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秘密組織『ルース』   作者: レイたる日々
第2章 名古屋獣人化編
14/16

秘密14 不屈

名古屋へと向かう新幹線の中、これからの緊張など気にもせず蓮介(れんすけ)翔太(しょうた)ははしゃいでいた。


「師匠! 見てください! この動物園のコアラめちゃくちゃ可愛いですよ!」


「ほんとだな! あと少しで夏休み入るからプールも行けるな!」


「そうですね!」


「………あんたたち……遊びに来てる訳じゃないのよ……」


少しイラついている鈴蘭(すずらん)が2人に圧をかける。


「確かに恭也(きょうや)のためにも来てますが……遊べる時に遊んでおかないと!」


「うんうん! (きょう)先輩も楽しみだよね!」


「はっ?!」


「うん……任務ってわかってるけど……楽しみ……」


「なっ?!」


「どうしますー? (すず)先輩?」


蓮介と翔太がにやにやと鈴蘭を見つめる。それを真っ赤になった鈴蘭が答えた。


「あーーっ! もう! わかったわよ! あたしも遊ぶからーーー!」












「ほんとにここにいるんですか?」


名古屋駅に到着した4人は鈴蘭の友達を探していた。


「いるわよ! いつもこの時計の場所で待ち合わせしてるんだから!」


「らんちゃーん!」


(あんず)! お待たせ!」


杏と呼ばれた少女がこちらに駆け寄ってきた。ミニスカートを履き、ヘアクリップをつけたモデルのような美しい少女は周りの視線を奪っている。


「そこまで待ってないから大丈………夫………」


「どうしたの?」


「……嘘…………れぇーくーーーん! 来てくれたの?!」


杏が蓮介に飛びつこうとするが、ギリギリのところで蓮介が避けて踏みとどまる。


「……親友のためです」


「親友?……ふーん……君………れぇくんには劣るけど中々イケメンだね………付き合ってあげてもいいよ」


「はぁ?! ダメよ!」


突然鈴蘭が大きな声を挙げる。


「なんでらんちゃんがダメって言うの? まさか! 好きなの?」


「ばか! 違う!」


「えー、ほんと?」


「違うって言ってるでしょ!」


どうやら杏は鈴蘭の好意に気づき、弄んでいるようだ。


「鈴ちゃん先輩、また(あん)ちゃん先輩に遊ばれてる……」


「鈴先輩わかりやすいからな、まぁ恭也は鈍感すぎて色々気づいてないみたいだけど」


「どうかしたのか? それよりあれ大丈夫なのか?」


「大丈夫だよ、(あんず)先輩は自分が可愛いのを自覚して男を引っ掛けてるだけだからな」


「それ……ヤバくない?」


「大丈夫大丈夫、美しすぎて隣に並びたがるの1人もいないから。今まで恋人できたことなくてあれでも焦ってるんだ」


「へ……へぇ〜……」


(あの人……確かにめちゃくちゃ美人だ)


「よし! じゃあ場所変えよっか! 着いてきて!」


杏の後ろを着いていくと人気のない自販機が置いてある場所へと出た。タッチ決済のところにスマホをかざすと同じように自販機が収納され、後ろに扉が現れた。エレベーターに乗り込み、たどり着いた場所は東京とは雰囲気の違う大食堂だった。


「いらっしゃーい、ここが名古屋部隊の基地でーす。らんちゃん以外は初かな?」


「師匠! ここ東京とメニュー違いますよ! 味噌煮込みうどんがある!」


「まじか! 手羽先もあるぞ!」


「蓮! きしめんがある!」


「………同じ部隊として恥ずかしい……」


「にゃはは! 初めてだからねー、仕方ない! おーい! 社長室行くよ!」


「「「はーい!」」」








「いらっしゃーい!」


社長室に入ると誕生日会のような装飾が施されており、社長と杏はパーティークラッカーを鳴らした。


「良く来たねー、そして鈴蘭以外は初めまして! 僕は名古屋部隊社長東山尚人(ひがしやまなおと)だ! そしてこちらが」


「初めまして、名古屋部隊所属、A(エース)4位の東山杏(ひがしやまあんず)でーす! 末永くよろしくね!」


(末永く………)


「それで君たちはどういう目的でここに?」


「杏先輩と研究隊に用があってきました。ここにいる俺の親友は半悪物(はんあくぶつ)―です」


「君が!」


「へぇー………じゃあ君が渥美恭也(あつみきょうや)くんだ!」


「そうです……」


「半悪物ってどんな感じなの? 人間の時と体温変わる? 視覚は? 嗅覚は? 聴覚は? どんな感じ?!」


杏が至近距離で恭也を問い詰める。美しい顔が近くにあり恭也の顔が赤くなる。


「杏近い」


鈴蘭が杏を引き離す。


「にゃはは! 大丈夫! アタシのタイプはれぇくんだから。もしかしてアタシたちに半悪物を調べてほしいのかな?」


「正解です」


「いいよー!」


「僕も賛成!」


(なんか名古屋部隊自由気まま……)


「きょうくん、中々タイプの顔してるから、特別に色々調査して、解除方法探してあげる。あとちょっと特訓してもいいよ。尚人! 研究隊借りるね!」


「杏の好きにどうぞ、何かあったら呼べよー。ゆっくりしてけー」


(なんか名古屋部隊ゆるっ!)








美沙(みさ)! いる!?」


研究室に着いた一行は長椅子に腰かけ杏を待っていた。


「はいはい………今日で三徹目の美沙さんはここだよ……」


「美沙! 血液検査と身体検査の準備して! みんなも手伝って!」


杏の掛け声で研究隊全員が動き出した。杏は余程みんなに信頼されているらしい。一人の研究隊の男が杏に寄ってきた。


「今日は何を研究するんだい? また討伐した悪物の研究かい?」


(まめ)ちゃん聞いて! 遂に! 人間の研究だよ!」


「はっ?! まさか殺したのか?!」


「違う違う! 半悪物の子を研究するの! 今まで悪物の研究をしてきて人間と適合することなんてなかった……やっと……やっと出会えた………アタシの夢……」


キラキラと瞳を輝かせる杏を豆ちゃんと呼ばれた男はドン引きして見ていた。


「お前……討伐隊より研究隊の方が向いてるぞ……」


「研究隊じゃ近くで動いてる悪物見れないじゃん! アタシは近くで見て、討伐して、解剖するのが好きなの!」


「意味わかんねぇ……」


「それに! 半悪物の子、れぇくんの親友なの! やる気満々!」


「杏! 準備できたよ!」


「おっけー! 美沙は血液検査やって、豆ちゃんとみんなは身体検査手伝って!」


「「「「了解」」」」


検査室へと呼ばれた恭也は血液検査を済ませ、身体検査をされていた。


「きょうくん、とりあえず今日はこれで終わり。服直していいよ。検査の結果出て色々調べるからそれまで待ってて」


「わかりました」


服を直し、蓮介たちの元へ戻った。杏は豆ちゃんと美沙に向かって喋り始めた。


「これから色々調べないとだねー、楽しみー♪」


「何言ってるの……杏は休みなさい」


「何言ってんの美沙! アタシが研究大好きなの知ってるでしょ!」


「そうだ、研究は我慢してたまには休め! 昨日も残ってなんか調べてただろ!」


「豆ちゃんまで! いやだー! 研究するの! したいよ!」


「美沙そっちの腕もて」


美沙と豆ちゃんに両腕を掴まれ、引きずられ、研究室の外へと放り出された。


「杏……お客さん帰るまで研究室立ち入り禁止ね」


「何かあったら俺がお前まで報告しに行くから安心しろ」


「またねー」


研究室の扉が閉ざされてしまった。


「いやぁぁぁーーー! アタシの楽園ーーー!」


「ちょっと杏! 何泣き叫んでるのよ!」


検査が終わり杏を外で待っていた鈴蘭が駆け寄ってきた。3人は何事かと不安そうにしていた。


「らんちゃーーん! アタシの楽園がーー!!」


「何泣いてるのよ……蓮介たちが気分転換に動物園行くって言ってるんだけど……来る……?」


「うっ……………………行く! 動物園楽しみ!」


((((チョッロ………))))


「待ってて! 鞄とか持ってくる! あ! らんちゃんはアタシの休息室泊まるでしょ?」


「そのつもりだけど」


「れぇくん、うたくん、きょうくんの部屋………あ! アタシの研究室使いなよ! 着いてきて!」


杏に着いていきたどり着いた部屋はどうやら杏が研究のために使っている部屋のようだ。


「布団は尚人に用意させるからここ使って! 昨日片付けたばっかりだから大丈夫! でもその辺にある瓶は触らないでね」


かなり綺麗な部屋ではあるが棚には謎の瓶が置かれており危険なことには変わりない。


「よしっ! レッゴー! 動物園!」


心配する恭也と翔太に気づかず、杏は楽しそうだった。





最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

新キャラ東山杏の登場です。簡単に紹介するなら美人な変人です。杏は周りと比べるとずば抜けて美人です。また、なぜか悪物を解剖して調べ尽くしたい変態です。悪物に興味を持ち始めた理由についてはまた後々。

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