らく……恭也くんのことしっかりみててくれ。あの子の半悪物(はんあくぶつ)は、解明できれば大きな一歩になる。攫われたり、死んでしまったら元も子もない。頼む」


「……誰に言ってるの! アタシは貴方が見込んだ一流のA(エース)よ! そこらの敵になんて負けないわ! アタシは尚人に生かされたんだから! 見ててね」


「あぁ」










「ということで! 獣人化について調べよっか!」


「はーい!」


「あの……」


「はい! (きょう)くん」


「なんで俺と翔太と杏先輩しかいないんですか………?」


「れぇくんとらんちゃんは偵察しながら悪物の対応中。今きたメッセージだと見た感じ3分の2が獣人化してるって。それでアタシたちは今から外に出て聞き込み」


「そんな簡単に答えてくれますか?」


「うたくんの言うと通り。だからこれを見せる」


「「それは!」」


杏が見せたのは近くにあるテレビ局スタッフの名刺だった。


「バレたらやばいんだけど情報収集するにはテレビ局のスタッフになってアンケートとったり、インタビューするのが早い。それにアタシ美人だから役に立つと思うのよ」


((自分で言った……))


「2人はサポートよろしく♪」









「見てー! 私、猫耳だった!」


「可愛い! うち、牛だよーー、角あって可愛いでしょ!」


「可愛い!」


街中で2人の女子高校生が突然現れた獣耳について話していた。驚くことなく可愛さを重視しているようだ。


「すみませーん。今いいですか?」


声をかけてきたのはアナウンサーの服や格好を真似た杏だった。後ろにはカメラを持った恭也とマイクを持ち、バレないよう厚底靴を履く翔太がいた。


「はい、なんですか?」


「今、この耳についてインタビューしていまして、お時間よろしいですか?」


「はい!」


「この耳いつ頃から生えてんですか?」


「これは今日の朝起きたらありました! 多分寝てる時に生えたと思います!」


「なるほど……ではもうひとつ………体に変化はありませんか?」


「変化……あっ! ちょっと聴覚と嗅覚がよくなりました! それぐらいですかね?」


「そうですか。昨日どこか行きました?」


「昨日?………………駅近くのカラオケ行きました……」


「そうでしたか! 協力してくださりありがとうございました!」


女子高生二人組はインタビューが終わり去っていた。


(あんず)先輩何かわかったんですか?」


「ちょっとね、これで50人に聞いたから一旦帰ってまとめよっか。うたくん、れぇくんとらんちゃんに招集の電話お願い」


「了解でーす!」


基地へと戻り杏専用の休息室へと集合した5人は現状をまとめるためホワイトボードに書き出していた。


「はーい! じゃあまとめるよー。まずらんちゃんから」


「なんであたしからなのよ……まぁいいけど……あたしは名古屋市外の街中まで見てきたわ。回れたのは数箇所だけど、見た感じ名古屋市内に比べると獣耳率は低かったわ」


「おけおけ、次れぇくん!」


「俺は市内を見てきた。獣耳が圧倒的に多かったのは駅構内だな。あと目の前で獣耳が生えた人が何人かいた」


「目の前で生えた?!」


「はい、頭からぽんって出てきました」


何やら杏がうーんと悩んでいる。


「どうしたのよ?」


「アタシたちが聞いた人は全員起きたら生えてたって言ってたから……この獣人化は夜に起こるって推測してたんだけど……ごめんごめん、アタシたちも話すよ。とりあえず50人ぐらいにインタビューしたの。そしたら全員起きたら生えてたってことだった。あと昨日どこか行ったかって聞いたらほとんどが駅近くにいた、また駅にいたってことだった」


「じゃあ駅構内にいた人が影響を受けてるということですか?」


「恭くんの言ってることも一理あるけど……50人中8人は昨日外出していないって言ってた……………………あーーっ! 全然わかんない!」


杏がホワイトボードのペンを放り投げ机に突っ伏した。ちなみに翔太は充電が切れたのかすやすやと眠っていた。


「半悪物の恭也から見て何かわかることないか?」


「俺? ………俺は特に………………タムに聞いてみよう」


リュックのチャックを開けるとリュックに入っていたチョコを食べているタムと目が合った。


「……そのチョコなに?」


「…………これは……鞄に入っていたんだ」


「知ってるよ。それ俺のチョコなのに……」


「これ美味しいよ! ボク大好き!」


「よかったな………タムにいくつか聞きたいことがあるんだ」


「なに? 恭也の頼みならなんでも聞くよ!」


リュックから飛び出たタムは部屋の中をすいすいと飛び回っている。飛ぶのに満足したタムは恭也の目の前の机にぽてっと座った。その横で鈴蘭が翔太を起こしていた。気づいたのか翔太が目を覚ました。


「今日リュックの隙間から覗いて見てたあの獣耳どう思う?」


「獣耳! 可愛いね! それに、ボクと同じ匂いがしたんだ!」


「「「「「同じ匂い?」」」」」


「うん! 少し違っけど少しだけ繋がりを感じたよ!」


この一言で杏は休息室を飛び出した。残りの4人は驚きのあまり動けなかった。タムが言っていた繋がり。つまりあの耳は悪物の力を持っているということだ。しかも市内のほとんどがついている今、市内は悪物だらけということになる。


「タム! もっとわかることがあったら言うんだ!」


恭也がタムを持ち上げる。


「うーんとね、まだ成長中だよ! もっと強くなるよ!」


「あの形態で終わりじゃないんですか?!」


驚き声をあげる翔太にタムが頷いた。


「うん! まだまだ成長するよ!」


タムを抱えた恭也と3人は急いで杏のあとを追いかけた。獣人化は可愛いなんてものではなかった。人を化け物にし、街を壊す恐ろしい力だった。



最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。



当然獣耳が生えるとしたら私は猫がいいです。

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